第一話 プロローグ②
『あなたは、死んでしまいました』
教室で眠った俺の目の前に、またあの無機質にも思えるメッセージウィンドウが表示されていた。
『あなたは、死んでしまいました。新たな身体を構築して下さい。』
俺が呆けていると、続けてメッセージがウィンドウに表示される。
(夢か?確かに朝からずっと眠かったし。夜ちゃんと寝た筈なんだけどなぁ?)
と、そんな風に考えていたが
(まあ、いいか。いい機会だし、ここで色々決めちゃって後でゲームでも設定すれば良いか。)
これは良い機会だと、ウィンドウに向かって設定を始める。とりあえず、始めはアバターの設定をいじり始めよう。
アバターの容姿は、少し自分に似させつつ髪色はいつも使ってるアバターと同じに赤茶色にして、瞳の色は紺色に設定。背の高さは自分くらいで良いかと身体測定の時に測った背の高さ位にしておく。
(う〜ん、アバターはこんなもんでいいかな?後はptの振分けだけど、今回は結構頑張って育てたし多い筈だよな?)
とスキル設定に移ると、表示されたptの多さに唖然とする。
(夢だからってこれはちょっと願望が強過ぎるんじゃないか・・・?)
実際今までは100pt位あったのだが、いま自分の前には500pt近くあった。
(あっても300pt位だと思うんだが・・・ま、まぁ、とりあえず割り振ってみるか?)
そんな風に考えてスキル設定を始める。
まずは、経験値ブースト系のスキルを習得する。その後、職業に関するスキルを習得し始める。今日の朝、二人にはまだ決まってない事にしていたが、実はもうある程度決まっていた。今回は、後衛職でもある付与術師をやってみようかと思っていた。所謂【バッファー】と言う奴だ。ただし、只の付与術師ではない。
付与魔法を駆使しつつ、近接でも闘えるようにスキルに[剣術]を選んでおく。こうしておく事で、後衛職でもあるにも拘らず自身にバフを掛け、剣を使って前面に出て戦闘を行う事が出来るし、共にする後衛を守る事も出来る。まぁ、剣術LVがしっかり上がってからの話だが。
更に、攻撃特化の魔法である火と風、回復魔法も使える光属性の[魔法適正]も取っておく。これは前回の職業が魔術師だった為で、慣れた戦闘法として確保する。後は、防御面として全属性の[魔法耐性]を取っておこう。
(ここまでスキル取ってもまだ結構pt残ってるな・・・。ん?なんだこのスキル、見た事無いぞ・・・?)
スキルウィンドウを眺めていたら、見覚えの無いスキルを見つける。そのスキル名が[段階解放]。スキル名からすると多分LVに応じて"何か"が解放されるのは分かる。とりあえず物は試しにこのスキルも習得しておこう。後は、色々と生産系スキルなんかも取っておこう。
最後に、ステータスにもptを割り振って設定を終了しようとした。だが、ここまで終わって漸く名前の設定をしていなかった事に気付いた。
(名前かぁ・・・。確か圭人が《ケイ》で、雫が《レイン》だったよなぁ・・・。)
俺は割と名前を変える事が多い為、名前の設定はいつも悩む。
(う〜ん、どうするかなぁ・・・。今回はそのまんま《レン》でいいかな。)
圭人と同じ様に自身の名前をつけて、今度こそ設定を終了する。
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名前 【レン】
職業 【付与術師】
種族 【ヒューマン】【男】
年齢 【16】
LV 1
HP 100
MP 300
STR 60 VIT 55
INT 80 MND 75
AGL 120 DEX 60
LUK 150
SKILL
【付与魔法LV1】【剣術LV3】【魔法適正(火・風・光)LV5】【全属性魔法耐性】【詠唱破棄】【段階解放LV1】【生活魔法】【調理】【建築】【鍛治】【鑑定】【取得経験値ブースト】【取得スキル経験値ブースト】【スキル習得率UP】
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俺はウィンドウを眺めながら頷く。
「よし、LV1にしては大分強く出来たな。スキル構成も中々面白いし、いいんじゃないかな。」
そんな風に独り言を呟いていると、メッセージウィンドウが目の前にまた表示された。
『設定を保存しました。それでは新しき世界をお楽しみ下さい。』
と見覚えの無いメッセージがウィンドウに表示されていた。
(なんだ?このメッセージ?それに《エストリア》じゃないのか?)
俺に一体何が起きているのか?
一体このメッセージウィンドウは何を言っているのか?
そんな考えがまとまる前に再び意識が遠のいていった。