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エルマーの活躍

「気配無き獣の対処法を教える」


「ほう、どんな方法だ?」


 エルマーはインドミルのカイラーサーとラベルドさん達に協力しようとする。先ほどまで敵対していたのに実に堂々だ。それが悪いようにも思えない。


「私達、自爆人間のように常に膨大な魔力をもつか常に感知の魔法使うことの二点」


「なるほどな。しかし、我々は膨大な魔力をもたないし、感知魔法を習得していない」


「今回私らは貴方たちに頼まれた。だから全力で気配無き獣を阻止する。しかし、次回からは貴方らでも対処できるようにしてもらう」


 ラベルドさんは考え込む。魅力的な話だとは思うが。


「貴方たちには貴方たちの生活があると思う。だから現在の行動に制約はあると思う」


「その通りだ。我々は生活のためにインドミルの様子を見る任務という仕事を請け負っているだけだ。本来、関係のない自爆人間と気配無き獣に巻き込まれてな」


「だけど、他人事ではないと思うの。ヘイムハイロウの人たちもキ国とコ国の争いに巻き込まれる。一見無差別だけど一つの目的に沿って災いが起きている」


「姉さん、それ以上は……」


 アルマーは慌ててエルマーを制止する。しかし、姉は構わず話し続ける。


「知的生物で人間以外にインドミルがいるように、じつは第二の人間が……」


 !


 そこで、音もたてずに気配無き獣が襲ってくる。慌てて妹のアルマーは姉のエルマーを抱えて避ける。


 しかし、エルマーは慌てる様子がない。カイラーサーに向かって言う。


「インドミルのリーダーさん。わかるでしょ? 気配無き獣の実態が」


「それをくちにしたら、争いの元をつくるきっかけになる」


「案外臆病なのね。自爆人間が改造された人間だとしたら、気配無き獣は……」


「娘よ、それ以上言わないで欲しい」


 カイラーサーは怯え始めた。自爆人間ほどではないがこのインドミルも決して弱くないのに。そう、僕は思っていた。誰しも恐ろしいものはある。仕方がないがそれだけではどうしようない。


「カイラーサー殿、荒事は避けられないとこの娘は言っているのですぞ。現に我らは自爆人間と気配無き獣に襲われている」


「こちらは気付かないふりをしているのだ。上層からの対処はこれの方針で縛られている」


 どうしてだ。やられぱっなしでいいほど、インドミルも弱い種族ではないはずだ。知恵がある生物ほど誇りや意地はある。我慢して反撃の手を狙っているのか? 僕が一人考えたところで意味はない。


「使節団の裏の要件を考えなさい!」


 (はるか)が大声で言った。少しイラついているようだ。ラベルドさんは思考にはいる。


「裏の要件? 我々はインドミルの不穏な動きを調べることだ。しかし、依頼主が別の効果を我々が持参すると考えているわけか」


「それって、つまりは」


「自爆人間と気配無き獣の対処。いや、それ以上のことを」


 ラベルドさんはカイラーサーに向かって言う。まったくお互い気づいてはいない。もしくは気付かないふりをしていたのかもしれない。 


「むう、仕方あるまい。ことがすんだら話すとしよう」


 観念したかのようにカイラーサーはうなだれて言う。どうして、しられたくないのだろうか? 信用されていないということか。情報が拡散すると失敗してしまうのだろうか。


「そこの君!」


 金髪のエルマーが唐突に僕に話しかける。


「え? 僕」


芋生隼人(いもう はやと)だよ」


「知っているわ」


 なら、聞くなよ。


「あなたにとって私たちは何?」


 姉のエルマーと妹のアルマー。出会ったばかりだ。しかし、特別な感情はある。いやらしいことをする対象としては別にしてね。この二人は口では表せない何かを感じる。


「同志かな。拳を交えた仲間だよ」


「適当な言葉を使ったわね。でもいいわ」


 再び思うが。なら、聞くなよ。


「アルマーお願い」


「はい、姉さん」


 姉妹は口移しで魔法薬を投与する。舌が絡み合う。女同士で悶えているそれだけで興奮する。


「アルマーのお口は最高ね」


「や。姉さん、人前で」


「姉妹の百合行為は結構だけどね。死ぬなよ。なんなら、僕が変わるか?」


「いや、同士として絆を見せつける為にも私にやらせてくれ」


「そうか」


 晴れ晴れとしたエルマー。僕に対してわずかな時間で心を許したのだろうか。境遇は同じ。ならば、殺戮兵器として死ぬことが宿命な僕たちにとって人間らしいことをお互いに与え合うことができる仲間かもしれない。


「しつこいようだけど、死ぬなよ」


「わかっている」


 エルマーは気配無き獣に膨大な魔力をもって格闘する。エルマーが優先していた。なにかを狙っているようで攻撃しながら誘導をしている。


「今だ!」


 獣は体の上半身をそらして天空にむける。残された下半身と二足は踏ん張りながら大地へと根を張ろうとする。


 それが、狙いのようだ。攻撃しやすい体勢をつくったようだ。エルマーの勝ちだ。


 エルマーは跳躍した。天高く跳び巨大な魔力を放出する。


「流星の矢!」


 エルマーは空から獣に突進する。空気でも蹴ったかのように跳ねて勢いが増す。隕石が獣に激突したかのようにもみえた。


 エルマーは獣の口を体当たりで通過して体の内部にはいりそして貫通して体外へと出てくる。体を貫いたようだ。


 その流れの過程で『願い事は?』と心に直接聞こえたような気がして、僕は獣の消滅を願った。その、願いも叶い獣は爆発して消えた。


「もう、この魔法は攻撃と同時に願い事を叶える魔法なの。失う敵の命と同等の対価でね。もうすこし、欲にまみれたお願いしなよ」


「うん、今度、そうする。でも、叶ったようなものじゃないか。皆は無事だし。エルマーも元気にいられているしね」


 僕は素直に言った。キザな言動もなにもしたわけもないのに、なぜか、そっぽを向いて照れるエルマーがいた。


ようやく、ファンタジーらしくなったきがします。バトル=ファンタジーでもないですが。

今回はわりと明るいので、またグダグダねちねちといこうかと思います。

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