炎と水と風 三つの属性を宿す彼らの旅は始まったばかり!?
異世界へ飛ばされて1日目ー
俺達は近くの都市の酒場で状況を
整理していた
「とりあえず分かっているのは 3つ
1つ目 ここは異世界 地球ではないことは確か
2つ目 俺達は能力というものが使える
3つ目 俺達は10人の人間と契約を結ぶ」
茜と花は真剣に話を聞いている
「1つ目は確認するまでもないな マスターが言っていた通り ここで死んだら 地球では存在しなかった者として扱われる 」
「2つ目の 能力 だが…」
俺は二人の顔を見る
「手を正面にかざしてみてくれ おそらく画面が出てくるはずだ」
茜と花は言われるがままに手をかざす
すると目の前に大きな画面が現れた
「「すっごーーーい!!」」
二人は顔を見合わせて言う
「その画面の真ん中にステータス画面があるだろう そこには能力が書かれているはずだ」
「能力決定 というのがあるから押してくれ」
二人は人差し指で恐る恐る決定ボタンを押す
(テッテレー!!)
どこかで聞いたことがあるような音ともに音声が流れる
「白川拓也 《炎操士》 Lv10」
「白川 花《水操士》 Lv10」
「三島 茜 《風操士》 Lv10」
「3人のプレイヤーの能力 Lv を決定しました」
ふぅとため息をつく
「っし 完了だ みんな属性がバラけていい感じだ Lvも均一だし Lv上げにも困らないな」
茜と花は 何言ってんだこいつ という目で俺を見る
俺は目を背け 話し続ける
「とにかく 能力もLvも決まったことだし ここら辺で腕試しをしたい所だが…」
あいにく ここは酒場だ 異世界に住むモンスターと手合わせをしてみたい所だが日はとっくに沈んでいる どうしたものか…と悩んでいると
やたらとガタイのいい男が話しかけてきた
「カッカカカカ!! あんちゃんたち その様子だと モンスターと闘いたくてうずうずしてると見た 俺が手合わせしてやろう」男は自信満々に言う
いや待て 高校生と中学生がこんなにでかい男と闘って勝てるはずがないだろう
茜や花は言葉にはしてないが恐らく同じことを思っているはずだ
その事を察してか
「ナハハハハッ!悪い悪い闘うのは俺じゃなくて こいつだよ」
そういうと男は手の平を上に向け 何やら呪文を唱え始める 10秒ぐらいであろうか 呪文を唱え終わると 手の平に 小さいホログラムが現れた
それはまるで 「ゴーレム」のようだった
どうやら闘うのはこの 「ゴーレム」とらしい
しかしここは酒場 こんな所で闘いを始めるなど店に迷惑がかかる
どこで闘うのだ と問うと 男は腰ポケットから 四角いキューブを取り出したそして放り投げた
次の瞬間 俺達は眩い光に包まれ
目を開けるとそこは円形の闘技場だった
「これは ビルドキューブ と言ってな 転移出来るんだよ ややこしく言えば 異世界の中の異世界だな!」そう言って彼は大声で笑い始める
何故 ややこしく言うのだ と内心ツッコミを入れる
「まぁとにかく闘ってみろ 実力を試したいんだろう?」そうだ 異世界に飛ばされ 能力が手に入ったのも 今一瞬の出来事だ
自分が今どれだけやれるのか試したかった
しかし
「これって相手も攻撃してくるんですよね?
私達は怪我とかするんですか?」
花も そーだ そーだ と便乗する
「まっ 多少はな でもHPが0にならない限りは死なないし ビルドキューブの中ならHPが0になることはないぞ」
俺達は安堵の笑を浮かべる
「さぁ いでよ 俺のゴーレム!!」
男は勇ましい叫び声と共にゴーレムを召喚する
地面に巨大な魔法陣が書かれゴーレムが出てくる
…
俺達は絶句した
でかい デカすぎる!
体長は5メートル程だろうと思っていたが
予想を遥かに超えてきた 15メートルはあるだろう
赤褐色の身体はよく見るとレンガのようなものが重なっておりゴーレムの鎧を形成している
「さぁやれ!ガキ共! 実力を俺に見せてみろ!」
男は叫ぶ
「よしっ 行くぞ!茜!花!」
「うんっ!」「は〜いお兄ちゃん!」
まずは展開する
3人が均等に間隔を取ったところで指示をする
「ステータス画面を見てみろ! 使える技が書いてあるはずだ!再使用時間が短いものから使っていけ!」了解 と二人は返答する
まず 攻撃を仕掛けたのは俺だ
「ファイアースマッシュ!」
炎を纏った拳がゴーレムを打つ
ゴーレムは少しばかりよろめく
次に茜 杖を取り出し呪文を唱える
「バブル クラッシュ!」
詠唱によって現れた泡が一気に弾ける
最後は花
勢いよく空中に飛び上がると
足を回転させ始める
「ウインド カッター!」
回転させた足の延長線上に風の剣が現れ
ゴーレムを切り裂く
ゴーレムは鎧が崩れ 土色の肌が露になる
「そこまでッ! やるじゃないかお前ら」
俺達はゴーレムとの戦闘に勝利した
初めての戦闘を経験したからか
俺を含めて3人 息が乱れている
「初めてにしちゃあ上出来だ まだまだ改善するところはあるけどなぁ」
「ありがとう おっさんー そういや名前聞いていなかったな」と俺は言う
「なーに 名乗るほどの者じゃねぇさ けどお前らは
最後の舞台 (アブソル)までたどり着けそうだからなぁ」そういい彼は自分の名を口にする
「俺の名は へルノール=ヘパイストスだ 」
彼は背中を見せながら名乗った
手を振りながら酒場を後にする
どこか寂しげな彼の背中は
この先の異世界の旅で何が起こるのかを物語っているようだった