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本当の愛がわからない

 僕はポイントノンのお祭りを堪能したあと自室にいた。窓を開けて夜風を浴びてそれを楽しんでいた。途中、エルマー、アルマーの姉妹も祭りの帰りに僕を気遣ったのかお土産を渡してくれる。しかし、今回は祭りを楽しめなかったのは(はるか)であり僕は気持ちだけを受け取る。お土産は遙にあげるように頼んだ。二人は少しご機嫌が悪くなったが理解してくれて遙に渡すと約束してくれた。しかし、その遙がまだ帰ってこない。(きた)る大戦に対処しているのは遙のみで彼女は僕らにも秘密裏で行動している。僕は責める気はない。彼女にしか出来ないこと、僕にしか出来なことと割り切ることにした。しかし、なんだか寂しい。


「結局、僕はなんだろうか」


 そんな自問を星の数ほどしただろう。そもそものキ国とコ国の背反するきっかけをつくったのは遙だ。僕の運命を切り開く女だといってもいい。だけど、そんな彼女に何をしてあげる。どうやって男をみせてやることができるんだ? 僕は自爆人間の補助型による助けで敵に圧倒出来ているにすぎない。それも、必ず通じない手も敵は仕掛けてくるかもしれない。


 なにもしようとしない自分。心配性の自分に苛立つ。楽観的になれない。運命に友が存在するのなら、委ねることができない。全ては自力のなさが証明されて僕は所詮消耗品として生まれることに間違ってはいないと思い卑屈になる。だたし、戦争の道具になるのを拒むのはせめてものの意地であり、僕の自由を得ることでもある。


 そんな、迷いの渦に引き込まれて溺れている僕を救出してくれたのも彼女だった。彼女は何者だ? 僕は愛と同等に恐れも抱いているのかもしれない。でも、離れると彼女が気になって仕方がない。


「遙……」


「やあ、遅くなってごめん。隼人(はやと)君」


 突然、彼女は現れる。僕は驚いた。出来すぎた都合のいい話だ。


 僕は疑いもせず窓から離れる。しかし、遙に近づくがどうしたらいいのかわからなかった。邪な考えを超えて、彼女にどうしたいのか僕がとるべきに相応しい行動がわからない。彼女にはなにをしても良いような気がした。ただ、それをしても足りないようなきがする。それに、それで終わってしまうようにも思える。


 そんな、深く考える僕に抱き着いてベッドへと押し倒そうとする彼女がいる。いつも、大胆だな。ぼくは、他にも女性問題がある。しかし、この場では無関係にしてしまう。


「久々にあなたを抱きしめてもらうことができる。そうでしょ?」


 彼女は意地悪い素振りをしながら愛らしく誘ってくる。体はもう密着している。理性は保てるだろうか。


「いいのか? 僕で」


 本気で僕が相応しいのか問う。恐れているのが色々と多すぎて混乱する。それでも、嫌ではなかった。


「嫌なの? 私はこのために頑張っているんだよ」


 本当だろうか? 彼女には感謝はしているが疑ってしまう。


 正直、遙は計り知れない。僕はこの行為も一つの作戦にのった動きなのかもしれないと思った。だけど、彼女を離すことができない。再び自身に問う。理性を保てるか?


「私が怖い? でも、最初は私だって君が怖かったんだよ」


 とても、恐れている感じではない。僕も受け身だけでは嫌なので皮肉を返す。


「僕は最終的に世界を八割破壊できる消耗品だからね」


 彼女は一切動じずに小さく首を振る。


「そういうことじゃない。君のそういう儚さが私の気持ちがどこまで届くのか不安で怖かった」


 そうなんだろうか。本音だろうか。


「僕に拘ることなんてないんだよ。僕の境遇が気になっているだけでしょ?」


「境遇が人を強くさせる。そういう例は沢山みてきた。だけど、あなたは危うい。自身を捨ててきた人たちも沢山見てきた。でも、あなたは完全に消える。なぜなら、あなたは気配無き獣の特性も受け継いでいるから。全てを破壊するどころか、全ての記憶の抹消する破壊。あなたさえ、思い出から消える。心から消える。データーや人々の記憶から消える。そう、戦争を学ばせない、そのようにあなたはつくられた、この上ない、都合の良い最終兵器」


 更に、僕の存在する意味の事実を知る。知らないことがこの上なく僕は馬鹿げていると思った。


 僕はクズにすら値しないのか。僕も犠牲者も生きていたという爪痕を残せないのか。


「なんで、そこまで知っている」


「知らないことが、証明なのよ。私も一時的にあなたを忘れていた。私達の出会いは幼少からよ。もう、私はあなたに忘れられたくない」


 そうなのか。まったくわからない。それでも、彼女は底知れぬなにかが僕を不安にさせる。だが、手放したくはなかった。


「僕は、いったいどうすればいい」


 自問しながら、彼女を抱き、彼女が満足するまで一緒に寝た。その時の間だけは彼女が唯一僕に甘えて無邪気になるようだ。僕は彼女の好きにさせた。


 そして、彼女は妖艶に笑う。


「クスッ、隼人君。あなたの妹、五百子(いもこ)ちゃんには絶対あなたを奪わせたりはしない」


 僕は、背筋が凍ったが聞かなかったことにした。


なるべく、おさえてますが18禁にならないようにしたい。多分、この表現なら大丈夫だと思いますが(^_^;)

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