クラブ
2013年1月1日改修
ティファ曰く…
僕を待っていたのは、一緒に帰りたかったのも確かだが、
先生から、僕ら兄妹を各クラブに案内するよう頼まれたからとの事だった。
この学校では、生徒は必ず何処かのクラブに所属しないといけない決まりとの事だ。
その為、目ぼしいクラブを選んで、案内するように言われたらしい。
なんでも、1週間程度で決めてほしいとの事だった。
まあ、今の季節(立秋)は、各クラブは、大会が近いとの事で、
戦力になりそうな生徒ならまだしも、素人にはあまり構っていられないのが現状らしい。
そこで、ティファは各クラブの名称と簡単な紹介の書いてあるリストを見せて、
どれに興味があるか、僕らに聞いてきた。
僕は、リストを覗きこむ。
「魔法剣術部、弓魔法部、風魔法学部、水魔法学部、火魔法学部……
…なんだか…みんな魔法が付くのだけど…」
するとティファは、さも当たり前と言った感じで答える。
「それはそうですよ?
この世界で魔法を活用するのは当たり前だし、一応、今は戦時下に近いんだから、
実践的なクラブが多いのは当たり前です。」
僕は、心の中で考えた…
『うーん、
僕の能力は魔法とは少し違うんだけど…
取りあえず…魔法に関わるのが遠そうなのを教えてもらうか…』
「ティファ…
ちなみに一番魔法を使わないクラブってある?」
ティファは、目をつぶって、少し考え
「うーん?あったかな?」
と呟いていた…
すると、ティファの横からキースが話に割り込んできた。
「ある!ある!
俺の入っている、剣術部は、基本的には魔法無しだ。
どの系統の魔法も剣術の試合では一切禁止だ。
体のみで戦うのが剣術の基本だからな!
俺なんか、光魔法だから、ここにはいったんだよな。
光魔法っていったら、もっぱら目くらまし、だったり、明り代わりだったり、
偵察だったりで、パッとしない魔法ばかりでさ。
戦いになっても後方支援に回される方が多いんだぜ。」
と愚痴交じりの説明をしてくれた。
僕は、ちょっと気になったので
「そういえば、キースは部活に行かなくていいの?
そこの彼女も…」
とティファと一緒にいた女生徒を指さした。
指さされた女生徒は、少し照れたのかティファの影に隠れる。
するとティファは今気がついたといった感じで、女生徒を紹介する。
「ああ!
この娘!
リンネさんには紹介がまだだったわね。
ごめんなさい!
ほら、『エリザ』自己紹介して。」
とその女生徒を促す。
その女生徒は、ハニカミながら
「エリザ・エマールです。」
とおずおずと名前を言った。
するとティファが苦笑交じりに言葉を添える。
「彼女、ちょっと引っ込み思案なんで、
クラブも私と同じ、弓魔法部なんだけど…
私が、今日は休みにするっていったら、自分も休んで、あなたたちの
案内をするって聞かなかったから…」
ちなみに『エリザ』は、緑髪の緑目だ。
ティファの説明を聞いた後、僕は、キースに目を向けると、
キースはさも当たり前といった感じで胸を張って言い放つ…
「ん?
俺か?
俺はサボリだ!」
僕は、少しタメ息をつき、
「他には、魔法を使わないクラブはあるのかな?」
と再度、ティファに聞き直す。
ティファは、少し考えて聞き返してきた。
「でもリンネさん。
魔法防御がかかっている鎧を来た兵士に魔法をかけられるんだから…
魔法はかなり得意じゃないんですか?
お顔立ちから見ると…
私と同じ緑(風)魔法系だと思ったんですが…」
すると、『ユーリ』の方が慌てて、横から話に割り込む。
「リンネは魔法を長時間使うと貧血おこしちゃうのよ!
だから普段は使わないようにしているの!」
僕も少し慌てながら引きつった笑顔で補足する。
「そ、そうなんだよ!
どうも、魔法を酷使できないみたいでさ!
た…体質かな?」
すると、今まで黙っていた『エリザ』が、発言した。
「剣術部の他だと、体術部と、投てき部があるわ。
どれも、魔法を使う暇がなかったり、魔法の発動の隙をつくための技術だけど。」
みんなが驚いて『エリザ』を見たので、
エリザは、またティファの影に隠れてしまった。
「エリザありがとう。
参考になったよ。」
と僕がエリザにお礼を言うと、エリザはハニカミながら頷いた。
「じゃ!
僕は、その三つのクラブを見て回るけど。
「ユーリ」はどこにする?」
「もちろん!
私もリンネと同じクラブにするわ!」
と当然のようにユーリは、言ってきた。
僕は、いつもの事なので、あきらめたが
それを聞いたティファが、答える。
「ユーリさん、投てき部以外は、確か、男女の部で分かれてましたよ?」
「ええーーそんなーーー!」
とティファの言葉にユーリが少し情けない声を挙げたのだった。
こんにちは、八咫烏です。
第二章第四部となります。
前回に引き続き、魔法学校内の状況です。