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決意

五百子(いもこ)ちゃんはどうしているって?」


 僕達はラベルドさんと別れてから調査団としての依頼料を手にして次なる仕事と住処を探す。もちろん、祖国とコ国との反抗戦力を募ることも忘れてはいない。ただ、当てがない。


 (はるか)が画策しているだろうが、僕も力を示したい。なにか、僕の出来ることを考える。しかし、想いは五百子の病みついた発言で頭がいっぱいだった。


 僕は先ほどの五百子からのテレパシーについては隠して遙に聞く。彼女が一番に情報を把握しているのかだから仕方ない。五百子本人から聞けば良かったのだが、なんだか恐ろしいものを呼び出しているような気がして控えた。


「うん、新垣(あらがき)君と情報のやりとりをしているなら知っているかなと思って」


 戦闘以外は人頼りは情けない。そもそも、僕は流されているようにも思えた。だけど、意志は通している。しかし、僕の頼りなさを気に掛けることもなく。遙は導こうとしているのだ。その役目は僕がしなければ。


「そもそも、無双(むそう)が五百子ちゃんを任務で連れ去ったからね。知っているわ。君の妹だから潜在能力は一級なのよ。あの娘。だけど、補助型で実戦訓練とかしてないからね」


「重要じゃないの? 連れ去りもして」


「重要よ、君の子作りとして存在しているのだから」


 あっさりと言ってくれる。


「近親相姦だよ。鬼畜すぎない?」


「まあね。だけど、あの娘だけじゃないのよ。君は死ぬために存在しているわ。でも、そのまえに自爆人間全体の女に君の子供を作らせる。組織できめられたことなのよ」


「僕は家畜かなにかか?」


 どうにも、納得がいかない。


「だから、君を戦闘に投入する前に君と関係を結ぶために刺客が送られてくるわ」


 さほど、重要でない様に言う。そうでもないのだろうが。


「刺客が情事するの?」


 僕は飽きてしまった。しかし、遙は軽口から変わって深刻な顔をする。


「冗談で言っているわけではないわ。君は最高傑作っていうレッテルがあるの。その血を絶やさない様にしたいってわけ。それを実行する部隊も編成されているみたいよ」


「なんだ! そのいかがわしい部隊は」


 女性関係を多数もって喜ぶ僕とでも? しかし、すでに女の子が遙、カナタ、エルマー、アルマーとの中で僕が男一人と言うハーレム状態である。全員が僕と関係を持ちたいわけではないだろうが。


「もちろん、言い方が悪いけど、君以外の相手で配合計画もあるわ。聞きたい?」


「いや、いいよ」


 僕はゲンナリとする。自爆人間達は改造だけではなくて繁殖も管理されているのか。どうしようもない。辟易する。


「で、五百子ちゃんは組織に従順になって、君を落とす実行隊長になろうとしているわ」


 なんだ、それは。確かに僕と五百子との間には愛情はある。好きだ。しかし、どこまでも突き進もうとは思わない。僕はそう望んでいる。しかし、五百子は僕をどういう手段を用いても僕を落とそうとしているだろう。しかし、可能なんだろうか?


「五百子ちゃんは君の妹なんだよ。かなりの強敵になるわ。でも、君と抱き合うのはこの私」


「遙、好きだよ。でも、君とも少し距離を置きたい」


 彼女も好きだ。だけど、僕がひっぱてこその愛が欲しい。僕のつまらないプライドか?


隼人(はやと)君の気持ちを尊重したい」


「ありが……」


「なんて、私が言うと思う? 君の境遇を守り、結ばれるのは私だけでいいの」


 遙も五百子と同じで狂気に満ちている。そんな妖しさを魅せる。それが僕には怖かった。後ずさりする。


「大丈夫。取って食ったりしないから」


 遙は笑う。それが冗談には聞こえないが少し僕は落ち着こうとする。そして、僕は、僕の望みを言う。


「僕が最後に結ばれるのは一番守りたい人間だよ。でも、それが誰だかはわからない。ごめん、君には助けられてばかりなんだ、男としては逆が出来てこそ生きがいがあると思う」


「隼人君がいなければ誰も助からなかったよ。だから、君は自信をなくすことなんてないの」


「そうだ!」


 カナタが割って入る。ずっと、傍観していると思った。


「姉さん、どうしたの?」


「遙ばかりに主導権は握らせん。こいつと……」


 カナタは僕を指すと黙り込む。口をモゴモゴさせている。


 この、半端な関係を解消させたい。


「カナタ、エルマー、アルマー再確認がある」


 三人は僕を見つめる。眼差しが熱い。


「このまま、僕と同行するんだな?」


「仕方なしだ」


 カナタ。鉄のような心かと思えば心は柔らかい。恥ずかしがり屋がいい。


「行き場がないしね」


 エルマー。褐色な肌に銀髪で妖艶。あと、気が強いところが魅力的だ。


「私はエルマー姉さんと一緒だから」


 アルマー。姉同様に褐色の肌に金髪で妖艶。姉に事ばかりかと思えば、実は僕を伺いの眼差しを送る。可愛い。


 だが、好きだけではダメなんだ。


 それぞれ返事はするが足りない気がする。


「僕とともにするんだな!」


 僕は力強く言った。誰にも後悔はさせたくない。選択肢なんて存在してないかもしれないがそれでも、ハッキリさせたかった。


 皆は黙ったまま頷く。決まりでいいだろう。僕は少し心が軽くなった。


 難儀なことは続くだろうが自由をこの手にする。その為に戦う。僕の人生もまんざら悪路を進んでいるとは思わなかった。なにがあろうと道を迷わないと決意を胸に。

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