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夢の宇宙旅行

作者: 倉下 漂
掲載日:2018/06/27

「本便は長年皆様が眺めていた月へ向かって飛んでおります。ごゆっくりおくつろぎ下さい」


アナウンスは短かったが問題なく飛んでいると思う。

2年前から実現可能となった宇宙旅行。

月へ行った人は皆「楽しかった。機会があればまた行きたい」と言う。

現在の技術で行けるのは月と火星の2ヶ所のみだが、火星へ行った人はほとんど帰ってきていない。

月と比べて地球からの距離が長いため時間がかかるとのことで行ける人も少ないようだ。


「まもなく大気圏を突破します。衝撃にご注意ください」


2度目のアナウンス。窓の外には飛行機からみる空よりも高い景色が広がっていた。

雲の中を飛ぶ飛行機より高い景色。外から見る地球はほんとうに青かった。


「先ほど、機体トラブルが発生いたしましたが現在は復旧済みです。お客様にはご心配おかけしますが安心して空の旅をお楽しみください」


3度目のアナウンス。少し動揺したものの復旧したのなら問題ないのだろう。

月がいつもより大きく見える。


「これより本機は着陸に向け減速を開始いたします。着陸できた際は皆さまどうか月面旅行をお楽しみください」

最後のアナウンス。

月の大地はもう目前。

どうやらハズレの便だったようだ。

宇宙旅行に行った人の8割は帰還していないのだった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 悠蓉さまの活動報告から飛んできました。 お、おお……すごく広がりのある物語かと思って……いや、面白かったです。最後が、とても面白かった。
[一言] 火星のあたりで、あれ? とは思っていましたが、ついつい身構えることもなく読んでしまい、ラストで衝撃を受けました。
[一言] 最後の一文は、なかなかのパンチでした!!
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