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聖女ドラゴンヴァルキリー  作者: BALU-R
第Ⅳ部   復活・ドラゴンヴァルキリーⅠ編
28/41

第二十八話 仲間の在り方

「お疲れ様でーす。」

「お疲れ様でーす。」

ここはあるデザインの会社。

女性ばかりの社員が定時になり次々と帰って行く。

「はい、お疲れさん。」

30代半ばと思われる女の社長がみんなを見送って言った。

全員がいなくなり、社長一人になると彼女はパソコンを開いた。

そこにはドラゴンヴァルキリーの画像がたくさん写っていた。

誰も撮影していないはずなのに…

次の瞬間、会社の証明が消えた。

パソコンの光だけが女性の顔を照らす。

「ホホホ…」

どこからともなくカニの魔女が姿を現した。

女社長は顔色も変えずに言った。

「女教授の直属の魔女か…何用かな?」

そして引き出しを開けて煙草を取り出し火をつけた。

火が彼女を照らすと彼女の姿は中世の貴婦人のようなドレス姿になり煙草はキセルになった。

カニ魔女は言った。

「ホホホ…ワタシは女教授サマのタメに聖女のシュクセイをオコナうコトにしました…そのために女帝サマのおチカラゾえをどうか…」

女帝と呼ばれた女性はキセルの煙を吐きながら言った。

「…それは女教授の命令かね?」

カニ魔女は少し怯みながらも答えた。

「ホホホ…スベてワタシのドクダン…」

女帝は再び煙を吐きながら言った。

「話にならんな…女教授に恩を売れるならともかく、お前如きに力を貸して私は何を得るというのかね?」

カニ魔女はそこまで聞くと背を向けてここを後にしようとした。

その背中に女帝が話しかける。

「まぁ待て。せっかく来てくれたのだから知恵ぐらいは貸してやろう。」

カニ魔女は振り返って地にひざまずいて言った。

「ホホホ…ありがとうございます!女帝様!!」

女帝はキセルを置いて言った。

「まあ、これもビジネスだ。」


「女帝…ですか?」

今日から鳥羽兎で働く事になったエミに志穂は聞き返した。

「はい…リーダーは魔女の事を調べていて警察を追われました。しかし、今まで志穂さんや友知さんと戦ってきた女医や女教授は魔女を支配していても警察との繋がりは見えてきませんでした。」

エミの説明に横で聞いていたコーチも言った。

「確かにね…奴らは魔女をけしかけてくるだけだったね。」

エミは続けて説明した。

「実際に警察や人間社会に繋がりを持っていたのは女帝と呼ばれる幹部…ただ、名前だけでどこの誰かまでは分からないのです…」

香矢が溜息をついて言った。

「それじゃあ、今後は警察とか政治家とかも相手にしないといけないっスかね…」

エミは首を横に振って言った。

「警察も一枚岩ではございません。下手に動かせば内部分裂が起こってウィッチ側にとっても面白くない状況になるでしょう…とは言っても人間でウィッチ側についている敵が出てくる可能性はありますが…」

