退屈な時間。魔王学校 1年目(4月22日。時間、不明。続きの続き)
「なんだか悲しそうな顔をしているわね。
誰も、私なんかを、危険をおかしてまで助けに来るわけがないっていう顔。
けど、内心は……、彼が来るかもって、期待しているのでしょう?」
と黒い羽を持つ相手は、アイに話しかけてくる。
「期待してなんかないわよ」
「そうね、そうかもしれないかもね。
だって、彼は……。
そうそう、彼の正体を知っているのでしょう?」
「知らないわ」
アイは、薫が元勇者だということを知っていた。
そして、知らないふりをして、学校に入学して薫に近づいた。
『知らない』とアイが答えたのは、そのことを相手にわざわざ話す必要がないと思ったからだった。
「……、……。
本当に知らないの?
元勇者なんでしょ?
そんなことくらい知っているわ。
でも、みんな気づかない者は多いみたいだけど……」
だが、アイは知ってても答える必要はないと思い、
「知らないわ」
と、言ったのであった。
「なんだか待ってるだけって、けっこう退屈ね。
あなたは、こう待ってると、昔捕まったことを思い出すんじゃない?」
黒い羽を持つ相手は、椅子に座り、足をブラブラさせている。
「なんでそのことを知ってるの?」
「ちょっと関わっていてね。
そうそう、あなたを助けにきた将軍がいたじゃない?
あの将軍に攻撃したのは私よ。
死ぬ前に会うことができたのだから、よかったでしょ?」
「死ぬ前に会えたって、戻ってきた時には、もう死にかけて、一言喋って死んだわ」
アイは、黒い羽を持つ相手は、憎々しく睨む。
「そう、睨まないでよ。
その将軍が弱かったから、悪いのよ。
むしろ、生かして返してあげたのだから、感謝して欲しいわ」
黒い羽を持つ相手は、楽しそうに話しながら、頬をふくらまし『プンプン』といった感じだ。
そして、黒い羽を持つ相手は、続けて話す。
「本当に退屈だから、あなたの体で、ちょっと遊んじゃおうかしら」
そんな話をしていると、黒い狼型の使い魔は立ち上がり、殺気を放ち出した。




