誘拐。魔王学校 1年目(4月27日。7時ごろ続きの続き)
「アイ。
ちょっとやりすぎじゃないか……」
薫がアイに話しかけた。
薫が言っているやりすぎというのは、アイがマキに対する行動のことだった。
「そうね。
ちょっとやりさぎかもしれないとは思うけど……」
薫は、アイが話した回答が思っていた方向と違ったので驚いた。
「じゃあ、なぜあんな扱いをするんだよ」
「昔ね、私の一族で天界にさらわれた女の子がいたわ。
なんとか救出することができたんだけど、戻ってきた姿は全身殴られたあとだらけで、精神は崩壊していたわ。
それで、救出することができたのもかかわらず1週間後には死んじゃったの。
私は、その子と歳が近かったこともあり、仲良かったので、そのことを思い出すと、つい天使に対して感情的になっちゃうのよ。
やり返したいってね」
「……、……」
薫はなんて話せばいいかわからない。
「魔界と天界は力のレベルが近いから、よく誘拐とか小競り合いがあるわ。
だから、こないだの黒い羽の相手が私をさらったことは、珍しいことじゃないの。
まあ、薫は、まだあの奴隷の扱いを今よりよくして欲しいって言うだろうから……。
すぐに変えることは無理でも徐々にでも優しく接することができるようにするわ」
「ありがとう」
と薫は伝えたのだった。
「ところで今回急に呼び出されたのはどんな話なの?」
と薫はアイに聞いた。
「わからないわ。
兄のヒロが至急2人で来て欲しいって伝言があったため、向かってるのよ」
とアイはこたえた。
そして、アイは目的の場所についたらしく、
「ここの部屋よ」
と言いながら大きなドアを開けたのであった。




