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聖女ドラゴンヴァルキリー  作者: BALU-R
第Ⅴ部   最後のドラゴンヴァルキリー
33/41

第三十三話 必殺!七竜剣

夜の人気のない通りを学校帰りの女性が一人、歩いていた。

ふと前を見ると苦しそうにうずくまっている人がいた。

彼女は慌てて駆け寄り、声をかけた。

「だ、大丈夫ですか!?」

「ミ…ズ…」

その人物は低い声で呟いた。

女性は聞いた。

「水ですか…?ちょっと、待っていてください。近くにコンビニがないか探してきますから!あっ、それよりも救急車を呼んだ方が…」

携帯を取り出し119番を押そうとした瞬間、相手は立ちあがり低い声で言った。

「ミズ!それよりもレイキュウシャをヨぶんだな!キサマのために!!」

服を脱ぐとそれはミミズの化け物であった。

「ギャー!誰か!!」

女性は叫んでその場から逃げだした。

ミミズ魔女は追いかける事もなくその後ろ姿をニヤニヤと見つめていた。


少し走ると人影が見えてきた。

彼女は叫んだ。

「助けてください!化け物が…化け物なんです!!」

「ミズ…そのバけモノは…こんなスガタじゃなかったかい?」

そう人影は答えた。

それは先ほどのミミズ魔女と同じ姿をしていた。

「ひぃ!?」

彼女は情けない声を出して腰が抜けてその場に座り込んだ。

ミミズ魔女は言った。

「ミズ…さあ、シュクセイのジカンだ…」

その時、フルートの音色が鳴り響いた。

驚いてキョロキョロとするミミズ魔女。

闇の中からフルートを吹いた友知と香矢が現れた。

友知は香矢にフルートを押しつけて言った。

「夜の静かな時間を脅かす愚かな魔女…聖女には寝る間もないのかねぇ?そうは思わないかい、かくさん。」

香矢はフルートをしまいながら言った。

「かくさんって、あちきの事かい…すけさんはどこスかってーの!」

ミミズ魔女は言った。

「ミズ…キサマはもしや聖女…」

友知は言った。

「そーゆー事!」

そして胸の十字架を握りしめ叫んだ。

「ドレスアップ!ドラゴンヴァルキリャー!!」

胸の十字架を引き千切り体が銀色に輝き、

「聖女!ドラゴンヴァルキリー!!ネクストドレス!!!」

そう叫んだ。

が、

「ミズ…そんなフルいスガタとは…ナめられたものだ…」

「友知~。変身詐欺っスよそれ~。」

ミミズ魔女と香矢は同時に言う。

友知が自分の姿を見るとネクストドレス…白い姿ではなく、イエロードレスに変身していた。

友知は驚いて言う。

「あれれれれ?どうしてですの?」

周りはシーンとする。

友知は気を取り直して言った。

「…まぁ、これはあれですわ。貴女如き、イエロードレスで十分って事ですわ!」

剣を構え、電撃をミミズ魔女にぶつけた。

「ミズ…ナめるなと言ったはずだ。このテイドの魔法がなんだ!!」

そう言うとミミズ魔女は電撃を払った。

香矢は言った。

「…まぁ、そうなるっスよね。強さのインフレが激しい後半戦に初期の装備で挑めばそりゃ…」

「ミズ…」

ミミズ魔女は地面に溶けるように潜って行った。

友知は叫んだ。

「逃げる気ですの!?」

地面から声がした。

「ミズ…どこにそんなヒツヨウがある?くらうがいい。ミミズ魔法!とぐろシバり!!」

突然、友知の足元からミミズ魔女が飛び出し、友知の体に巻きついた。

友知は叫んだ。

「この…離しなさい!ヌルヌルして気持ち悪いですわ!!」

「ミズ…このままシめあげてばらばらにしてくれる!!」

その時、二人の近くを風が吹いた。

それはネクストドレスになった志穂であった。

「ミズ…」

ミミズ魔女はバラバラに切り裂かれて息絶えた。

「危ないとこだったね。」

志穂が友知にほほ笑みかけて言ったが友知は頬を膨らませていた。

「ブー。」

その二人に香矢が声をかけた。

「ねぇねぇ、二人とも。このしと、気絶しちゃってるスよ…」

襲われた女性は気絶していた。

志穂が言った。

「とりあえず、鳥羽兎に帰って介抱しましょう。」

3人はその女性を鳥羽兎に運ぶのであった。

「ブー。」

帰り道、友知はずっと不機嫌そうであった。


「ミズ。」

彼女達が立ち去ってから数時間後、ミミズ魔女の亡骸の場所に別のミミズ魔女が出現していた。

「ミズ。イモウトよ、このカタキはカナラず…」

そこに別のミミズ魔女がさらに現れた。

「ミズ!アネよ、それよりも…」

「ミズ。ああ…」

そして二人の魔女は死んだミミズ魔女の亡骸を食べ始めた。


鳥羽兎で気を取り戻した女性に志穂達は事情を説明した。

女性は溜息をついて言った。

「そんな事が…あっ私、遠子とおこって言います。トッコとか呼んでください。私も力にならしてください!」

香矢が言った。

「えー!?素人の力を借りるほどあちきらは困っていないスよ!?」

コーチが苦笑いして言った。

「お前も素人だろう…いいんじゃない?エミちゃんもミカちゃんもイタリアの方に調査で行ってしまったし…でも、危ない事は駄目だよ。ねっ?」

トッコは嬉しそうに言った。

「ありがとうございます!頑張ります!」

コーチはボソっと言った。

「これで二人が抜けたバイトの穴を埋められるねっ…」

そこで香矢が友知に言った。

「そういえば友知。さっきの変身失敗は何だったんスか?」

友知は志穂の方を見て叫んだ。

「それだよ!アタシはネクストドレスに変身したつもりだったのに…志穂、アタシの再改造の手を抜いたの!?」

