表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/12

11. 勇者たちが、やってきた

 ズズ――――ッと音を立て、砂嵐が起こった。

 

 地面には、足跡が後ろに向かって流れる跡が付く。


 ジルは腹部を押さえ、しゃがんだ。


「はあ、はあ、はあ……っ」


「――っはあ、―――っはあ、―――っはあ」


 両者の荒い呼吸だけが、この空間に響き渡る。

 一方は立ち、一方はしゃがみ込む。


 お互い、何も考えられなくなっていた。真っ白な頭は、次の動きを考えるのではなく、ただひたすらに呼吸することに使われる。



 呼吸が正常になるにつれて、ジルの頭の中は真っ黒な感情で満たされていった。

 どうして、どうして、と。

 私の方が、私が、究極であるというのに。


 一瞬は、同じ力量だった。これならば勝てると、本気でそう思っていた。


 そんな彼女のプライドは、電光石火のごとく粉々に壊された。

 不倶戴天の敵による、一発で。


「……おい」

 私が口を掛ける。


「もう終いか」

 私の体は、もう完全に傷を塞いでいた。だがどんと来い、とは言えなかった。

 傷が塞がろうと疲労感がないわけではない。筋線維が、固くなり切れ、ガタが来ていることなんて体で感じていた。


 相手だって同じだろう。生き物ではないから、筋肉の痛みを感じるわけではないだろうが、それにしたって彼女の体のへこみ具合は尋常ではない。

 まるで、大きくて鋭利な岩石が上から降ってきたように、大きくへこむ跡がいくつもある。


 

「まさか、究極(ユルティム)ともあろうロボットが、この程度でへばってんじゃないだろうな」

 そう煽るように言えば、決まって彼女は私を睨み付ける。

 憎まし気に。



「……いや、お前の負けだ」

 ジルは小さくそうつぶやきながら、右手で背を探った。





 と。

 その時。


「そこまでだぁぁぁぁぁあああああああああああああッ!!」


 何かが、私とジルの間に現れた。

 上からだ。上から何かが降ってきたんだ。



 降ってきた瞬間、それはジルに向かって剣を振りかざした。

 さすがのジルも、不測の事態に後方へ退くことしかできない。

 

 背中にあった物を持つのではなく、完全に防御に出たジル。


「残念だったな! 悪党め! この僕が来たからには、弱い者いじめなんてさせないんだな!!」

 と格好つけながら参上したのは、ジルと同じぐらいの少年だ。

 顔は幼く、蒼い髪、蒼い瞳。

 

 そして何より、細く長い剣。


 それでもジルが引き下がる様子はなく、動き出そうとした時。

「!」


 どこからともなく、銃弾が飛んできた。

 あと数ミリ、ジルが動いていれば見事に脳を貫通していたことだろう。


 たまたま外れたのか、それともわざと外したのか。

 

 ていうか、どっか撃ったんだ!?


 私は今だ、どこからその銃弾がやってきたのか分からなかった。


 

「……若造、そのような不純な行為はこの場にはふさわしくないぞ」


 ジルの真後ろから、草を掻き分け何かが現れる。

 ジルに大きな影を作るほどの、大巨漢。否、巨人と呼んでもいいほどだ。


 赤毛の、大きな戦斧を持った男。


 それが現れた途端、ジルも私も血相を変えた。


――――勝てない。


 そう思わせるほどの、重圧。


「その剣、只の剣じゃないだろう。隠し玉が、見えるぞ」


 ジルは、背中に伸ばしていた手を戻した。この状況で、彼女は剣を引くことが出来なかった。

 それをしてしまったら、最後。

 そう思ったはず。


「それに、相手は武器を持っておらんのだぞ。負けを認めよ。さもなくば」

「おい、それぐらいにしておけ!」

 勇者だ何だと語っていた少年が、口をはさむ。


「こいつは強い。きっとこいつが、隊長が言ってた新メンバーだ!」

「なんだと!? そうだったのか! ならもっと早く言え!」

 がははははははっ、と先ほどまであんなにも怖い顔をしていた巨漢は笑い出した。


 ん? いやいや、この状況。まずくないか?


 焦った私は、

「あ、あの、違っ」

 と、言葉になっていない言葉をこぼした。


 それに気が付いた彼らは、私の方を一瞬見て、またジルの方を向いた。


 え?


 私、ノインだぞ? 普通に考えてこっちだろ! な、なんで、そんな……そんな目で私をちらりと見るんだ。私は除け者か!?


 何故か信用を受けてないらしい私。


 私はいない者のように扱われ、ジルの方へわんさか集まっていく。

 ジルも状況を飲み込めていないらしく、口を開けたまま唖然としていた。


 しかしすぐに、はっと正気に戻り戦闘の構えをした。


「お前たちが何を勘違いしているのか知らないが、私はお前たちの敵だ。特にそこの奴」

 私は指を指された。


「お前を殺し、心臓を焼くまではここを立ち去らない」


「お前たちがどれほど強かろうと、私が引き下がることはない。お前たちごときなら、私でも勝機はある」

 そう、宣戦布告をした。




 その時。

「―――では、そこに私が加わってはどうだろう」


 それは聖女の声だった。

 美しい白髪をなびかせて、鮮紅の軍服を魅せつけながら。

 

「……ジャンヌ、ダルク」

 まさしく、その人。


皆さまこんばんは!なんだかジャンヌダルクのpvがとてつもなく減ってしまった夏神ジンでございます!

当たり前と言えば、当たり前なのかもしれません……投稿頻度が低いから!!!

頑張っておりますが、毎日投稿は無理です!ですが、なぜか突然投稿することがこれから多くなると思います!火曜日、金曜日だけでなく、突然土曜日と日曜日続けて出します!とか……まあ、明日の自分は明日にしかわかりませんから!

最後に、ここまで読んで頂きありがとうございました!ぜひぜひブックマーク、コメント等して抱けると嬉しいです!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