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Reincarnation saga(リーンカーネーション・サーガ)  作者: 八咫烏
◇青年期編~第三章~◇
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バラスチカ攻略戦~その四~

 ジェイコブ・スミスは、自軍の爆撃機が撃墜される様を呆然と見ていた。

まさか、視認出来ない筈の爆撃機が撃墜されるとは思っても見なかったからだ。


「…な…なんだ!

あの巨大なレーザー光?は!

しかも、見えない筈の我が軍の爆撃機をどうやって確認したのだ?!」


近くにいる兵達は誰もその問いに答えられずにいる。


「…くっ!

直ぐ、バラスチカに連絡を取れ!

被害を受けなかった爆撃機には、補給後、再度出撃させて欲しいと!」


私は歯を噛締めて敵陣を睨みつける。

今回の開戦に合わせ、連合軍のレーザー銃対策として、

光属性魔法に対抗させた防壁魔法を盾や装甲に施していた…

しかし、それを行っていたにも関わらず、爆撃機は撃墜されてしまっていた…

恐らく、防壁魔法を物ともしない出力のレーザーだったのだろう…

だが、さっきの攻撃は個人での攻撃には見えなかった。

多分、砲台並みの大きさ…

ならば小回り効かないはず…

私は、その事実に行き当たり、指示をだした。


「後方の機械化部隊を導入する!

『装甲車』を準備させろ!

後、重装騎兵にも出撃準備だ!」


◇◇◇◇◇


リオン・ウィード・ヴォルターは、総司令の支持を受け、

『誘導雷撃部隊』に目標への攻撃命令を出した。

既に各隊には、自分達が攻撃する目標を通達してある。

各隊の水魔法師達の詠唱が始まった。

雲の中にアラレを量産する、それに続いて風魔法師も摩擦を起こさせる風魔法を掛け始める。

程なく、雲の中に稲光が起き始め、雷の起こす、雷音が響き渡った。

それを見計らい、風魔法師が、今度は雷雲から目標までの真空通路を形勢する。


真空通路を作り終わるか終わらないかの状況で、忽ち敵陣の数箇所に落雷が起こった!

辺りに無数の落雷の為、連続して凄まじい轟音が鳴り響く。


敵軍後方の補給部隊に爆発が起き、火の手が上がるのが確認できる。


正確に目標に命中したようだ。


私は、次の目標を各部隊に指示を行う…


◇◇◇◇◇


 ジェイコブ・スミスは、突然の地響きを伴う轟音に体勢を崩した…

副官に振り向き、何ごとか問いただす。

『…この轟音?!…まさか、『雷の狙撃者』の攻撃か?!』


副官は部下に確認の為、各部隊に状況を報告するよう指示をだし、

程なくして、各部隊から状況報告が入ってきた。


「…司令官閣下!敵の攻撃です!後方部隊の兵糧と幾つかの砲撃部隊に損害が出ています!」


「何?!この後方部隊は敵からかなり離れているはず!どんな攻撃があったのだ!

まさか!『トールハンマー』か?!」


「…それが…落雷との報告が入っております…」


「何?!落雷だと?!まさか敵は雷を操れるのか?

それは魔法か?魔法で雷を起こせるとは聞かないが…」


「…少なくとも…魔法の雷では無いと思われます…

後方部隊にも強力な対魔法防壁を施してありますので…」


「敵は自然の雷を操れると言うのか…?」


 この時、ウルク帝国軍は知る由は無いが、雷を発生させる事象を起こしたのは魔法だが、

雷事態は物理現象に他ならない…決してエーテルを変換したものでは無いので、

魔法に対する防壁がまったく役に立っていなかった…


「…くっ!このままでは、敵に好き勝手に攻撃されてしまう!

仕方が無い…全軍に通達!

全軍前進!

前線部隊はそのまま近接戦闘に突入せよ!

物理、魔法防御を最大にして突撃!」


私は、敵に狙いを定めさせない為、全軍を前進し、

遠距離攻撃の利点を排除させるべく接敵して攻撃する決断をする。

だが、この攻撃方法は消耗戦に他ならない…

一番避けたかった展開だが…爆撃が通じず、遠距離での攻撃には、

敵の方が分がある以上、接近戦に持ち込む他無い…接近するまでに被害が予想されるが

仕方の無い判断と言えた。


私は心の中で呟く。

『なんとか、『レーザー砲』だけでも沈黙させなければ、我が軍に勝機はない!』


◇◇◇◇◇


 エクス・カリバーンは『レーザー砲部隊』の指揮を担当していた。

作戦は順調で、最初の目標の爆撃機の撃破に成功していた。

ただ、異世界製の機体には大した損害は与えられなかったようだったが、

これは予想の範囲内だった。


今、私達の部隊は、目標を敵前面にし、再攻撃の為、

レーザー砲を地上に浮上させ、銃身の冷却作業を行っていた。

このレーザー砲は高出力の為、個人使用の『レーザー銃』と違いレーザー照射後、

砲身の冷却が不可欠だった。

その為、補助要員として、水魔法師が一台に付き、2名付いている。

ちなみに冷却は最低5分ほど必要であった。

あまりに急激に冷やし過ぎると砲身が痛んで事故が起きかねないので、

この時間設定が最低限と言えた。


 私は、総司令の指示の元、冷却作業を行わせながら、

新たな目標を敵最前線に定める…

情報だと、敵もレーザー銃の対応を考えているようだったが、

レーザー砲の威力はレーザー銃の比では無い。

多少の防御など意味を成さないのは実証済みだ。


 敵最前線は、前進している様だったが、その歩みは速くは無いようだ。

歩兵でしかもレーザー銃の対抗手段としてかなりの重装備だ。

あれでは、動きがかなり阻害される…

私は、十分撃破可能に思えた…


不意に魔法レーダーを展開していた兵が声を上げる。


「高速で移動する部隊があります!

左翼から来ます!」


「規模はどの程度か?!」


「…一個小隊規模と思われます…ただ…」


「ただ、なんだ?!」


「あっ!はい!人?いいえ…馬車?

良く分からない騎馬とは違う大きめの反応が前面5騎ほどに感じられます!

光魔法での目視での確認を要請します!

方向は北西8km地点!」


私はその報告を聞き、部下に確認するよう指示を出した後、自分でもその方向を確認した。

遠視の魔法で言われた方向を確認する。


土煙を盾ながら何やら凄い勢いでこちらに向かってくる。

それは良く見ると鉄の塊…タイヤが6本付いていた…

報告に合った『自動車』に似ているがかなり、頑丈そうな装甲だと一目で分かった。

上部に機関銃らしいものが設置されているのが確認できる…


私は、その重厚な装甲を見て歯噛みした…

「あれは…リーン閣下が懸念していた『装甲車』のようだ!

全軍!まともにやり合うな!

向うの狙いはレーザー砲だ!

無理せず!遠隔からの攻撃のみ行え!

レーザー砲周辺の兵は『例の罠』を仕掛けよ!

タイミングを間違うなよ!」


私は矢継ぎ早に指示をだす。

一歩間違えばこちらの虎の子のレーザー砲に被害が出るかも知れ無いが、

上手く行けば、あちらの有効な攻め手をつぶす事が出来る…

私は一人笑みを浮かべた。

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