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Reincarnation saga(リーンカーネーション・サーガ)  作者: 八咫烏
◇少年期編~第三章~◇
31/66

学園祭~二日目(呼出)~

2013年1月3日改修

 ユーリ・アルベールは、少しすっきりした気分で、目を覚ました。

昨日一日休み、体調はかなり良くなったようだ。

体を起こして、そっと息を吐き、一安心する。

さすがに、二日目も体調を崩して文化祭を休むつもりは無かったので無理してでも

登校するつもりだった。

しかし、この様子なら、無理をしなくても、普通に登校できそうだ。

私は、念の為、水魔法で体内の循環をチェックする…

昨日は、意識が朦朧として、自分の体内の循環を把握できなかったが、

今日は不都合はないようだった。

「よし!これなら普通に登校できるわ!」

私は、一人呟き、小さく拳を握る。


 私が、そんな作業をし終えて、着替えようと立ち上がろうとした時、

部屋のドアをノックする音が響き、リンネの声が聞こえた…


「ユーリ、起きている?

部屋に入っても平気?」


私は、起き上がろうとした、体を再びベットに戻し、フトンをかぶる。

「リンネ?

平気よ、どうぞ。」


リンネは、ドアを開け、私の部屋に入ると、

ベットの横に置いていた椅子に座って、私の顔をしげしげと見た…


私は、何だか照れてしまって、フトンを口元までかぶる…

「な…何?

リンネ?」


「…いや?体調はどんな感じか見てたんだけど…?

もう平気そうだね?」


「うん…もう平気よ!

自分でも水魔法で体調をチェックしたから…

問題ないわ。」


「そっか!

良かった!

じゃあ、今日は約束どおり、一緒に文化祭を回ろうか?」


「うん!昨日休んだ分も楽しまないと!」


と私は笑顔でリンネに答えた。


◇◇◇◇◇


 私達は、一日ぶりに揃って登校した。

クラスのみんなは、登校した私に体調は平気なのか聞いてくる…

「ユーリ心配したよー」

「一日で直ってよかったね!」

「メイドカフェにユーリがいないと売り上げに響くからねー」

「ほんと、ほんと!ずっと休みならリンネくんに代役継続してもらうところだったよー」


私は、そんなみんなの反応の中の「リンネに代役?」に違和感を覚え、聞き返す…

「リンネに代役?…って何?」

口走った女生徒が慌てて口を押さえる…もう遅いが…

ユーリの周りに集まっていた女性陣が、言っていいのもか目配せする…

そんな中、エリザがなんの気も無く発言した。

「…昨日は、みんな予定が詰まっていて接客する女生徒が足らなかったから、

リンネに手伝ってもらったんです…女装してもらって…」


私はそれを聞いて絶句した。

次に離れて様子を見ていたリンネを見る…

リンネは、どう反応したものか困っている感じの苦笑をし、

肩を竦めていた。

私は女性陣に向き直り

「ほんと!それは見てみたかったわ!

リンネって、ほんと女装似合いそうなのに絶っ対!に嫌がってしなったのよね!

で!で!どんな感じだったの?」


「すごい人気だったよー」

「ほんと!ほんと!」

「髪の色が違うユーリって感じで、ぜんぜん違和感無かったよ!」

「いやいや…ユーリより何だか女の子らしかったんじゃない?」


などと、女性陣が絶賛していた…


◇◇◇◇◇


 リンネ・アルベールは騒がしい女性陣をなんとわ無しに眺めていた…

今日は、ユーリが登校して来たこともあって、

どうやら、女装はしなくて済みそうだと安心する。

でも、ユーリも病み上がりなのだから、無理はさせないように気を付けないと…

と肝に銘じていた。


 そんな、これから文化祭が始まろうとした時、

教室の入り口がおもむろに開き教室内に声が響く。

「リンネ様…リンネ・アルベール様はいらっしゃいますか?」


僕は、その声に振り向き、驚いて、声の主に駆け寄る

「アレクシア!どうしたんですか?

まだ一般参加の時間帯じゃないですよ?」


そう、彼は、アルベール家の執事、『アレクシア・ウォルケット』だ。

アレクシアは、エルウィン王国にいた時の母の執事だった人だ。

戦乱の動乱の中、僕の所に、残りの二人のメイド『アメリア・ル・ファルベ』と

『シア・ド・ベルモット』と一緒に今は、アルベール家に仕えてもらっていた。


「リンネ様、エイナス様からのご指示で急遽参りました…

リンネ様に至急王都に出向くようにとの事です…」


僕は、いやな予感を感じながら確認した…

養父とうさんが!?

