決闘前。魔王学校 1年目(4月27日。9時ごろ)
薫の決闘の場所は、広い草原の場所が設定された。
時間は10時からだ。
薫はアイは、一緒に決闘となる場所を下見した。
そして、決闘まで時間があるので、空いている会議室に入り、イスに座った。
「薫、大丈夫よね?」
「問題ない。一対一で俺が負けるはずがない。
ただ、万が一の時は、元勇者とばれてしまうような力を使ってもいいか?」
「そうねぇ」
アイは足を組み直して考えている。
『トン、トン』
ドアがノックされる音がした。
こんな時に薫とアイに会いに来るなんて一体誰だ?と思い2人は顔を見合わせる。
薫は、アイと2人きりだったため、仮面を外していたので急いでかぶる。
そして、アイが薫が仮面をかぶったのを確認してドアを開けた。
ドアを開けたら、ヒロがいたのだった。
そして、ヒロは室内に入る時に、後ろに誰もいないか確認して、部屋の中に入った。
ヒロは話し出す。
「薫は、元勇者だね?」
「「……、……」」
薫とアイはどう答えようか返答に困ってしまった。
が、アイが回答しないことはまずいと思い、
「違いますわ」
と答えたのだった。
それに対して、ヒロは、
「いや、隠さなくていい。
むしろ歓迎しているくらいだ」
と話したのだった。
「いったいどういう意図をお持ちなのだかわかりませんが……」
とアイがヒロに聞く。
ヒロがアイから本音を引っ掛けるために、『歓迎している』と言って誘っているかもしれないと考えてアイはそう言ったのだろう。
ヒロは、アイが考えていることを理解してか、
「まぁ、身構えるな。
と言っても無理な話だろう。
だから、一方的に話をしよう。
俺は、薫が元優者であれば歓迎している。
まして、アイがなんらかの繋がりを持っているならなおさらだ。
我が一族で魔剣を抜けるものは誰もいなかった。
おそらく次の魔王に魔剣が選んでるのは、元勇者だろう。
そして、次の魔王が我が一族の味方で有って欲しいと思っている。
できれば、一族の結婚相手になって子孫を残してくれればなおいい」
「そうですか……」
アイが無表情で答える。
「アイが困ったことがあったらいつでも相談しにおいで。
できるだけ力になるから。
その証拠に、会議の場で薫の仮面をはずさせなかった。
また、今回の決闘で勝てば薫が一定の評価が得られるような場面を作ったのだよ。
「ありがとうございます。
いつか話せる時がきたらお伺いしますわ」
「待ってるよ。
それと、薫。決闘では相手を殺さないようにしてくれよ。
殺すと揉めるかもしれないから……」
とヒロは薫の方を見て、笑顔を作った。
そして、部屋から出る時に、アイの肩を2回『ポン、ポン』と叩いて行った。
「なんで薫のことがバレたのだろう」
とアイは驚きながら話した。
「おそらくパーティの時だと思う。
握手をした時に一瞬魔力を流されたから……。
でも、何も言われなかったからほおっておいたのだけど……」
と薫は考えながら答えたのであった。
「そう。
さすが兄ね……。
そういえば、さっきの元勇者とバレるような力だけど、使ってもいいわ。
なんかあったら兄がなんとかしてくれるでしょう」
アイは薫の笑顔で言ったのだった。
そう雑談をしていたら、決闘の時間が近づいてきたので、薫とアイは立ち上がり、決戦場に向かったのだった。




