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Reincarnation saga(リーンカーネーション・サーガ)  作者: 八咫烏
◇少年期編~第一章~◇
11/66

クラス

2013年1月1日改修

 僕らは、一限目の予鈴のチャイム《この世界では、教会の鐘のようなもの》を聞いた後、

マルゴット先生に連れられて、教室に向かっていた。

 ここ『サイアス』の魔法学校は、王都と違って、貴族だけの魔法学校は存在しない。

これは、前領主の意向でもあるとの話だ。

子供の時分から差別的な教育は行うべきでは無いとの教育方針だったらしい…

もちろん、僕たちの父親『エイナス・アルベール』も同じ考えのようなので、

この方針はそのままだ。


 教室に入ると、教室中の生徒の視線が一斉に先生の後について入ってきた僕たちに集まった。

さすがに、教師の前だけあって、騒ぎはしないが、

すごく興味津々な目を向けられているのが痛いほどわかる。

 僕は、今まで、大人との交流が多かったので、

こういった、好奇心丸出しの同世代の大勢の視線には、

戸惑わずにはいられなかった。

その為、教室の教壇へ近づく時、少したじろいでしまった。


すると、後ろにいた『ユーリ』がささやきかけてきた。

「大丈夫!

私がついているから!」

と軽くガッツポーズをしながら何とも心強い言葉を言ってくる…

心の中で少し苦笑し、僕は気を取り直して歩みを再開した。


 教壇の脇に二人で並び終えると、マルゴット先生が僕らを紹介する。

「えっと~

これから~みんなの~学友になる~

『リンネ・アルベール』くんと~『ユーリ・アルベール』さんで~す。

リンネくん、ユーリさんは~

今度、ここの領主になる「エイナス・アルベール」侯爵様のお子様達だけど~

学校では、他の生徒と同じようにあつかいますから~

みなさん、仲よくしてあげてね~。

さ、リンネくん、ユーリさん、自己紹介お願いね~」

と、ゆるーい感じで紹介され、発言を促された。


「みなさん初めまして、

リンネ・アルベールです。

親の仕事の都合で、今日からこの学校に通うことになりました。

よろしくお願いいたします。」

と緊張しているため、簡素な挨拶となってしまっていた。


その後に、続けて『ユーリ』が挨拶する。

「はじめまして、ユーリ・アルベールです。

リンネとは双子の兄妹です。

私の方が妹になります。

こちらに来て間もないので、知らないこと、わからないことだらけですので、

みなさん、色々教えてくださいね♪」

とニッコリ笑って挨拶した。


 僕から見てもかなり可愛らいいしぐさで、普段の態度から見て『猫かぶり』的な挨拶だった。

教室を見てみると、かなりメロメロな感じの男子生徒が多く見受けられた。

僕は、これからの学園生活を思うと少し『めまい』を感じずにはいられなかった。

挨拶が終わると、先生が席を指示する。


「えっとー

リンネくんと、ユーリさんは~

一番後ろの~空いている席に座ってね~」


 僕らは、その指示された席に向かう、

教室の中ほどの席に『ティファ』が手を振っていた。

今まで、緊張して気づかなかったが、どうやら同じクラスだったらしい。

僕らの方も軽く手を振り返して、席についた。


◇◇◇◇◇


 休み時間になると、クラスのほとんどの生徒が僕らの周りに集まってきていた。

一目散にやってきたのは、『ティファ』だった。


ティファは、僕たちに、開口一番に言い放つ…

「一緒のクラスになれて良かったーー。

違うクラスでも押しかけちゃったけどね!」


クラスのみんなは、その言葉に聞き返す。

「ねえねえ!

ティファ!なんでこの二人を知っているの?」


「昨日、ウルク兵に捕まりそうなのをリンネさんに助けてもらったんだー♪」

と少し自慢げにティファは、答えた。


「えーー!

あんた、ウルク兵に何したのよーー」

と驚きの声が上がる。


「何もしてないよー!

向こうがぶつかって来て言いがかりをつけてきたのよ!

路地裏の行き止まりに追い詰められた時に、

リンネさんがさっそうと現れて魔法で助けてくれたんだー♪」

とティファは、夢見がちにみんなに答える。


すると女生徒達から歓声じみた声が上がる。

「きゃー、すごーい!

かっこいい!

もしかして運命の出会いなんじゃない?

学校でも再開しちゃっているし!」

…なんて好き勝手なことを言っている。


僕は少し呆れ、『ユーリ』は多少むっと来ているようだ。


僕は、少し慌てて、弁明?した。

「たまたま、だよ!

