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幸運の兵士

ガルバタンは不思議な力で階の番人を薙ぎ倒し、39階に到達した。

階の中央には深緑色の鬼が虚ろな表情を浮かべている。


〜39階の番人、ウツ〜


「こいつはくそやべえッ・・・!」

そう言うとガルバタンは咄嗟にウツに襲いかかった。



〜吉術「一陽来復(イチヨウライフク)」〜


「巻きで決める!」

ガルバタンから放たれた光が世界を包み込む。


しかし、ウツから放たれたドス黒い闇が同じように世界を侵蝕しようとしていた。


39階の空間で光と闇が喰いあっていく──


俺の名は勇者「ガルバタン」。

この世界がまだ魔王軍の脅威に脅かされていた時代に生を受けた。


由緒正しい武家の家庭で育てられた俺は、やがて魔王軍討伐の部隊に編成される。


この頃は自分自身を強いと思ったことはなかった。

もちろんそれなりの訓練を受けていたので全くの雑魚でないのは理解していたが、それでも強者達から群を抜いて特別な能力があるわけではなかった。


そんな俺が何故か生き残り魔王との一騎討ちの場面に上り詰めるまでに至る。


初めは魔王の圧倒的な迫力の前に圧倒されたが、()()()()()()()()()に魔王が怯むとそこから形勢は逆転し、魔王を討ち取ることに成功した。


全世界からの称賛を浴びて舞い上がっていた俺。


そして、再び世界に脅威が訪れる。

「不吉の塔」である。


俺が挑戦する頃には既に9階まで攻略された状態だった。


圧倒的自身を胸に秘めた俺は9階の番人であるジャキと長い攻防を繰り広げたが、ジャキの本気の一撃で塔から放り出されてしまった。


重症を負い手当を受けた病院で記者たちにはこう答えた。

「か、勝てないッ・・・」

あのまま戦っていたらやられていただろう。

圧倒的な実力差。遊ばれていただけだった。


傷が完全に癒えるまで数年の時が流れ、そして俺はある仮説に辿り着く。


「本来なら魔王にも勝ててなかったんじゃないか・・・?」

思い返せばあの一戦の内容は散々なものだった。


しかしその現実は全世界の称賛に掻き消され、思考の外に追いやられていたのだ。


では、魔王との一戦の勝因はなんだったのか?


()()()()()()()()()


あの瞬間、何か輝いた気がした。


そして、一瞬だが魔王の動きが確かに止まったのだ。


そして深く思い返すと魔王軍との戦いにおいて、俺を生かそうとする()()()()が働いていたとしか考えられなかった。


そこに気がついたその日から今日まで俺はそのように行動することになる。


そして今では完全に感じ取り、理解するまでになった。


「幸運」と言う加護の力の存在を・・・

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