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魔王をたおした真面目な勇者は、グレました‼︎  作者:
3章:元魔王の孫、アイ
33/97

おかしいと思ったことはないかい? 魔王学校 1年目(4月18日。放課後)

「いやぁ〜。

本当に、薫君達の仲間になってよかったよ」

と、フミは生徒会室の椅子に座って話している。

「よかったじゃ、ないですよ。

こんな力仕事ばかりやらされて、大変なんですから」

と、生徒会室の本棚を薫が一人で移動させている。

「がんばってください」

ユイが薫の応援を楽しそうにしている。

今、生徒会室にいるのは、薫、ユイ、フミの3人。

他の生徒会役員は、みんな炎の鳥によって負傷したりして休んでいる。

放課後、薫達が教室から出ようとした時に、フミにつかまり、「仲間は助け合うもの」って言って、強引に生徒会室へ連れてこられたのであった。


「薫君はいまいちやる気が足らんなっ。

ちゃんと頑張れば、おねいさんがご褒美をあげるからなっ」

「いらないですよ。

なんかご褒美を要求したら、どんな仕事を要求されるか考えただけで恐ろしいですよ」

「そうです。

フミさん、薫には、『私をご褒美にあげます』から、フミさんのご褒美はいらないです」

「ユイがそういうのなら、『私も薫にあげよう』」

「いやいや、どちらもいらなですよ」

「薫は、そういいながら私に手を出してくるんですよねぇ〜」

「ユイはともかく。

学校の美少女ランキングで1位を争う私をいらないだなんて……。

他の男子が聞いたら、闇討ちを食らうぞ」

「あぁ〜。もういい加減にしてください。

そうやってからかうんだったら、もう手伝いませんよ」

「そうですね、薫。

手伝いをやめて、私とどっかに行きましょう」

「おい、おい。

ユイはどっかに行ってもいいが、薫君にいなくなられたら困る。

私がお金を出して、ユイにジュースを買ってきてもらうから、もう少し手伝ってくれ」

「えっ、フミさんは、薫と2人きりになって、エッチなことをする気ではないですよね?」

「自動販売機はすぐ近くだからそんなことができるわけないだろう?」

「わかりました。

薫が頑張ってるので、買ってきます」

と、ユイは言って、ジュースを買いに行った。


「それにしても、薫君が使っている剣は、ボロボロだなぁ〜。

次に何かを切ったら、折れるんじゃないか?」

フミが薫の剣を持って、軽く振りながら言う。

「コツがあるんですよ。

まだもう少しは使えると思います」

「そうか?

買いかえた方がいいような気がするが……。

ところで、ナナの体はどうだった?」

「いきなりですね。

何もないですよ」

「ヘタレだな」

「……。

ところで、ユイを部屋からいなくしたのは、なんか理由があるのですよね?」

「特に理由はないが、2人で話しをしてみたくなってね。

薫君は、この世界がおかしいと思ったことはないかい?」

「おかしいとですか?」

「そうだ。

だって人間より強い魔物が、人間より環境の悪い魔界で生活しなければいけないなんて、普通、おかしいと思うだろう?」

「……、……」

薫は、考えたことがない話だったので、答えられなかった。

元勇者ということもあり、どこか人間側の視点で考えてきてしまったのだろう。

だが、魔界の住人の立場だったらどうか?

当然、おかしいと感じるはずである。

薫がそう考えていると、フミが

「ちっ。

もう、戻ってきたのか」

と、つまらなそうにつぶやき、薫に抱きついてきた。

「なっ、何をするのですか?」

と、薫はあわてていると、生徒会室のドアが開いた。


「いったい私がいない間に何をしてたのですか?」

ユイの声だった。

ユイは、笑顔を作っていたが、顔は引きつっており、怒りのオーラを漂わせていた。


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