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Reincarnation saga(リーンカーネーション・サーガ)  作者: 八咫烏
◇青年期編~第二章~◇
46/66

内政

新章突入です。

 アイルゼン砦を取り戻してから、

1週間後…今、解放軍内は、政務調整の真っ最中だった。

何せ、エルウィン王国が国として機能していた時から、

既に10年…当時貴族だったものは殆ど帝国に寝返るか、

『家』事態存在していないような状態がほとんどだ。

これから、この国をどのように建て直すべきか、アルベールを中心に連日の議論が繰り広げたれている。


 摂政のマルケルは、功績の在ったものや元貴族に領土を与え、各地を統括すべきだと主張し、

アルベールは、王族による一元化での管理統一とし、各地には、役人を配置すると主張していた。


そして、リーンは、王を象徴とした『立憲君主制』を提案していた。

主権は『国民』とし、民衆から選抜した『議会』で法を決め行政を行うべきと主張していた。


リーンの意見は、マルケルからは、平民が国を動かすなど在りえないと一蹴され。

アルベールは渋い顔をしながら、今は無理だと反論した。


「リーン……10年前ならば、可能だったかも知れないが…

今、この国には知識人が殆どいない。

カストラートでは、庶民でもある程度、学ぶ事が出来ていたようだが、

今のエルウィン王国では、貴族、商人、官僚、知識人などはウルク帝国に弾圧され、

助かったものも国外に脱出している…

その為、庶民に限らす知識のある人材が不足しているのだ。

…今回の開放で国外脱出していた、貴族や商人はある程度戻ってくる可能性もあるが…

直ぐには無理だろう…現状は、今いる人材で何とか回すしかない。

少なくともある一定の教養が無ければ、役職に付かせる事はできん」


 アルベール・ウォーター・ペンドラゴンは、言葉では、そう言ったが、

リーンの考え方に対して、危機感を抱かざるお得なかった。


『リーンの考えは貴族制度…しいては王政を蔑ろにする考え方だ…

それは、自分達の存在意義を揺るがしかねない…

危険だ…

 だが、今はリーン個人の戦力と用兵、それに開発力はウルク帝国と戦う上で、どうしても必要だ。

何とか、リーンを、軍事に専念させなければ…』


私は、そんな考えを巡らせたるのだった。


 結局、リーンも人材が居ない現状を鑑み、国内に残っていた貴族や知識人を集め、

王家よる一括行政で、了承させた。

各地域の領地は国から役人を派遣する。

前面的にアルベールの意見が通った形だ。

有能な人材が居れば、平民でも重用する事を踏まえる事で、リーンにも納得させた。


 なんにせよ、他の国への示しもある。

この作業は早急に行わなければならない。

少々大雑把でも仕方が無い…国としての体裁が先だ。

細かいところは、後々の調整となった。

地方の管理が難しくなって来た場合は、その時に考える。


軍に関しては、リーンが引き続き、司令官を務めるように言い渡たし、

職も『将軍』職を与え、直属の騎士団を編成するように言い渡した。


 現在、義勇兵も大々的に募集中ではあるが、それと区別する意味もある。

今、兵員は、5000人になっているが使えるのは精々2000人が良い所だ。

その中で更に1000人に絞り込んだ部隊が、今回の直属部隊『雷鳳ライホウ騎士団』となる。

その中の200名は、先の戦の斥候部隊がそのまま編入した。


これで、何とか、行政と軍を揃える事ができる。


この後、アルベールは周辺諸国に対してエルウィン王国の独立宣言をするべく、

摂政のマルケル達と準備に入ったのだった。


◇◇◇◇◇


 軍の編成作業の中、リーンは仲間たちを呼んで、今後の事を話し合った…


「……と、言うわけで、軍の編成を行わなければならないんだけど

大まかな人選は、リオン副長とベアトリスとロドリゲスに行ってもらう。

それと、ベアトリスとロドリゲスはそれぞれ1000人長として、部隊を率いてもらいたい」


僕の指示に3人が頷く。

僕は、その他の仲間達…『ユーリ』『キース』『ティファ』『エリザ』に向き直る。


「4人には、僕の直属に戻ってもらおうと思う。

キースには、先の戦の斥候部隊を任せたいと思うけど良いかな?」


「い…いきなり部隊長か?