向こうが僕の事を女の子と勘違いして油断している所に魔法をかけたから、

効いたんじゃないかな?!」


 男子生徒もここには、来ていたが、どうも女生徒に圧倒されて、僕ら?

(主にユーリに、であろうが…)

に話掛けれずにいる。


そして、一人の女生徒がさらに発言する。

「それにしても二人はそっくりだよね!

一瞬姉妹かと思っちゃった!」


僕は苦笑いするしかなかった…


◇◇◇◇◇


 僕たちは、休み時間と昼休みは、クラスの生徒《主に女子生徒》に質問攻めだった。

特に、僕は同年代の人間と話す機会が、今まで、ユーリぐらいしかいなかったので

この状況は、かなり精神的に疲れさせた。


 放課後になり、僕は、ユーリを置いて、教室からトイレに行くふりをして、

学校の屋上と言うか、踊り場のような場所に退散していた。

そこからの眺めは、町が見渡せて、港と海が一望できた。

僕は、やっと落ち着いた気持ちになって、その風景をぼんやり眺めていた。


すると、不意に声を掛けられる…

「よう!

転校生!人気者は大変だな?」

と気軽に男子生徒が声をかけてきた。


「えっと…君は?」


「俺はお前と同じクラスの

キース・エンタープライスだ。

キースでいいぜ。

まあ、あれだけ女どもからよってたかっての質問攻めじゃ、

男どもの事までは気が回らなかったとは思うが…

初日から、大変だな?」

と僕に向って気毒そうに言った。


ちなみに、キースの外見は身長175cmぐらいで、僕より10cmほど高く、

中肉中背で、髪と目の色は、この辺でも珍しい金髪金目だった。

《担任のマルゴット先生も同じだが…》


「まあそうだね。

僕は、今まで学校に行ってなかったから、なんだか少し気疲れしちゃってね。」


「それにしても…

お前…本当に男か?

こう近くで見るといっそう女にしか見えないんだが?」

とキースは、無遠慮に言ってきた。


僕としては、結構毎度の事になってきているので、軽く答える。

「ああ。

これでも男なんだよね…

この容姿じゃ女だった方が良かったたんじゃないかと最近思うけどね。」

とちょっと両手を軽く上げておどける仕草を見せた。


「は♪

お前、結構面白い奴だな!」

と、キースは、僕の態度に何故か好感を持ったようだ。


するとキースは手を差出し、言葉を発する。

「これからクラスメイトだ!

分からない事があったら何でも聞いてくれ!

ちょうど俺の席はお前の右隣だからな。」


「僕の隣の席だったのか!?

なんだか、気が休まらない状態だったから気が付かなかったよ。

ごめん、ごめん!

これからよろしく!」

と僕は、キースの手を握り返し握手した。


 教室を逃げ出して、40分程度がすぎ、

クラスのみんなは、クラブ活動などで教室から移動しているころだろうと思ったので、

キースと談笑しながら教室に戻ってみると、

むくれた顔のユーリが、教室のドアを開けて入って来た僕たちを睨みつけた。

「ちょっとーー!

リンネ!

私を置き去りにするってひどくない!?」


すると、他に残っていたもう二人の女生徒の一人ティファ

「そうですよー!

『ちょっと、トイレ』とか言って!

随分長かったんじゃないですか?」

と、こちらも少しむくれている。


僕は、焦って弁明する。

「ごめん、ごめん

なんだか、少し疲れたんで、外の空気を吸いにいっていたんだよ。」


それを『ユーリ』は、ジト目で見ながら

「そーなのー

何だか、知らない男を連れているけど…?

は!まさか!とうとう『そっち(男色)』に走ったんじゃないでしょうね?!」

と思いもしなかったことを言ってきた。


それにつられてティファも同じような事を言ってくる…

「えーーー!

リンネさん!そんな趣味だったんですか!ショック!」

などと言って、よろけて見せた。


僕は思わず、叫んだ!

「そんな!あるわけないだろ!僕はノーマルだ!

ちょっと!キースも何か言ってやってくれよ!」


するとキースは、少し真顔で考えるポーズをとって、

「いやいや、俺もいままで気がつかなかったんだが・・・

お前を見ていると・・・

それも『あり』かな?なんて・・・」

いう『たわ言』を言い始める。


僕は、少し後ずさりして身構える。


するとキースは、

「リンネ、冗談だ!

バカだな、本気にするな!」

とカラカラ笑いながら僕の背中をバンバンとたたいた。


僕は、ジト目でキースを睨んだ。

こんにちは、八咫烏です。

第二章第三部です。

ご意見・ご感想を頂ければ幸いです。

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