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Reincarnation saga(リーンカーネーション・サーガ)  作者: 八咫烏
◇青年期編~第三章~◇
63/66

バラスチカ攻略戦~その十二~

最近、忙しく投稿が遅れましたm(__)m

では、63話目開始です。


ユーリ・アルベールは、

連合国軍の一角……右翼を守っていた『コートラッド王国』軍からダイナマイト付きの矢の雨が降り注ぐ光景を目の当たりにしていた。


凄まじい数の矢の数に絶句する。

急いで何らかの防御をしないと私を含む指揮所が壊滅してしまう。

そうなると、戦況は一機に帝国軍に傾くだろう。


 そう思った瞬間、凄まじい轟音が辺りに鳴り響き、突風が当りを吹き抜ける。

凄まじい突風というか……爆風?だ。

忽ち『コートラッド王国』軍から飛んで来ていた矢の雨がそれによって吹き飛び、

空中でダイナマイトが爆発する。

そして当りの矢も巻き込みながら誘爆し、そらに爆発による花火を咲かせた。


 その突風の数秒後、今度は地震が起る。

かなりの揺れで、立ち上がろうとした体をまた地面に伏せさせる事になる。

その揺れは、そんなに長くは続かず数秒で収まっていた。


 突然の天変地異に救われた私は、辺りを見回す。

指揮所の人員には、被害は無いようだ……

空を見ると先ほどの突風で魔法師部隊が作り出していた暗雲が吹き飛ばされていた。


 しかし、北の空に奇妙な雲を発見する。

それは巨大な茸雲……丁度、工業都市バラスチカの辺りだった……


◇◇◇◇◇


 バラスチカに何かあった!!

しかもかなりな爆発。

3~40kmは離れたこの戦場で影響が出るほどの大爆発だ。

リーン達、雷鳳騎士団は無事だろうか?!


 私は、副官のリオンさんに全軍の後退を指示する。

味方だった『コートラッド王国』軍が裏切ったのだ。

戦線をこのまま維持するのは難しい。


 一旦、後退し、部隊の再編成をしないといけなかった。

その後、直ぐに、私は、エリザに雷鳳騎士団との連絡を取って、

戦況を伝えるように指示をだす。


 本当は、バラスチカ攻略部隊の状況……

というか……リーンの安否を直ぐに確認したかったのは言うまでも無い。

私は軍を後退させながら、リーンの無事を祈る。

『神様どうかお願いします!

リーンが無事でありますように!!』


 指示を出して数分後、エリザが雷鳳騎士団と連絡が取れたと報告してきた。

本当の所、エリザは、爆発後、ユーリから指示を受ける前に、

全軍の連絡を他の兵に引継ぎ、独断で、雷鳳騎士団と連絡を取ろうとしていた。

だが、爆発の影響で、バラスチカ近辺のエーテルが希薄になっていた事もあり、

今まで、連絡が付いていなかった。

爆発から30分経過して、どうやら、やっと通信が出来る程度にはエーテル濃度が回復したらしい。


エリザは、雷鳳騎士団の臨時副団長となっている『ベアトリス・バトン』と連絡を取る事が出来ていた。


「ベアトリスさんですか?」


「エリザか?!

こちらからも本隊に何度も連絡しようと試みていたのだが、

エーテル濃度が希薄なようで、今まで連絡がつかなかった」


「了解です。

こちらも同じ様な状況でした。

で……申し訳ありませんが急ぎ、戦況をご報告ください」


「解った……

バラスチカは敵司令官が仕掛けた強力な爆弾により壊滅した……

我々の部隊はその爆発に巻き込まれ、散りりにバラスチカを脱出。

部隊の四分の一は生死不明だ。


 バラスチカの制圧は成らなかったが、

異世界人と彼らの開発した物の殆どが壊滅したのは間違いない……

作戦の半分は成功と言える。

現在、そちらに合流すべく撤退中だ……」


「そうですか……

ところで、リーン団長はご無事ですか?」


その言葉に一瞬、ベアトリスが沈黙する……


「……現在……団長は行方不明だ……」


「……そんな……」


「リーン団長は、敵の爆弾の被害を最小限に留めるべく、

その場に残られ、爆弾を地中に埋める作業をお一人で行われた……

脱出は……こちらでは確認出来ていない……

だが、そのお陰で、部隊への被害は最小限に出来たと思う……」


事実、爆発による被害は都市内……

城壁内に留まっていた。

城壁内は各燃料貯蔵庫などの誘爆もあり、壊滅的な被害を受けていたが……


―――――

――――

―――


ユーリは、エリザからベアトリス副団長の報告を受け、

呟く……

「リーンが行方不明……」


「……ええ……」


私は目の前が真っ白になった。

とても信じられない。


「……ベアトリス副団長によると、

脱出はかなり困難な状況で、生存は絶望的だと……」


エリザは、彼女にしては珍しく、歯を食いしばり、拳を握って、

搾り出すように報告した。


私はその場で、茫然自失となり、膝を付く……

だが、状況は、撤退行動中……

敵も後退しているようだが、まだ、予断を許さない状況だ。


私達がその場で足を止めているのを副官のリオンが諌める。


「指令!