志穂も溜息をついて言った。

「魔女よりもやっかいそうですね…」

香矢が胸を張って言う。

「まあ、魔女退治は志穂さんに任せるとして、そういう人間の闇はあちきにお任せあれっスよ!!」

それを見てますます志穂は溜息をつくのであった。

その時、エミが立ち上がり香矢のお尻をつねった。

香矢は叫ぶ。

「いっでぇ!エミーる、何をするっスか!!」

エミはオドオドしながら言った。

「えと、ごめんなさい。実は友知さんから頼まれていまして…「香矢が調子こいた事を言ったらお尻を一つ千切ってね?」と。」

香矢はまたまた叫ぶ。

「んがー!あいつめー!つーか、お尻は2つしかないっスよ!?2回で終われと!!」


香矢が叫ぶのとほぼ同時刻。

幼稚園のバスが発車しようとドアを閉めた。

社内では幼稚園児達がキャイキャイと騒いでいる。

「はーい注目!」

同乗していた保母さんが呼びかけた。

「今日からバスの運転手さんが変わりまーす。みんな、挨拶しましょうねー!」

保母がそう言うと運転手は立ちあがった。

保母は言った。

「新しい運転手のカニ魔女さんですよー!」

「ホホホ…」

運転手が帽子をとると中からカニ魔女が出てきた。

園児達の笑い声が悲鳴に変わった。


数時間後、香矢はお尻をさすりながら店内の掃除をしていた。

そしてぼやく。

「まだ痛いっスよ…エミーる、本気で千切ろうとしてなかったっスか…」

その時、TVが緊急ニュース番組に切り替わる。

「緊急ニュースです。今朝出発した、幼稚園バスが行方不明になりました。警察では誘拐事件を考慮して捜査しており…」

ニュースキャスターがそう告げると香矢は志穂の方を振り向いて言った。

「これはまさか…魔女の仕業!?」

志穂は逆に驚いて言った。

「そんなわけないでしょ!怪しい事件は全部魔女のせいですか!!」

香矢は頭をポリポリ掻きながら言った。

「いや、幼稚園バスジャックはお約束かと…ってエミーる!さりげなくあちきの後ろに立つな!!」

ニュースキャスターは続けた。

「続報が入りました…犯人からの要求です。「園児の命が惜しければ聖女はカメ魔女を倒したところにこい」…これは何でしょうか?暗号か比喩でしょうか?」

香矢は少し嬉しそうに言った。

「ねっ?魔女の仕業だったスよ!」

コーチが叱った。

「バカねっ!喜んでる場合か!!どうする田合剣?」

志穂は着替え始めながら言った。

「魔女の仕業なら…黙っていられません!!」


カニ魔女は不機嫌そうにバスの外に待機していた。

バスの中では園児達が泣きじゃくっている。

「ホホホ…キにイらん。」

カニ魔女は呟いた。

バスの中から保母が顔を出し、聞いた。

「何がですか?魔女様。」

カニ魔女は保母の方を向いて言った。

「ホホホ…おマエのコトだ。いくら女帝サマのサクとはイえニンゲンのチカラをカりるなぞ…」

保母は笑って言った。

「宜しいではないですか…聖女に勝てばそのような事はどうでも。」

カニ魔女はますます不機嫌そうに聞いた。

「ホホホ…おマエはイいのか?ニンゲンでありながら魔女のミカタをして…」

保母はまだ笑いながら言った。

「そんな事ですか…女帝様は大金を約束してくださいました。普通に働いていては手に入らないような大金を。そのためなら私は魔女にだってなりますよ。」

カニ魔女は保母から視線を外して呟いた。

「ホホホ…ショセンはニンゲンだな。くだらん。」

その時、一人の少女が姿を現した。

志穂であった。

志穂はバスと魔女の存在に気付き言った。

「ウィッチの魔女め…子供達をすぐに解放しなさい!!」

カニ魔女は立ちあがり言った。

「ホホホ…よくキたな聖女よ!だがこいつらはダイジなヒトジチだ!キサマをコロしたアトにカイホウしてやろう!!」

志穂が変身しようと十字架に手を伸ばした瞬間にカニ魔女は言った。

「ホホホ…テイコウはやめろ!このばすにはバクダンがシコんである!」

志穂は手を戻し言った。

「くっ…この卑怯者!!」

カニ魔女は叫んだ。

