結婚するためにやってきました。魔王学校 1年目(4月21日。朝)
魔王学校の朝。
朝礼前のことになる。
薫のクラスでは、楽しそうに、仲のいい人同士で集まって話をしている。
その中には、声の大きい者や、噂好きの者がいる。
どこの学校にもある光景だ。
そんな中、2箇所で同時に、薫の噂がされていた。
しかも、いやがらせと思うよな内容だった。
まず、1カ所では、ユイが女友達と話しているところだ。
「ねぇ、ユイ。
薫君といつも一緒にいるけど、どんな関係なの?」
ユイは、周りから薫と中のいい人認定されてとても嬉しそうな顔をしている。
そして、顔を赤らめながら、両手で顔おおさえ、もじもじしながら、
「私は薫の性奴隷です」
と言ったのであった。
最近、ユイはよく、人前で『薫の妻です』とかって言ってたので、やめろって強く言ってた。
それなのでユイはかわりとなる表現を考え、『性奴隷』と言い出すようになったのだろ。
案の定、ユイと話していた女友達は、予想を超える内容だったので、どう答えていいか言葉を探してる。
そして、ようやく、話し出す。顔は、ひきぎみな表情になっている。
「あっ。
そうね……。
薫君はそういう趣味があるのね……」
もう一カ所では、ナナが女友達と話しているところだ。
しかも、同じような内容だ。
「ねぇ、ナナ。
こないだ、薫君と2人きりでお昼を食べたって聞いたけど、なんか進展あった?」
ナナは、顔を赤らめながら、うつむきかげんに、恥ずかしそうに話す。
「エヘヘ……。
こないだ、薫君の部屋に行ったの……」
「行ったっていうことは……?」
「えへっ……」
ナナは、笑顔で返す。
そして相手は、その笑顔は、最後まで行ったから話せないのだと思ったのだろうか、
「いくとこまで、いったんだね」
と、笑顔で言っていた。
薫は、どっちも間違っている方向に進んでるので、両方に話に行こうと思ったら、
教室のドアが開き、担任の先生と、学校の制服を着た身長の低い少女が入ってきた。
その少女は、髪の色はグレーで、線は細くどことなく気弱そうに見える。
そして、各々の席についた。
まずは、先生から話があった。
「今日は、この教室に新しい生徒が加わる。
元魔王の孫になり、王族となる。
ちなみに、生徒会長と兄弟になる。
では、自己紹介をしてもらう」
「アイと申します。
私は、薫君と結婚するためにやってきました」
アイが、みんなの予想を超えることを言い出したので、教室が大騒ぎになった。