まだ、戦いは終結していません!

しっかりしてください!

貴方はこの連合軍の総指令なんですよ!」


リオンが私の両肩を掴み揺さぶる。

私は焦点の合わない目でリオンを見返し呟く。


「……で……でもリーンが……」


「あの方なら大丈夫!

あの方は今までどんな状況になっても生き残ってきました!

それは貴方が一番良くご存知のはずです!


まずは、我々が無事撤退しなくては!

その為にあの方は危険なバラスチカ潜入作戦の陣頭指揮を取られたのですから!」


私はその言葉を聞いてもどうにも力が入らない。


「……で…でも……」


「大丈夫です!

あの方が無策でその場に残るはずがありません!」


その声にエリザも同調する。


「……リーンは何かに付けて考えてから行動していた……

私もリオンさんの意見に同意する……

リーンには何か脱出の手段があったと思う……」


私はその言葉に少し勇気付けられ、弱弱しくはあった、何とか立ち上がる。


「……そうね……

私もリーンを信じる。

まずは、この状況を切り抜けましょう」


こうして、私達連合軍は、『クー・シー公国』の国境まで戦線を後退するのだった。


◇◇◇◇◇


 リーンは、頬に当る冷たい風で意識を取り戻した。

どうにも体がかなりだるい……

ルールスペースの発動限界を超えて気を失っていたようだ……

目を開け、周りを確認し、僕は驚く。


 僕は空を飛んでいた……

いや、正確には、飛竜ドラグーンの足に掴まれて、運ばれていたのだ。

眼下には、草原地帯が広がっているのが確認できる。

少し体を比ねって、飛竜ドラグーンを確認すると、

黒い飛竜ドラグーンは嬉しそうに「グアァァァア」一声鳴いた。

僕の騎竜の「アスラン」だ。

どうやら僕は、アスランに助けられたらしい……


僕は、覚醒し始めた頭で、この状況に至った経緯を思い出す。


―――――

――――

―――


僕は原子爆弾の威力を少しでも弱める為、

ルールスペースで地面を分子に分解して、

竜巻で土砂を外に放出しながら掘り進む事で爆弾を地中に埋めようとしていた……

15mも掘り進んだだろうか、既に掘り始めてから15分が経とうとしていた。

もう爆発まで5分しかない!

ルールスペースの発動限界も間近だ。

というか、倦怠感が半端ではない!

この間々倒れてしまいそうな意識を必死で繋ぎ止める。


「っ……これ以上は無理か!

意外と掘れなかったが仕方がない!」


もうここいら辺が限界だった。

僕は意を決して、掘削を止め、上を見上げる。

穴は少し斜めに掘り進んでいたので、正確には斜め上だが。


この角度ならちょっとキツイかもしれ無いがしょうがない。

僕は、倒れそうな意識を奮い立たせ、ルールスペースで穴に沿って電磁レールを作り出す。

そして、自身に圧縮空気を纏わせた。


「行くぞ!!」


僕は掛け声と共に、後方の圧縮空気を放出し、穴の外に向けて飛び出す!

そして、電磁レールで更なる加速をかけた。

そう、僕は『電磁カタパルト』を作ったのだ。


まさに僕は、自身を弾丸と化し、高速で穴を突き抜ける。

僕はそのまま空を駆け上がって雲を突き抜けたのだった……


―――――

――――

―――


と……そこで僕はルールスペースの発動限界で気を失った……


「……っふーー危なかった……な」


丘の上で待機していた『アスラン』が僕に気づいて助けに来てくれなかったら……

僕は高高度からパラシュート無しでダイブする所だった。


僕は改めてアスランに礼を言う。


「ありがとう、アスラン助かったよ!」


後方を振り向くと茸雲が確認できる……


みんなは無事、脱出出来ただろうか……


この上空からだと部隊が脱出した方向では無いのか確認できない。

僕は更にアスランに声を掛ける。


「帰ろう……みんなの所に」


アスランは了解とばかりに「グアァァァア」と一声吼えるのだった。

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