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死にかけたら不死身になっちゃった  作者: 0417(椎名)
8/10

第八章(改)

誤りがあったので改変版です

 夜の学校といえば定番の怪談。走る人体模型だとか勝手に音楽が流れる音楽室だとかそんなものが定番だけれども。最近の学校は防犯装置が付いていて夜中に学校に入ると警報が警備会社に行ってしまうはずなのだが…。


「ねぇリン、なんで私こんなにすんなり侵入できてるの?」


 私は私の中にいる鬼のリンに聞く。大体不条理はこの鬼のせいなのだから。

 今の私は鬼化している。角が生えて右目が赤く染まっている。角はいま、限界まで伸ばしている。(30cmくらい)

『はて?どうせおぬしら人間の装置なんぞ赤外線を利用しとるんじゃろ?なら理を少しいじるだけで何の問題もなくなるであろうよ。』

 さて、とんでもない爆弾発言が聞こえた。え?ことわりって?ようは世界に干渉できるのこの角?おっしゃる意味がちょっと分かりませんねぇ。

『ユウカ、チカク、イル。サムイヤツ。』

 私の肩に残ってた山の精霊が耳にそっとつぶやく。この子たちは木から木へ移動しながらいろいろな情報をくれるが学校内の木はそんなにないので私の肩に乗ってガイドをしてくれているのだ。

「あはは、一番乗りは俺だぁ」

 シュレディンガー少年が一瞬にして消え、どこからか音がする。それを見たフクロウことミネルヴァが血相を変えて追いかけていった。

「やれやれ、困ったやつだな…。」

「奇妙な主を持つと苦労するものじゃな。」

 と烏とタイル地に苦戦しながら走る狼が言った。爪がタイル地だと引っかかりにくくて走りづらいらしい。その背中に少し小柄な子供を背負っていてはなおさらである。これでもこの狼神様のはずなんだけどなぁ。

『真神、結界はどんな感じ?』

 思念会話でリルが神様を呼び捨てにしながら聞いた。

「主よ。ご安心をすでに奴は吾の結界の中。逃げることもできますまいて。」

『限界が来たら言ってね。』

「心得ました。」


 こうして、私工藤悠香と烏になってる天狗の結城宏一、シュレディンガー少年、ミネルヴァ、そして謎の少女リルと一応神様大口真神がとある小学校に集った。



 

「羽虫共が…。来よったか…。」

 暗い教室で一人大柄な男がつぶやいた。彼の名はティルキア。地獄の王の中でも指折りの実力者である。その権能は氷。手で触れるだけでマイナス250度の冷気を浴びせかけることができる。氷の作成も自由自在で空気中にある水分を氷にして射出することを得意としている。そんな彼にとって人間は取るに足らない存在であり、死体と魂だけが重要なのだった。

 すべては閻魔大王様たちのためにと意気込み、空間を移動しようとする。しかし、特殊な結界によってその空間移動は阻まれてしまった。

「っち。虫が…。」

「っとお怒りのようだね魔人さん。一回死んでみる?」

 どこからともなく現れるシュレディンガー少年。

「ほう、面白い話だな小僧。だが、死ぬのは貴様だ馬鹿め。」

少年の足元に氷柱を作成。そのまま少年を串刺しにする。

「ふっ他愛もない。しかもまだ子供ではないか。ぐっ…」

「驚いた?」

「貴様…どうしてだ?先程貫いてやったのに…。」

「俺はどこにでもいるしどこにもいない。ゆえに君が見た俺は俺であって俺ではないのだよ。」

「わけのわからない奴だ。ならばこれならどうだ?」

 ティルキアはシュレディンガー少年の腕をつかんだ。瞬間氷がシュレディンガー少年の体を包み込む。

「若様!」

 ちょうどその時、工藤御一行様の到着。

「リン、交代。」

『うむ。今のお主じゃ勝てんじゃろうしな。』

「お嬢、気を付けろ?奴は地獄の王者の一人だかなり強いぜ」

「大丈夫じゃってどうせ500年程の若い奴なんじゃろ?なら勝てる。」

「鬼風情が結構なことを言うじゃないか。そこの氷像みたいになりたくなければおとなしく死ね。」

氷が宙を飛んだ。それは弾丸並みの速さ。狙いは角の一点のみ。当たりかけた一瞬にリンは刀を使ってうまくはじく。

 続いて地面から現れ、足を貫く氷。激痛で意識が飛びかけるも何とか耐え、リンの攻撃を見守る。

「鬼というもんはな?マナを角で集めるってことは言ったじゃろ?」

 唐突にリンは刀を担ぐと語りだした。

「ふん。体内にマナを持たぬ代わりに外部からマナを吸収するから貴様ら鬼は地獄最弱なんだろうが」

「まぁ普通の鬼ならそうじゃろうな。」

『まさか…。』

「もう一つの異能に気づけぬ鬼のほうが多いということじゃの。」

「もう一つの異能?」

「おい天狗、他のものを連れて今すぐ逃げろ出ないと死ぬかもしれんぞ?」

「…。わかった。気を付けろよ?」

「あぁ。」


 そういうと結城は人化して氷漬けのシュレディンガー少年を担いでどこかへ走り去っていった。真神もリルもミネルヴァも。

「っけ何が死ぬかもしれないだよ。弱小な鬼種ごときが。」

 悪役の捨て台詞のような言葉を吐きながら再度氷の弾丸を大量に生成し私に向けて放つティルキア。しかし、その氷の弾丸は私に触れる前に形を変え消えてしまう。

「お前のその異能…マナを使ってるだろ?」

「だがらどうした?」

「じゃあ勝てんよ。」

 リン/私の体がティルキアに接近し、腕をつかんだ。瞬間水蒸気が視界を曇らせる

「鬼という種族はな…マナを操作できるんじゃよ。マナは力の源。魔素は世界に干渉する力。マナは当然魔人である貴様の中にもあるんだろ?ならそいつを直接操作するとだな…。」

「おい、何をする気だ!?」

「マナを制御してやろう。」

私の体に仄かに青い光が宿った。光はそのままティルキアへと流れティルキアは悶え苦しむ。

「熱い!体が熱い!うぎゃぁぁ!」

悶絶し終いには本当に火がつく始末。奇麗な青い炎だった…。灰になっていくティルキアのくもんに満ちた表情を見ていると最後の最後に口元が少し、綻んだように見えた。

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