02 運命の出会い
「こちら戦闘部隊、対象捉えました。」
対象が立つ地点は、いつもなら学校帰りの学生達で賑わう、人通りの多い場所なのだが、今は風に揺れる木々の音がやけにうるさく聞こえるほど静寂に包まれている。
さらに異質なことに、季節外れの雪。コンクリートの地面は積雪により、幻想的な雰囲気を醸し出している。
「こちら作戦司令部、戦闘許可。5……4……3……2……1……攻撃。」
一斉に対象に向かって飛び出す。魔素仕立てのブレーダーとシールドを片手に、好きを与えまいと立て続けに攻撃する。
「�����、【�����】」
対象が独り言のように呟くと、積雪が隆起し、対象を囲うように壁が形成される。隊員達のブレードが雪の壁に突き刺さる。
異変が起こった。
雪の壁に突き刺さったブレードが機能を失い、なまくらへと成り下がる。また、他の隊員はブレード自体が消えてしまったりと、不思議な現象に見舞われた。
「【�����】」
「また何か――」
夕日の光に反射する雪原が神秘的な雰囲気を演出している。そこには、雑音一つ無い。戦闘なんて、最初から無かったかのように。
「こちら作戦司令部、状況は?」
しかし、返答が帰ってくることは無かった。
「……増援を呼ぶ。皆、暫くの間侵略を抑えてくれ。」
◇◆◇
私は、何が起こっているのか理解出来なかった。通信から状況を察するに、我々は窮地に立たされている。
ふと、遠くの雪を眺める。遠くからでも心を奪われてしまいそうになるくらい美しい。
「……私が時間を稼いでくる。」
無意識に声を発していた。あの雪の元には、刺激的な世界が待っている。私の人生が大きく変わる気がする。運命が待っている。行けと本能が告げている。
残された4人の止める声を無視し、私は飛び立つ。宙を舞う雪が星のように輝いている。そこに飛び込む。
次第に積雪の上に立つ人影が大きくなり、やがて顔が見える位置まで辿り着いた。
どうやら私だけみたいだ。
「���」
目が合った。
綺麗だ。ただ率直にそう思った。
純白の髪が煌びやかになびいている。
白を基調とした服装に装飾されたスパンコールが輝きを放っている。
凛々しい顔立ちが心臓を掴んで離さない。
彼女は【戦乙女】であり、【空割れ】と同時に現れる人類の敵。だが、目の前にいるのは人間と遜色ない女性。年齢も私と変わらないように見える。
私の中で止まりかけていた時間が、動き出す音が聞こえた気がした。