復活の王
ガルバタンは青年から不吉王と呼ばれた男について、説明を受けていた。
「なるほど、その男が9階のジャキを打ち破ったというわけだな。悔しくはあるが・・・」
「ところで君の名は何と言うんだ?」
「闇崎 翼と申します」
「そうか、ではタスクと呼ばせてもらおう」
タスクは自己紹介を済ませると
「この塔の攻略には凶作さんの存在が欠かせません。何としても封印を解かなくては・・・」
自分の目的を伝えた。
「ふーむ、靄を照らしてみてはどうだろう?」
ガルバタンは何となく答えた。
「しかし、この濃厚な靄を照らすとなると大規模な設備が必要となりますね」
不確定で現実味のない返答にタスクは苦々しく答えた。
「俺の能力なら階一帯を照らすことができるぞ」
「まさか、そんな技術を持ち合わせているんですか!?」
「やってみせよう」
ガルバタンは靄の中に突入した。
「待ってください!番人も出てきますよ!」
「そいつも俺が倒す」
〜吉術「一陽来復」〜
階全体が光に包まれ靄が完全に晴れた瞬間。
「あっ!」
タスクは思わず叫んだ。
ムゲンが高速で凶作に襲いかかろうとしていたのだ。
ガキッ!
ガルバタンは凶作とムゲンの間に素早く滑り込み、ムゲンの拳を長剣で受け止めていた。
「むっ、誰だ!」
ムゲンは3メートルほど後ろに飛び退くとそう言った。
「問答無用!」
ガルバタンは右旋回しながら距離を詰めムゲンの胸を切り裂いた。
「哀れな」
ガルバタンが左手の人差し指と中指をムゲンの方に向けると、眩い光線がムゲンの身体を貫通する。
〜吉術「幸運鋭波」〜
「やばそうだから、巻きで決めさせてもらったぜ」
ガルバタンが言い放つとムゲンの身体が黒い靄となり、凶作の体に絡みついて消えていった。
「・・・貴方達は?」
凶作は状況が飲み込めないようで、口を開いた。
「私は闇崎タスク、こちらは勇者ガルバタン様です。」
「塔打開のため、共に戦いましょう」
「その前に今日はもう疲れた。いろいろ聞きたいこともあるし一旦お開きだな」
ガルバタンがそう言うと3人は塔を後にした。
3人は塔の前にあるビジネスホテルのバーで飲んでいた。
凶作とガルバタンは自分達の物語を伝え(この小説の内容)ついにタスクの番がやってきた。
「私は・・・」
「この世界を救うために生まれた者です」
「具体的に言うと、人類絶滅までの5年間を14回繰り返しています」
タスクの発言に凶作とガルバタンは真剣な顔をした。
「なるほど、不思議なこともあるものだ」
「まあ、君に限った話ではないが」
ガルバタンがそう言うと凶作は静かに頷いた。
「信じてくれるんですね!?」
「それなら話が早い!」
タスクは自分のした体験を語りだした。