友知に問われ、志穂は答えた。

「そんな事しないよ…かえって危ないもの。さっきみたくなるし…再改造じゃなくて他に原因があるとしか…」

香矢が腕組みをして考えながら言った。

「なんスかねぇ…そういえば、以前は感情によって変身する姿は変わってたんすよね?志穂さんにあって友知にない心…正義の心とかスかね?」

友知は言った。

「正義の申し子であるアタシに向かってなんて事を…!でも、志穂にあってアタシにないもの…そこに秘密がありそうかな?」

志穂は言った。

「分からないよ…でもこれ以上、人間離れしなかったから良かったんじゃないの?友知も私が守るから今のままでも…」

香矢も言う。

「そうそ、これからはアイテム係として志穂さんのサポートに徹するスよ。」

コーチが言った。

「二人とも、慰めているつもりかもしれんが逆効果だと思うね…」


次の日の夜、友知はトッコと二人で夜の街をパトロールしていた。

友知は歩きながらブツブツと呟いていた。

「アタシに足りないもの…足りないもの…思いつかない!逆ならたくさんあるんだけどな~。ユーモアセンスとかエロチズムとか。」

トッコは笑って言った。

「どちらも戦いには必要なさそうね…生まれ持った体質じゃないの?」

友知は言った。

「そうかなぁ…でも、ネクストドレスはアタシの体を調べて見つけた改造方法なんだよ?なのに、志穂だけに出来るとか…」

話しているうちに目の前に人がうずくまっているのが見えてきた。

トッコは青くなって言った。

「このシチュエーションは…」

友知は笑って言った。

「昨日の魔女なら志穂が倒したじゃん?」

しかし、トッコは言う。

「でも、私が最初に会ったミミズ魔女と志穂さんが倒したミミズ魔女が別人だとしたら?」

「ミズ。そういうコトだ!」

地面から別のミミズ魔女が出てきてトッコの体を締めあげた。

「ぐぐぐ…」

「トッコさん!」

友知は叫んでトッコからミミズ魔女を引きはがそうとした。

「ミズ。ムダだ…マリョクのヨワいキサマゴトきにハズせるものか!それよりもワがイモウトよ、もうヒトリの聖女をケイカイしておけ。ヒトジチをとっておけばヤツもコウゲキはできまい…」

「ミズ!」

そう言われてうずくまっていたミミズ魔女が立ちあがった。

トッコを締めあげているミミズ魔女は嬉しそうに言った。

「ミズ。これでワレらミミズサンシマイのショウリだ…ワがスエのイモウトよ、カタキをとるぞ。」

友知はミミズ魔女の体を引きはがそうと必死に力を入れながら言った。

「くそう…アタシが強ければ…志穂のように強ければこんな事には…!」

「友知…ちゃん…」

トッコは友知に話しかけた。

友知は聞いた。

「何?トッコさん?」

「私を…殺して…」

トッコの言葉に友知は驚いた。

そして友知は叫んだ。

「何を言っているの!?」

トッコはニコリと笑いながら言った。

「協力するって…言ったのに…足手まといになるぐらいら…このまま…いっそ…志穂ちゃんが…やられたら…犠牲は私だけじゃ…すまなくなる…でしょ?」

(アタシが弱いから…)

友知は強く思った。

そして声に出して言った。

「強く…強くなりたい!志穂みたいに…トッコさん、貴女みたいに!」

そして胸の十字架を握りしめた。

ミミズ魔女はニヤリとして言った。

「ミズ。シっているぞ!キサマはフルいスガタにしかなれんのだろう?スエのイモウトのカラダがオシえてくれたわ!」

友知は構わず叫んだ。

「ドレスアップ!ドラゴンヴァルキリャー!!」

十字架を引き千切ると

十字架は柄が白い宝石が入った剣になり

服は白のミニスカートになり

胸は爆乳になり

そんな姿に

なった。

「聖女!ドラゴンヴァルキリー!!ネクストドレス!!!」

そしてそう叫んだ。

離れていた方のミミズ魔女が驚いて言った。

「ミズ!バカな!フルいスガタにしかなれないはずでは!?」

友知は笑って言った。

「その通りですわ…その通りだったんですわ!でも、分かったんですの。ワタクシに足りないもの…それは強くなりたいという欲。貴方達3姉妹のおかげで気付けましたわ。ありがとう。」

ミミズ魔女は叫んだ。

「ミズ!しかし、ワれらにはヒトジチが…」

その瞬間、トッコを縛りあげていたミミズ魔女がバラバラになって崩れ落ちた。

「ミズ!アネ!!」

友知はくすりと笑い言った。

「人質をとられたままお話をしてるとでも?甘いですわね。」

そして剣を構えた。

友知の剣から竜巻が放出され、ミミズ魔女の体を打ち上げる。

さらに炎、水、雷、草、毒、5つの色が竜巻の中に入っていく。

友知は言った。

「この5つの色は5色の竜。そして周りを覆う竜巻は6色目の竜!名付けて六竜トルネード!」

ミミズ魔女の体がボロボロになって行いく。

「そして!」

そう叫んで友知はミミズ魔女に向かって飛びあがった。

「ワタクシが7つ目の竜!エンドドラゴン!」

叫んでミミズ魔女の体を縦一文字に切り裂いた。

「ミズ!アネよイモウトよ…」

ミミズ魔女は息絶えた。

友知は地上に降りて言った。

「これぞ必殺…七竜剣!」

「いや、どれが技の名前か分からないから…」

トッコが言った。

友知は変身を解いて言った。

「これでアタシも戦える…早く志穂に言わなくちゃ!きっと哀しい顔するんだろうけど…」



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