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Reincarnation saga(リーンカーネーション・サーガ)  作者: 八咫烏
◇少年期編~第一章~◇
10/66

魔法学校

2013年1月1日改修

 リンネ・アルベールは、カーテンから差し込む朝の日差しの眩しさで目をさました。

今日は、新しい学校への登校初日だ。

昨日は、港でひと悶着起こしてしまったから、控えめにいかないと…

と…ぼんやり思いながら目を覚ます。


 すると、左腕の感覚が無いのにギョッとし、

左側を見ると、幸せそうな寝顔で僕の左腕を腕枕にして、

こっちを向いて、眠っている『ユーリ』がいた!

僕はさらに驚き飛び起きた!


「ちょっと!

ユーリ!

なんで僕のベットで寝ているのさ!」

と叫んでいた。


すると「ユーリ」は、目を擦りながら、寝ぼけた声で答える。

「ふぁ~!

あ!おはよう!

リンネ!

昨日の夜、明日から学校かと思うと寝付けなくて…

つい、リンネのベットに潜り込んじゃった。」


『てへ』と舌をだして、返事をした。


僕は慌てて、言い返す…

「もう、子供じゃないんだから!

そういうのは止めてくれよー!」


ユーリは悪びれた様子もなく、

「はーい!

今度から気をつけまーす」

といって、跳ね起きる。


 その姿にさらにドキッとさせられた。

薄いピンクのネグリジェ風のパジャマだったからだ。

自分と同じ容姿だといっても、体つきはやはり、女性だ。

目のやり場にこまる。

思わず目を背ける。

そんな様子を『ユーリ』はニヤリと微笑んで、


「なーにー、

リンネー照れてるの?

かっわっいっー♪」

と、からかう。


僕は、つっけんどんに言い放つ…

「さっさと着替えて、登校の用意をしろよな!」


「はーい」

と言って、ユーリは、スリッパを履いて、パタパタと音を立てて、ドアを開けて出て行った…。


僕は、朝からどっと疲れを感じながらのろのろと着替え始めた。


 僕は、今まで、こっちの世界で学校に行ったことはなかった。

幼少の頃(エルウィン王国で)は、学校に入学する歳になっていなかったし、

何より『無色』は魔法力が無いので魔法学校に行けるとは思っていなかった…。


 入学できる5歳になっても、素性がばれない様にしていた事もあり、

屋敷内での勉強になっていた。

だが…ここは、王都からかなり離れた港街の『サイアス』だったので、学校に通う事にしたのだ。


 魔法に関しては「Rule space」を使う事で魔法を使っているように見せかけて、

入学試験をパスしている。

『ユーリ』は今まで、僕を置いて学校に行くことに引け目を感じていたので、

一緒に学校に行ける事に凄くよろこんでくれた。


「これで、リンネといつも一緒にいられるね」

と言って喜んでいたのを良く覚えている。


 僕もいつも自分の事のように親身になってくれる『ユーリ』の事が好きだったから

内心結構嬉しかった。

とはいえ…今朝のように行き過ぎた言動があるのは、こまったものだ。

僕は、濃い赤に黒のラインのタータンチェック柄のズボンと白いワイシャツと、

ズボンと同じ柄のネクタイをし、紺色のブレザーを羽織った。


 胸のあたりには学校の紋章の刺繍が入っている。

『不死鳥』を模した紋章だ。

僕は、一まとめに縛っていた髪を、一本の三つ編みに編み直す。


 そして、部屋を出た後、裏庭に行く。

裏庭には、養父チチに頼んでおいた、濃い緑色の花々が咲きほこっていた。

僕は、意識を集中し、「Rule space」を発動する…花々から緑色の色素を取り出し、

髪に浸透させる。

これを毎朝やらないと、直ぐに地毛の白髪が出てきてしまうのだ。

濃い色素を浸透させても、僕の地毛はよほど頑丈らしく、せいぜい、2日程度で色が抜けてしまう。

染めた毛の色もせいぜい薄い緑色にしかならなかった。

そんな状態なので、この作業は朝の日課になっていた。

後、ついでに、能力で自作した目の色が緑に見えるカラーコンンタクトをはめる。


作業を終え、食堂に入ると、もうユーリが先に来ていた。


「リンネ、おっそーい!