兵がついてくるかな?」


キースにしては弱気な発言だ。


「大丈夫」


僕は、そう言って、リオンに向き直り、指示を出す。

「リオンさん、斥候部隊で信頼の置ける兵をキースの副長に付けてください」


「解りました、キース君、安心したまえ、信頼の置ける副長を紹介しよう」


「リオンさん、よろしくお願いします」


キースにしては、珍しく畏まって、頭を下げてリオンにお願いしていた…

よっぽど不安なのだろう…


少し悪い事をしたかとも思ったが、キースは案外、指揮に向いていると思う…

ここは、いい経験だと思ってがんばってもらう事にする。


そして、『ユーリ』『ティファ』『エリザ』にも当面100人長としてそれぞれの属性魔法の兵を指揮してもらう事を告げる。

3人共かなり不安そうにしていたが、キースと同じように信頼の置ける副長を付ける事で何とか納得してもらった。


 こうして、大まかな編成を話し合い、明日から実際の編成を開始する事を決めたのだった。

僕はこの編成で出来た『雷鳳ライホウ騎士団』に今まで暖めて来た各属性魔法と科学を癒合した戦法を試すつもりだ…

ウルク帝国…いや、黒竜騎士団と戦う為に。


◇◇◇◇◇


ウルク帝国の首都『クリムゾン』…ここは異世界人からの技術提供で、この世界の一般の都市からは考えられないほどの発展を遂げていた。

他の国は今だに中世の技術に魔法を加えた発展なのに対し、

クリムゾンでは、道路はアスファルトで整備され、移動手段は自動車<特権階級限定>が走り、

馬車などもスプリング使用や、一部ゴムタイヤの使用が見られる。

そして、首都を含む『主要三都市』に限定だが鉄道が引かれ、蒸気機関車が走っていた…


『主要三都市』とは、『帝都クリムゾン』、『鉱山都市ルクライナ』、『石油都市バラスチカ』のことを指す。

その『通り名』の示す通り、ルクライナでは鉄鋼石と石炭、バラスチカでは石油が採掘されている。

どちらも軍備に欠かせないとして、最優先で鉄道が引かれていた。


ちなみに、今の時期は、鉄道は使用出来ない。

ウルク帝国の降雪量が多すぎて除雪できていない為だ。

この時期の交通は、トナカイや犬橇などの橇の移動に限定されていた。

この三都市で一番南にある『石油都市バラスチカ』でさえ、積雪は1メートルほどあるのだ。

帝都の都内は除雪はされているが、各都市への交通機関は殆ど麻痺していると言って良かった。


『黒竜騎士団』の拠点は補給の関係で『石油都市バラスチカ』にあるが、

この時期は、まともな軍事行動が出来ないでいた。


 今、黒竜将軍にして参謀長のダニエル・ノートンは、

エルウィン王国での敗戦の報告をクリムゾンにある王城、『リフスキー城』の、

自身の執務室で、受けていた。

報告に来ているのは、アイルゼン砦で部隊長を務めていた男だ。

事前に、連絡兵から戦況は、聞いてはいたが、今は詳しい報告を直接聞いている…

取調べも兼ねて…


「……以上が、敗戦の経過です」

部隊長は憔悴しきった顔でうな垂れる。


「…ふむ、やはり『リーン・ウォーター・ペンドラゴン』か…

ヤツが出張ってきたのでは…

お前達では分が悪いな…メイソンならば或いはとは思ったが…」


そこで、ダニエル・ノートンは、一人思案した後、部隊長に退室を指示する。


「解った、下がっていいぞ。

お前は、命令に従い奮戦した、厳罰を科すつもりは無い。

今回の撤退は不問にする。

部隊を再編成するまで、軍庁舎で指示を待て」


「はっ!寛大な処置を頂き、感謝いたします」

部隊長は敬礼して退室した。


私は、誰も居ないはずの部屋で言葉を発する…

「アベルそこにいるな?」


すると、部屋の隅に黒い霧が沸き立ちそこから黒ずくめの男が現れる。

ダニエル直属の諜報員『アベル』だ。

「…参謀長閣下御呼びですか?…」


「例のものは回収できたのか?」


「はっ、こちらに…」

そう言って、アベルは懐から黒い菱形の宝石の嵌った腕輪を取り出し、こちらに渡す。


「ふむ…良くやった、この『黒竜の腕輪』が有れば、まだヤツに対抗できる…」

私はほくそ笑んだ。


「術式が入力されたエーテルクオーツはこれを合わせて後2つしかない…

開発者の『ヴィクター』が居ない以上、貴重な代物だ。

…だが、これだけでヤツに対抗できないのも事実…

何か策が必要だな…」


私は、暫く右手を顎に添えて考えた後、アベルに指示をだす。

「黒竜騎士団の幹部を招集せよ!

エルウィン王国…いや!『リーン・ウォーター・ペンドラゴン』の対策を協議する!」


アベルは敬礼し、出現した時と同じく、黒い霧となって姿を消した。


私は、どんよりと沈んだ灰色の冬空を見ながら思いにはせる…

「『リーン・ウォーター・ペンドラゴン』よ…お前が本当は何者かはまだ解らないが、

ここまで邪魔立てするならば、容赦はしない…」


私は不適に笑い、考えを巡らせるのだった。

ご意見・ご感想お待ちしております。

執筆の参考とさせて頂ければ幸いです。

よろしくお願いいたします。

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