服。魔王学校 1年目(4月27日。7時ごろ続き)
薫はアイが行った部屋に行った。
部屋には、大きなベットがあって、家具に使われている色は黒や紫色が多かった。
どうやらアイの寝室のようだ。
アイは椅子に座り、足を組んんでいる。
そして、窓から外を見て、なにかを考えているようだった。
アイは薫が部屋に入ってきたことに気がつき、薫に話しかける。
「あら、あの奴隷と一緒にシャワーを浴びてこなかったの?」
アイはマキのことを奴隷と呼んでいる。
まだ、奴隷扱いを続けるつもりなのだろう。
「もう、奴隷扱いをしなくていいだろう?
それに、いつもなら俺が女と仲良くすることを嫌がるくせに、シャワーに一緒に入ってもいいのかよ」
「奴隷は奴隷に決まってるじゃない。
あの奴隷の体のどっかに、魔王城の奴隷の焼印が付いているわ。
そうそう、今後は、うちの奴隷になるんだから、魔王城の奴隷の焼印を消して、新しい焼印を付けなきゃね。
それに、奴隷は女じゃないわ。
だから、あの奴隷と薫がなにしたって気にならないわよ」
薫は、アイはそのように教育を受けてきたのだろうなって思った。
薫が言いたいことはおそらくアイに伝わっているはず。
だが、アイは考えを直そうとはしない。むしろ、薫に反発しているような様子だ。
薫は、アイをどう説得しようか悩んでいると、沈黙が生まれた。
『コン、コン。コン、コン』
アイの部屋から誰でも通れる通路へ出るためのドアからノックの音が聞こえた。
訪問者が来たのだろうか?
アイが
「薫。
ちょっと待ってて」
と言って、ドアの方に行き、誰かから話を聞いて、薫のところに急いで戻ってきた。
そして、アイが焦っている表情で、
「薫。
仮面と防具をつけて、早く一緒に来て」
と言ったのであった。
薫が着替え終わり、部屋から出ようとした時に、ちょうどマキがシャワー室から出てきた。
「あの……。
ご主人様。
服はどのようにすればよろしいでしょうか?」
マキは裸のままで、大事なところはバスタオルで隠していた。
廊下で待っていたアイは、マキの声が聞こえたのか戻ってきて、
「バスタオルを持っているけど、バスタオルを使っていいなんて言ったかしら。
その上、洋服まで要求するなんて……。
本当になってないわね。
戻ってきたら、たっぷりと教育をしてあげるわ」
と言ったのだった。
アイの右手がマキをはたこうとする動作に入っていたにもかかわらず、はたかなかったのは進歩なのではないかと薫は思った。
「ひぃっ……。
申し訳ございません」
とマキは言いながら、また座りこんでしまった。
「そのまま裸のままでいなさい」
と、アイは満足そう言ったのであった。
が、薫は、マキがかわいそうだと思い、
「アイ。
服くらいかしてあげろよ」
と伝えた。
アイは、ものすごく不満そうな顔をしていた。
が、仕方がなさそうに服を持ってきて、マキの前に『バサッ』とおいて、
「感謝しなさい」
と言って、早足で部屋を出て行ったのだった。
薫は、マキの肩を優しくたたき、アイの後を追ったのであった。




