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淫らな魔法

 戦闘は不利な方向へと向かっていく。

 

 攻撃を仕掛ける三人、超獣と呼ばれる父、檻人(おりと)に芋生の一族だろう聞こえた名前は芋生千斗(いもう せんと)(はるか)の従姉で遙が姉と呼ぶカナタ。まずは、千斗という軽薄な男が閃光の矢になったように魔法を纏い僕らにぶつかる。しかし、難なく避ける。


 が……。


「分断か!」


 僕と遙の間に突撃したのだ。ここは避けるのではなく防ぐべきであった。瞬時、カナタという女が遙に纏わりつく。遙を封じて、残り二人が僕に集中して始めに仕留める気か。


 つまり、僕の相手は父と軽薄な男か。


「連結の光鎖(こうさ)


 父の放った光の鎖は後ろにまわった軽薄な男が放つ光の鎖と繋がり僕を縛り上げる。攻撃の速さと二つの挟撃は回避する間を与えなかった。僕は魔法の鎖に痛みを与えられつつ縛られてしまった。


「あっけない、この程度か?」


 父は冷酷に口をこぼす。もう少しは戦えるだろう? と挑発しているかのようにも思えた。


「今からでも、戻りたいといえば受け入れぞ」


「冗談じゃない。戦いは始まったばかり」


「では、続ける」


 電流ではないが体が痺れる。魔力から与えられる痛みが倍増される。思えば僕に実戦経験を積ませないのもわかる気がする。僕は戦いが下手だ。潜在能力は高いのを利用するに余計なことを身につかせないのかもしれない。それに、これまで、僕は遙に誘導されているのは事実だ。有り難いけど負けていられない。


「ぐああああ!」


 悲鳴をあげてしまうが、あげたところで状況が変わるわけではない。なにか、対処をしないと。


「隼人!」


 遙が助けに駆けつけてくれるようには見えるが、カナタという女が立ちふさがる。


「邪魔はさせない」


 カナタは父のように無機質に淡々と言う。


「邪魔は姉さんのほうよ」


「お互い様ね」


 彼女たちも気になるが自分の状況をどうにかしなければならい。僕はありったけの魔力で鎖をほどこうとするが効果がまるでない。


「最高品と称される自爆人間もこんなもんスか。突撃型は自爆するだけに価値があるんスかね~」


 やれやれといった感じで軽薄な男が言う。僕の様に目も当てらないと言いたそうに。


「黙れ! お前も突撃型だろうが」


「そうっすよ。いつか任務の為に命を散らす。俺ら、消耗品の本懐じゃないっすか」


「一緒にするな!」


「わかっているっすよ。だけど、望みは捨てたっしょ。敵わないって、これが絶望って奴」


 うるさい奴だ。有利だとおしゃべりな奴は不快だ。それにくらべて、遙とカナタはなぜか心惹かれる。いや、遙は愛している。だが、こんなときに不実だがカナタという女が気になる。氷に閉ざされた美貌というか頑なに感情をみせない切ない振る舞い。僕はときめいている。


 ハッ、こんな時に何を見ているんだ! 僕は……。


「どうやら、隼人の多情な心が芽生えたようね」


 遙がニヤリと喜ぶ。勝利ありといった風に。何を考えているんだアイツは? それを聞いてカナタは少し苦いものを口にした表情をした。


「下劣な……」


「そうね。でもね、いいじゃない。隼人! カナタ姉さんのどういうところが気になった?」


 こんな時に何を聞いてくるんだ! 僕は節操なしじゃないんだぞ。でも、まあ、思ったことを口にする。


「彼女が切ない、切ないように装って僕を魅了するんだ。それが、なぜだかたまらない」


「な!」


 一瞬、時が止まるがそういう魔法を使ったんじゃない。言葉だけで間は生まれるんだ。


「き、貴様、初対面でよくもほざいたな!」


 閉ざされた彼女の持つ氷の心が瞬時に激高で解かされていく。表情が和らぎその様がどうしようもなく僕を燃えさせた。たぎらせた。


 鎖の力も引きちぎれる気がする。僕は思いっきり膨大な魔力を放出させた。


「ほう……」


「なんなんスか!」


 僕を縛り抑えた二人も驚き圧倒する。僕にも力の源がわからない。不誠実こそ、僕は強くなれるのか?


「まだまだ、隼人の力はこんなものじゃないわ! 相乗魔法!」


 そういうと、遙はカナタに口づけをする。補助型同士でどういうことだ。いや、女同士で、いや、敵同士で。


「!」


 カナタは無機質な表情から完全開放されていく。物凄く妖艶で淫らな表情を魅せる。


 しかし、抵抗してもとの無機質な表情戻す。そして、逆に怒りを露わにする。


「姉さん、怒らないで。それと薬はまだ口に含んでおいて。隼人、姉さんと私に近づいて!」


 僕は、理由はわからないが彼女らに神速で向かう。鎖を破壊したことすら気付かない程に。


「遙! まさか、相乗魔法を使う気か!」


「え? 相乗魔法ってなんスか」


「貴様は黙っていろ」


 父は今までに見たことがない動揺を表に出す。あの、淡々としている父が。


 僕は、遙とカナタに合流する。僕はなぜか遙より先にカナタの瞳を覗こうとする。それが、なんだか覗姦しているような高揚感に陥る。僕は場違いのクズのように自身を感じた。しかし……。


「……ん」


 彼女、カナタは薬を口に含んでいるのか、声を漏らすのがやっとの感じでいるみたいだ。僕を嫌がっていない彼女を見た。カナタ、初対面でお互いを意識しあえるのか? 僕にはわからない。自分にも彼女もわからない。そして、この不誠実な想いを怒っているのではないかと遙の方を確認する。


 遙の方も感じ入ってしまっている。いいのか?


「させん!」


 父が魔力を大量放出して猛攻してくるが三人が纏う魔力にはじかれる。


「ぐうう」


「これって、やばくネ」


 軽薄な男が言う。そうヤバかった。


「ん」


「んん~」


「……」


「ん」


「んん~」


 三人がそれぞれ順番に舌を絡み合わせている。薬を飲まずに何度も移し合いをする。そして、魔力が最大限に高まると僕の喉の奥へと薬がはいるのだった。


「相乗魔法か」


 僕はとんでもない力を手に入れた。辺りが自然誘発するほど魔力は暴れている。攻勢はこちらに決まったのか?

しかし、文字は勘違いして覚えるとえらいことになるねと理解しました。なにか、誤字や言葉がおかしいところがあったら教えてくれると助かります。読み直しはしますが(^_^;)

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