何かあったの?」


アレクシアは一呼吸置いて僕に耳打ちした。

「ここでは…お話出来かねます…場所を変えていただけませんか…?」


僕は、頷き了承する。

「みんな!ごめん!家の用で帰らなきゃいけなくなった!」


ユーリがすかさず駆け寄ってくる。

「ちょっと!アレクシア!どういうこと!」

と執事に食ってかかってくる。


「ユーリ様…エイナス様からの緊急のおよび立てなのです…

お二人とも楽しみにしておられた文化祭のこの時に大変申し訳ないとは思いますが…

どうかご理解いただきたく存じます…」

と言って、ふかぶかと腰をおる。


ユーリは苦虫をつぶしたような嫌な顔をする…


「ユーリ…本当に残念だけど…ちょっと行ってくるよ…

ユーリはティファ達と楽しんで。」


ユーリはどうにも納得いかないと言った顔をしていたが、

大きなため息をつき、

「…わかったわ…お父様の呼び出しじゃ…しかたないわよね…

リンネ!できるだけ早く帰って来てね!」


「ああ…出来るだけ早く帰るようにするよ…

じゃ!行ってくる!」


「リンネ…気をつけてね!」


 僕は、教室を後にし、アレクシアを伴い急ぎ足で、屋敷の竜舎に向かう。

学校を出たあたりで、アレクシアに先ほどの話を確認する。


「アレクシア…さっきの話の続きだけど…」

「はい、エイナス様からは至急、王都に出向くようにとの連絡だけで、

詳細は、ついた時に話すとの言伝だったのですが…

リンネ様の『兄上』からの情報で、

ウルク帝国がカストラートに侵攻するらしいとの情報を頂いております…」


僕は、思わず立ち止まって聞き返す。

「それは確かなの!」

「どうやら…確かなようです…現在、ウルク帝国は、

カストラートに難癖を付けていて、それに対する対応次第では…

攻撃をするような脅しをかけているようです…

それに伴い、旧エルウィン王国の港に艦隊を終結させているのを確認しているとの情報が入っ

ております…」


「くっ…相変わらず卑劣な…」

「リンネ様…エイナス様はリンネ様に戦闘の参加を依頼するおつもりかと存知ます…

私からこういうのは何ですが…

エイナス様もアルベール様もリンネ様を兵器か何かだと勘違いされているような扱い…

誠に嘆かわしく存じます…」


「…アレクシア…僕を気遣ってくれるのは嬉しいけど…

今の君の主は養父とうさんだ…

今の言葉は聞かなかった事にするよ。」


 僕達は足早に屋敷に戻り、王都に向かう用意をする…

先ほどの話からすると早々に戦闘に参加する公算が高い…


 僕は、ベイトの脱出作戦時に帝国兵から奪った銃器を引っ張り出し、荷物に追加する。

拳銃は、特注で作ったホルスターに納め、

機関銃は、布に巻いて木箱の中にしまって、

飛竜ドラグーンのアスランの鞍の後ろに乗せた。

大規模戦闘時を予測した、レールガン用の杭状の矢も忘れない…

取り合えず200本ほど木箱に詰めてこれも、アスランに乗せる…

自身も簡単なプレートメイルや左手に手甲を付け、ブーツに履き替える…


 王都までは、飛竜ドラグーンを使っても半日かかる。

まだ、お昼前なので、夕方には着くだろう。

二人のメイド(アメリアとシア)が駆け寄ってきた。


「リンネ様!お弁当を用意しました!

道中、お腹が空くでしょうから食べてください!」


「ありがとう、二人とも…」


「リンネ様…また危険な戦闘に参加されるかもって聞いてます…

どうかご無事で!」


「ああ…ありがとう。

この事は…ユーリには黙っておいて欲しいんだけど…

頼めるかな?」


「…分かりました…」


「気を使わせてすまないがよろしく頼むよ。

じゃ!行ってくる!」


僕は、アスランの手綱を一振りし、飛び立つ…

『…また戦いになるのか…でもユーリや友達のいる、

このカストラート王国をエルウィン王国の二の舞にはできない!』

僕は、決意し、王都に向かった。

お読み頂きありがとうございます。

ご意見・ご感想頂ければ幸いです。

よろしくお願いいたします。

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