ナナを探すため、保健室から出る。魔王学校 1年目(4月16日。真夜中)
薫は、4月16日の真夜中に起きた。
お腹のあたりは軽い。
ユイは、薫の上からどいたのだろう。
ユイはどこに行ったのだろうか?と、薫が考えてると、右耳にくすぐったい風があたる気がした。
右側を見ると、ユイがいた。
とても気持ち良さそうに眠っている。
薫は、ユイを起こさないようにして、ベットから降りた。
そして、体がどこまで回復しているか、確かめるために体を少し動かす。
万全な状態とはいいがたい。
だが、万が一、炎の鳥に襲われた時に逃げ切るだけの力は戻ってきている。
薫は、寝ていて体が動かなかったとき、ナナの状況がずっと気になっていた。
だから、真夜中ではあるが、ナナを探しに行きたいって思った。
本当であれば、明日、フミに話を聞いて、学校にいるのであれば面会依頼。いなければ、捜索活動に協力するというのが普通だろう。
だが、早くナナに会い、話を聞いて、力になってあげないと、取り返しのつかないことになってしまいそうな気がした。
事件の真相に近づいていくと、犯罪組織が絡んでいる可能性も考慮しておいた方がいいと薫は思っている。
まずはどうするか?と、薫は考えたとき、装備を整えることにした。
それは、ナナを探していときに、誰かから襲われる可能性を考慮したためだった(薫は、怪我をして、意識がないまま保健室に連れ、誰かがラフな服装に着替えさせてくれた。また保健室に来る前に着てた制服は、炎の鳥に攻撃され、ボロボロになっているからもう着れなくなっている)。
そう思いドアの方に一歩近づいた時だった。後ろから、ユイの眠そうな声が聞こえてきた(薫としては、ユイを起こさなにように細心注意をしていたにもかかわらず、ユイが起きたことに驚いた)。
「どちらに行かれるのですか?
もう、体の調子は大丈夫なのですか?」
「あぁ、もう大丈夫だ。
ナナを探しに行こうと思っている」
「そうですか。
なら、私も一緒に行きます」
薫は、ユイを連れて行って大丈夫か?もっと言うと、足手まといにならないか?と、考えた。
が、ユイのいつもにもない真剣な顔を見て、一緒に行くことにした(そこまで、真剣な顔をして主張するには何か考えがあるのだろうと、薫は判断した)。
「わかった。一緒に行こう」
「はい」
「まずはどちらに行こうと思っているのですか?」
「さすがに今の格好だとラフすぎるから、寮の自分の部屋に行って装備を整えた後、手がかりを求めて炎の鳥が突っ込んだ場所に行ってみようと思う」
「わかりました。お供します。
……、……ところで……。
あのっ……、……。」
「んっ、どうした?」
寝ている間に、ユイが新情報を得て、薫に報告しようとしているのだと思った。
何か言いづらいことなのだろうか?
「なぜ、一緒のベットで寝ている時に、手をだしてこなかったのですか?」
薫は、聞いたことを後悔した。




