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あの、雨の日に  作者: 灯火(とうか)
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第五話


いきなり、突き飛ばされた。


「ゴンッ」


 硬い石に頭がぶつかったような、実は少し甲高い音が響く。


「お前なんか、助けなければよかった。」


 どうやら、出血しているようだ。


「お前を助けてから、俺はずっと雨に見舞われている。」


 視界がぼやけてきた。


「おまえの呪いで部活ができない。皆から恨まれる。」


最後ぐらい、笑おうかな。


「んなっ」


 神様にお願いしよう。来世は恋ができますように。



 楽しげな声が聞こえてくる。

 今度は、いつの記憶?


 視界がはっきりしてくる。

 背が、低い。


 幼少期の記憶…なのかな。


 あ、そう言えば私、死にかけなんだっけ。だとすれば、これは走馬灯?


 飛行機雲を追いかけて走り出す自分が見える。あ、麦わら帽子をかぶっている。


 あの頃は、まだ雨女ではなかったはず。


 確かこの後、落雷に打たれてその後から雨が来るようになったんだっけ。


 その後、能天気なことに「雲と追いかけっこだ〜」なんて言っていた気がする。





 絵の具で塗ったような、そんな青空は私の届けたい想いすらも飲み込んでしまったのだろうか。

「待って!」という声もきっと今は届かない。

 昔は、辿っていけばどこまでも行けそうな気がしたひこうき雲も、今は私を置いてどこかへ飛んでいくだけになった。

 被っていた麦わら帽子を脱いで遠くの空を見上げる。

 そこに大きく存在していた入道雲と、目が合ったような気がした。


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