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元勇者は、魔王になるために天界で修行する。

「無事に着いたようです」

ユイは、ニコッとしながら薫に話しかける。

天界には、人間界、魔界にはない、聖なる空気がある。

薫は、勇者の時に何度か天界に着たことあり、天界の空気を知っていた。

が、着いたとこはなんか違う。

天界の空気もあるが、魔界の空気も混じっている。

例えるなら(乱暴かもしれないが)、匂いの良い香水が満たされている部屋の中に、腐った生もの臭いが入って、いい匂いと臭いごちゃ混ぜになった感じだ。

薫がいままで訪れたことのある天界と雰囲気が違う。

「ここは、本当に天界なのか?」

「天界ですよ。

ただ、魔界に近い場所になります」

「ん、んっ?

なるほど、だから、天界の空気の中に、魔界の空気が混じっているのか。

でもいったいなぜここに?」

「私が、魔界の空気に馴染み、また魔界に行っても襲われないようにするためです」

さっき、確かに天界から3日以内に魔界から来た天使は襲われやすいと言ってたから、体をならすために魔界に近い天界を選んだのだろう。


天界にきて、ひと段落して、

「そういえば、どうやれば魔王になるんだ?」

と、薫は、ずっと気になっていたことを聞いた。

「魔王学校に入って卒業をし、各地を治める魔物に王を認めさせれば、魔王になれます」

「魔王学校を卒業って?」

「高校程度の内容を習得していただく、教育機関でございます」

「いや、いや、いや、力ずくで、魔物を制圧すればいいんだと思っていたのだが……」

「最終的にはそうなのですが、魔王の仕事は魔界の繁栄。

そのために、ある程度の学力が必要になるのです。ある魔王の時代から魔王学校を卒業したものでなければ、魔王になれないと定められたのです」

「けど、元勇者とバレたら、襲われたりするんじゃ……」

魔王をたおした元勇者とはいえ、不意打ちで魔物の大軍に襲われ、何日も戦うことになったら、持久力で負けやられてしまうことを懸念して当然の質問だった。

「大丈夫です。

薫様がたおした魔王にも反対派閥がいるため、そちらの勢力からは、むしろ歓迎されています。

それに、ここで元勇者とわからないようにするために、修行をしていただきます」

「んっ、ん?

てことは、天界由来の魔法は使わず、魔界由来の魔法のみしか使えないということか?」

「そうなりますね。

天界由来の魔法を少しなら使っても問題ないと思いますが、やはりできるだけ使わない方がよろしいかと思います。

なので、魔界由来の魔法を、ここで修行していただきます」

薫は、勇者時代に天界由来の魔法をよく使った。

なぜなら、魔物に効果絶大だったからだ。

だから、勇者は天界由来の魔法を使うと魔界に知れ渡ってる。

それに、薫が持っている聖剣は、天界由来の魔法と相性がいい。

薫が全力を出して使え剣は、聖剣のみだったのだ。

薫は、多少なら魔界由来の魔法を使える。

ただ、その力は、レベルの低い魔物と戦うのにすら、苦労する程度のものなのだ。相当、気合い入れて修行しなければいけない。

「ところで、いつから入学することになるんだ?」

「4月の頭に他の新入生と入学することになるので、あと1ヶ月ですね?」

薫は、なんでそんな日程にしたんだと思いながら、もくもくと修行を始めたのだった。


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