魔王学校入学後、最初の休み。魔王学校 1年目(4月12日)
「薫は、ちゃんと友達を作れた?」
「作れてない」
今日は、学校が休みの日。
初の休みだ。
ユイは、気をきかせて、学校から外出するのを提案してくれたのだった。
薫は、入学してこの4日間(8日、9日、10日、11日)は、生きた心地がしなかった。
いかに元勇者だとしてもこんな状況は初めてだろう。
確かに、昔、魔王討伐のために、魔王と敵対している魔族と一緒に戦ったこともあっただろう。
だが、今は、寮生活で、一緒に学校にいる者達はいったいどんな立場だかわからない。
もしかしたら、勇者の時に、戦ったことのある魔物や、たおした魔物の子供もいるかもしれない……。
魔物と仲良くなって一緒に遊んでいたら、魔物の罠だったということでは、命がいくつあってもたりない。
薫は、そんなことを警戒していたこともあり、学校で緊張し、ガチガチになっていて、異様な雰囲気を漂わせていたのだった。
「ユイは、よく平気でいられるなっ?」
「平気ではないよっ。
内心、ビクビクだよ。
でも、何年も前からこうなるってわかってて準備してたし、
それに……。
「それに?」
「なんかあったら、薫が守ってくれると思ってるから……」
薫は、ユイの言うとおりだと思った。本気になれば、いつだって、学校ごとはかいできるできるほど力がある。
なら、もしピンチになれば、全部壊してしまえばいい。
退学にされたら、そのまま力づくで魔界を征服してしまえばいいじゃないか。
「そうだね。
ユイが気晴らしに誘ってくれてありがとう。
何かあったら、俺が守ってやるからなっ」
ユイは、顔を赤らめ、下を向く。
そして、2人で学校に帰るのであった。