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人の顔が殴れなくなりボクシングを止めようと思ったのに、気になる女性がボクシング好きだと知ってしまった話。  作者: コヨコヨ


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龍視点

「なんか、成虎、私よりも芽生とばかり話している気がする……。なんでだろう。私も成虎ともっと話したいんだけどなー」


 愛龍は牛鬼ボクシングジムの寮の風呂場でお湯に浸かりながら呟いた。成虎は食事中、最近は一緒にお風呂に入る機会がめっきり無くなってしまった。

 一緒に入ったら入ったで恥ずかしいと言う感覚はあれど、小学校のころはほぼ毎日一緒に入っていた間柄で、中学の時も大して気にしていなかった。


「うぅん……、またちょっと大きくなってるかな……。ママぐらいになれば成虎もウハウハするのかな?」


 愛龍は膨らんでいる胸に手を当て、下から持ち上げるようにしてお湯に浮かべる。

 最近、成虎だけではなく親友の芽生も変わってしまった。いや、本質は変わっていないのかもしれない。成虎はもともとボクシングに掛ける情熱は人一倍あるし、芽生はもとから明るい子だし。二人共色々あって落ち込んでいたけれど何か切っ掛けがあって吹っ切れた。

 その姿が、妙に大人びていてどこか、自分だけ取り残されてしまったような……、心が寒いと言うか、物寂しい。お湯に浸かっているのに、寒いなんて風邪かな。


「はぁ……、どうしたら、温かくなるのかな。私も早く大人になりたい……。んー、そもそも大人ってなんだー?」


 愛龍は腕を組み、ウンウン唸りながら考える。だが、大人が何なのか思いつかない。実際、成虎と芽生も大人じゃないはずだ。なのに、どこか大人びている……。


「なにかに一生懸命だからカッコよく見えるのかな? じゃあ、私もカッコいいのかな?」


 愛龍は立ち上がり、体を洗って風呂場を出る。濡れた体を布で拭き、服を着替えてから自室に戻った。

 トロフィーやメダル、盾が本棚を埋め尽くしており、金メッキの輝きしかない。銀色銅色は無く、全て金。

 生まれてこの方、負けた経験はなく、自分の階級から上下合わせた三階級以内なら負ける気が一切しない、無双っぷり。


 華々しい成績が飾られた棚から視線を反らし、ベッドに向ける。可愛らしい動物のぬいぐるみが大量に置かれていた。

 虎や象、熊、全て可愛らしく見えるようにデフォルメされている。でも、もっぱら抱きしめて寝るのは黒と白の体が特徴的な鯱。抱き枕のような大きさで、愛龍の一番のお気に入り。好きすぎて寝る前は口にお休みのキスまでしてしまう。


「はぁ……、何だろう、この気持ち……。もやもやする……。成虎と芽生が一緒に筆談しているところを見ただけで何でこんなに胸焼けみたいな気分になるんだろう」


 愛龍は鯱のぬいぐるみを抱きしめながら心の疼きを感じていた。勝手に想像される成虎と芽生の姿。どこか、間に割り込めない雰囲気でいつもじっと見ているしか出来ない。


 隣の部屋にいる成虎ともう十年以上の付き合いなので幼馴染と言うか、ほぼ双子のきょうだいと言っても過言じゃない。でも、血が繋がっているわけじゃない。ほぼ毎日一緒にボクシングしてきた。会話も自分が一番しているはず。でも、成虎はここのところ芽生とばかり楽しそうにしている。


「むむむ……、成虎の癖に……。お淑やかな女の方が良いってか? 私だって、お淑やかだと思うんだけどな。リングの上以外……」


 愛龍はベッドの上で鯱のぬいぐるみを抱きしめながらゴロゴロと寝転がる。しんとしている部屋の中で自分の唸る声が響き、妙に悶々とした 。

 愛龍とて健全な女子高生である。



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