「ホホホ…イうな!ツバメ魔女をタオしたおマエにカつにはこれしかホウホウがないのだ!!さあ、このはさみでクビをカってやる!!」

その様子を物陰から香矢とエミが見ていた。

エミが小声で言った。

「どうしましょう…このままじゃ志穂さんが…」

香矢は志穂とカニ魔女ではなく別の場所を見ながら言った。

「あの保母さん…志穂さんとカニ魔女が睨み合いだした瞬間にバスから降りてきましたっスよ…バスのドアを閉めてバスからじりじり離れていく…まさかグル!?」

それに気付いた香矢は保母の方に走って行き保母を羽交い締めにした。

保母は叫んだ。

「何だお前!この、離せ!!」

香矢は離さない。

そして言った。

「何、安全なところに逃げようとしてるっスか!?ほら、魔女!お前の仲間がバスの近くにいるから爆破は無理っスよ!!」

保母は焦りながら言う。

「あいつに言っても無駄だ!リモコンは私が持ってるんだから!!」

香矢はニヤリと笑い言った。

「へー、それはそれは…さっきからポケットに手を突っ込んでるのはもしや?」

ゴソゴソと手をポケットに手を入れ、香矢は叫んだ。

「あった!そしてとったどー!」

リモコンを志穂の方に掲げる。

カニ魔女は忌々しげに言う。

「ホホホ…ニンゲンはやはりヤクにタたん。」

志穂は言い返す。

「そうでもないわ…あなたの仲間が私の仲間に負けただけよ!」

志穂は胸の十字架を握りしめ叫んだ。

「ドラゴンヴァルキリー!ドレスアップ!!」

左手で銀の、右手で金の十字架を引き千切った。

志穂の体は2つの十字架を中心に輝きだし

服は赤と緑のチェックの短パンになり

胸はぺったんこになり

そんな姿に

なった。

そして叫んだ。

「聖女!ドラゴンヴァルキリー!!ダブルドレス!!!」

カニ魔女は叫んだ。

「ホホホ…ならばマっコウからショウブ!カニ魔法!バブルシバり!!」

無数の泡が志穂の体を覆いつくす。しかし、志穂の袖が伸び、植物となって泡を吸収していった。

志穂は剣を構えて言った。

「相手が悪かったわね…本当に!!」

剣先から炎が噴き出し、カニ魔女を包み込む。

「ホホホ…どうせこうなるならサイショからセイセイドウドウとショウブすればヨかった…女教授サマ!モウしワケありません!!」

カニ魔女はそう叫び、消し炭となった。

志穂に香矢が駆け寄ってきて言った。

「さすが、志穂さん!かっこいいスね!!」

志穂は変身を解いて言った。

「カッコイイのは香矢さんですよ?香矢さんがいなかったら本当に危なかった。」

香矢は照れながら言った。

「だから言ったスよ?」

胸を膨らまし続けて言った。

「魔女退治は志穂さんの役目。フォローがあちきの役目!」

エミがそこで聞く。

「あれ、香矢さん捕まえていた保母さんは?」

香矢ははっとして言った。

「あう、しまった…せっかく決めて終わろうとしたのに…」

志穂とエミは二人して笑った。


保母は逃げながら呟いた。

「くそ、役に立たない魔女め…まぁ、いいか。私の仕事は終わった。これで女帝様に大金を…」

「くだらん。」

どこからともなく声が聞こえたと思った瞬間、保母は倒れた。

声の主は…女教授であった。

女帝も後から姿を現し言った。

「おいおい、ひどい事をするな…せっかく協力してやったのに。」

女教授は口紅を塗りながら言った。

「余計なお世話だ…聖女は私の獲物だ。部下の仇は私がとる。お前は人間を減らす事だけ考えていればいい。」

女帝は言った。

「そう言うなよ…目的が同じ仲間同士、協力し合おうじゃないか。それがビジネスってもんだろ?」

女教授は答えずに消えた。

女帝は呟く。

「私のビジネスには邪魔かな…?聖女も女教授も。」



試着室で着替えてると床が抜けて…

そんな都市伝説の裏にウィッチの暗躍があった!

志穂は都市伝説の真相を暴けるのか!?

次回 第二十九話 人食い試着室


友知の思いを受け継ぎ、志穂は戦い続ける。

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