婚約。魔王学校 1年目(4月26日。夜の続きの続き)
「奴隷にはなれない」
薫は、アイの顔を見て言った。
「そう、じゃあ、あの天使を諦めるのね」
アイは薫を見ながら、楽しげに話している。
「他に手はないのか?
アイのメイドにするとか……」
「私のところにきたら……。
薫に真剣に考えてもらった娘だと思ったら、いじめちゃうかもしれないわ」
「それでは意味がない……」
「じゃあ、諦めることね」
2人とも椅子に座っている。
だが、2人の状況は対照的だ。
薫は前のめりになっており、真剣な顔つきをしている。
一方アイは、アイを組み、椅子の背もたれに寄りかかっている。この状況を楽しんでいるようだ。
薫とアイの会話に沈黙ができる。
薫は、何か手がないかと真剣に考える。
そして、何かひらめいたように薫が話し出す。
「戦争とかで功績をあげて、その恩賞で支払うっていうことはできないか?
そういえば、アキさんの軍が苦戦しているって言ってたから、その軍に加わるとか……」
「そうねぇ〜。
私としては、薫が私の奴隷になって欲しいのだけど……。
兄の軍は苦戦しているって言ってたから、加わるっていうこともできなくはないわ。
けど、どうやって加わる気なの?」
「アイ、頼む。
軍に加わらせてもらうように頼んでくれないか?」
「どぉ〜しようかなぁ」
とアイは、下を向きながら足をぶらぶらさせながら言った。
「黒い羽を持つ相手から助けたいだろ?」
と薫はなんとかアイを説得しようとする。
「あれは、別に私は頼んでないし。
もし、あの時のお礼を求めるなら、私をあげるわ」
「そうじゃなくて」
薫は、語気を強くして言った。
アイは腕と足を組み、考え出した。
薫は、アイの顔を見ながら、アイが話し出すのを待った。
2人の会話は途絶え、再び沈黙となった。
そして、アイが薫の顔を見て話し出す。
「わかったわよ。
軍に加われるように頼んであげるわ。
その代わり条件を出すわ。
①あの天使は私の付き人にする。いじめるようなことは、しないようにするわ。
②私も軍に一緒に行き、私の部下として戦うこと。
③必ず成果をあげること。
そして、最後に、
④私と婚約すること。いつ発表するかは、私に決定権があるものとする。
これを、約束できるなら、今、引き取ってきてあげてもいいわ。
みんなハッピーになれるんだからいいでしょ?」
「わかった」
と薫は答えた。
「じゃあ、今から行ってくるわ」
とアイは言って、楽しそうに部屋から出て行ったあのであった。




