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ガルバタンの光とウツの闇。


互いに喰い合う白と黒だったが少しずつ闇の侵蝕が進行していた。


「予想以上にくそやべえッ・・・!」

そう言ってガルバタンは剣を抜き、前方に突き出し力を込める。


「攻め方を変えよう」

ガルバタンが言った瞬間、光が消え闇が全てを覆い尽くした。


しかし、ガルバタンの周りにわずかな光の層ができ侵蝕だけは免れていた。


「エイッ!」

と言う掛け声と共にウツの懐に飛び込んで剣を切り上げるガルバタン。


ウツはよろりとそれを躱したが斬撃の軌道が急激に変化し前方に伸びてくる。


ザクッ


「グググ・・・」

ウツは負傷した横腹を押さえながら唸り声を上げた。


〜勇技「ひねり月」〜


幸運の光を加えた勇者の技術がウツの身体を捉えたのだ。


「そして、好機!」

ガルバタンの放った綺麗な横薙ぎ一閃がウツの首をはねていた。


ウツの存在はあっさりと空に霧散し、それを確認するとガルバタンは次の階に向かって歩き出した。


それからも次々と階の番人を葬っていくが、老いもあってか連戦と階段が厳しくなってきた。


「少し休もう」

46階の番人を倒し終えたガルバタンは、身につけていたマントを丸めて枕にして仰向けに寝そべり天井を見つめていた。


15分間の瞑想を終え、今までの人生を振り返っていたガルバタンは、ゆっくりと立ち上がり登ってきた階段を引き返していた。


今日中にそこまで頑張ることはないと思っていたし、1つ気になったことがあったからだ。


19階の黒い靄はいったいなんだったのか?


来る時はあまりに不穏だったため警戒し、できるだけ吸い込まないようにして通過したあの階が少し気になり出したのだ。


休憩を挟みながら19階まで来たガルバタンはゆっくりと靄に触れて掻き回してみる。


なんてことはないただの靄だ。嫌な感じもしない。


「なんだこれは、どこから発生している・・・?」

不吉という物質なのは感覚的に理解したガルバタンだったが、その実態を理解することはできない。


靄の中に入り、階の中央部分を彷徨っていると何かに気がつき思わず叫んだ。


「誰か居るのか!?」

人の気配を感じ取ったガルバタンは身構える。


「申し訳ありません。塔の挑戦者の方が居ると思いませんでした」

邪気の無い清らかな声が聞こえてくる。


「私はこの靄を調査している者です。よろしければ視界のいい場所で話しませんか?」


「わかった」

おそらく番人ではないと感じたガルバタンは靄を出るために下り階段のところまで向かった。


そこには1人の青い服を着た青年が立っていた。


「貴方はガルバタン様ですね!?」

ガルバタンは青年の言葉を聞いて驚いた。

塔に敗北して以来40年間、表に姿を出していなかった自分の正体を瞬時に言い当てたのだ。


「よく聞いてください。この靄はとある挑戦者が作り出したものです。これにはその挑戦者と戦っていた番人が共に封印されています。」

ガルバタンは青年の説明に興味を持ち静かに聞いていた。


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