と頬を膨らませる。」


僕は、苦笑混じりに挨拶を交わす。

「ごめん、ごめん。

毛染めに少し時間がかかっちゃって」


すると、ユーリがいきなり、イスから飛び降りて、上目づかいに僕を見。

そして、クルリとその場で回転しながら、

「どう?どう?

リンネ!

この制服、似合ってる?」

と聞いてきた。


 ユーリの制服は、僕の制服がスカートになっている感じの制服だった。

スカートの丈は、膝上15cmぐらいか?

少し、ミニスカートぎみだ。

前世の学校でもこんな制服の学校があったな?

なんて思いながらユーリの制服姿を眺めた。


「とっても、似合っているよ!

まあ、ユーリは何を着ても似合うけどさ♪」


 実際、かなりな美少女なので、本当に何を着ても良く似合う。

ユーリは少し照れているようだった。

そして、僕に返事をする。


「ありがと♪

リンネ♪

リンネも良く似合っているよ!

まるで男装の麗人みたい!」

と嬉しそうに僕への感想も付け加えた。


僕は、引きつった苦笑いを浮かべながら、

「だ…男装の麗人……」

と呟き、ガックリ肩を落とす。


するとユーリは慌てて…

「あ!ごめん!ごめん!

うん!うん!普通に似合っているから大丈夫だよ!」

と言い直した。


 僕としては、言い直されても…最初の一言の方が本心にしか聞こえなかったので

これから学校に行くのを不安に感じずにはいられたかった。


 サイアス魔法学校は、サイアス領のほぼ中心にあった。

僕らの新しい屋敷からは、歩いて30分ぐらいの距離だ。


 校門をくぐった当たりから周りから目線とささやき声が聞こえた。

何やら女子の黄色い声も交じっているようだ…

どうやら、今までの例にもれず…

美人の双子の姉妹で、片方が男装している…と言う風にとられているような

ささやき声が聞き取れた。


 この世界の人間のこの猫耳は本当に良く聞こえる。

『こういった時は、聞こえない方がいいのに…』

と僕は思わずにはいられなかった。


ユーリはそんな僕の気持ちを知ってか知らずか、平然と横に肩を並べて歩いている。


すると、後ろの方から

「リンネさーん!

ユーリさーん!」

と僕らを呼びながら走ってくる女生徒がいた。


 制服を着ていたので一瞬判らなかったが、

直ぐに昨日助けた『ティファ・エヴァンス』だと分かった。

僕らは、彼女に向き直り

「ティファおはよう!」


と同時に言っていた。(見事にハモっていた)

それを聞いた『ティファ』はクスクス笑い。


「お二人とも息ぴったりですね♪」

と面白そうに言ってきた。


僕らは二人して少し気恥ずかしくなり、

「そんなことないよ!(ないわよ!)」

とまたハモって返事してしまった。


ティファはひとしきり笑うと、顔を向きなおり、


「これから職員室に行くんですよね?

よかったら案内しますよ!」


 僕らは、大体の場所は解っていたが、彼女に案内してもらう事にして、

職員室に向かった。

職員室の前で、ティファとは別れ、職員室で担任の教師を紹介される。

担任教師は、まだ若い女性で、この世界でも珍しい金髪、金目の教師だった。

名前は『マルゴット・ストレージ』。

マルゴット先生は少しおっとりした印象の先生だった。


「そ~、あなたたちが、エイナス様のお子様なの~。

二人とも、私のクラスだからよろしくね~。」

とユルーイ感じで言ってきた。


僕らは少しあっけにとられて、たがいに顔を見合わせた。


こんにちは八咫烏です。

第二章第二部です。

ここから友人(新キャラ)が増えます。

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