表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋の形  作者: 雨乞猫
3/30

恋の形3

あなたに未来の日本を救って欲しいのです」


「はあ?何言っているのだ?」

 

真剣な表情からいきなりぶっ飛んだワードが出てきて困惑してしまう。


「いきなりこんな話をして申し訳ありません、しかしこれは真剣な話なのです」

 

真っ直ぐにこちらを見つめながら念を押すように語気を強める真面目そうなメガネ女子。


何を言っているのだ、この子は?もしかして漫画かアニメの設定か?


それとも宗教の勧誘?何にしても厄介な女と関わってしまったな。


「そういうのは間に合っているので、じゃあな」

 

さっさとその場を立ち去ろうとしたのだが、咄嗟に腕を掴まれ引き止められる。


「お願いです、話を聞いてください‼︎」


「離せよ、頭の痛い女に付き合っているほど俺は暇じゃない」


「嘘や冗談で言っているのではないのです、お願いですから話を聞いてください‼︎」


 縋り付くように俺の腕を掴んで離さない。面倒なことになった


無理矢理手を振り払って逃げることもできたが、明日以降も待ち伏せされたりしたら厄介だ


通学路でもあるこの道をわざわざ変更するのも面倒臭い。


「何の話だ?宗教の勧誘とかなら他を当たれ」


「違います、あなたに未来の日本を救って欲しいというのは本当なのです‼︎」


「未来の出来事に本当とかあるかよ、ふざけるのもいい加減にしろ。そもそも俺に何をしろと言うのだ⁉︎」


「これからこの日本にとんでもない事が起きるのです、それをあなたに救ってほしい。それだけです」


「訳がわからん、一介の高校生である俺に日本を救えとか、そんな馬鹿な話があるかよ。


そもそもなんで未来のことがわかるのだよ?」


「それは、私が未来から来た人間だからです」

 

うわ……こいつ、本格的にヤバいやつだ。真面目な顔で真剣に言っているからこそ余計にヤバさが際立つ


これ以上関わったら本当にやばいかも。


「付き合っていられねーよ、じゃあな」

 

掴まれていた腕を無理矢理引き剥がし、相手に対してと背を向けた。


「待ってください、私は本当に未来から来たのです‼︎」


「はいはい、わかったから……もう俺に絡むな」


「信じてくれないようですね、まあ無理もありません。では証拠をお見せます」

 

証拠だと?何を言っているのだ、こいつは?未来から来た事をどうやって証明するつもりなのだ?


ここまでくると少し興味が湧いてきて、話だけでも聞いてみることにした。


「何をするつもりだ?」

「簡単です、今日、○○年十月五日に 人気芸能人の新田博雅が逮捕されます」

 

新田博雅とはモデル上がりで映画やドラマの主役をいくつもやっている大人気俳優である


あまりテレビを見ない俺でも知っているほどの有名人だ。


「新田博雅が逮捕だと?どこの週刊誌ネタか知らないが、あまりいい加減なことを言っていると……」

「嘘じゃありません、もし私の言っていることが本当だったら、明日もう一度この時間にこの場所に来てください」


「わかった、じゃあな」

 

どうせ口から出まかせだろうが、これでこの頭のおかしな女から解放されると思い


さっさとその場から立ち去った。その後スマホで【新田博雅 逮捕】と検索したが


それらしいモノは見つからなかった。

 

俺は今朝あったその出来事を二人に話す、何とか失恋話から話題を逸らしたかったからした話だったが


二人は予想以上に食いついてきた。


「へえ〜それは不思議な話だな。漫画とかなら運命の出会い的な感じだが


いっそその子と付き合ってしまうとか?」


「まさか、優斗、いきなり香奈からその子に乗り換えるの⁉︎」


「馬鹿なことを言っているんじゃねーよ、相手はどう見ても中学生だぞ?そんなガキを相手にするかよ」


「中学生と言っても、俺らだって高校生のガキじゃん。俺の友達でJCと付き合っている奴いるぜ」


「そんなのと一緒にすんな。ほら、もう授業始まるぜ」

 

話がおかしな方向へと流れていったので俺は強引にその話を打ち切った。


おかげで少しは気が紛れたが、少なくともうれしくはなかった。


 

その日はなるべく他人と関わらないようにさっさと家に帰り、自室に篭る。


朝と昼の食事をまともにとっていないので流石に腹が減ってきてこんな時でも人間は腹が減るのだな


と思いながら自己嫌悪に陥る。夕食時になり母親と顔を合わせなければいけないと思うと少しだけ憂鬱な気分になるが


背に腹は変えられないので渋々食卓のテーブルにつく。


その日に出てきたメニューは煮物に焼き魚、味噌汁に漬物と純和食のラインナップ。


正直この手の和食は好きでは無く、年齢的にも肉とか揚げ物とかをがっつり食べたいというのが普段の俺なのだが


今日に限ってはこういった食事でも美味しく食べられた。


〈空腹は最大の調味料〉とはよく言ったものだ、とはいえこんな時でも煮物に入っている椎茸だけは食べられなかったのだが。

 

そんな事を考えながら食事をしていると、テレビで人気のバラエティ番組が流れていることに気づき


自然とそちらに視線が向いた。そこには俳優の新田博雅も出ており、今朝のことをふと思い出す。


どうやらドラマの番宣でゲスト出演しているようだ。


「この番組って生放送だよな?」


「うん、確かそのはずだけれど。何で?」       


「いや、別に……」

 

何となく言葉を濁して誤魔化す。そんな俺の顔を不思議そうな目で見てくる母親。


〈今日、未来から来たとかいう女が、新田博雅が逮捕されると言っていて……〉


などと言えるはずもなく、無言のまま食事を済ますと、そのまま風呂に入り今日はさっさと寝ることにした。

 

翌朝になり、目覚ましの音で目が覚める。気分はあまり良くないが昨日よりはマシという感じだ。


着替えを済ませ朝食を取るために部屋を出てテーブルに座ると、信じられないものが目に飛び込んできた。


それはテレビの朝の報道で、画面には【俳優 新田博雅 覚醒剤所持で逮捕】という文字が映されており


両脇を警察に抱えられながらパトカーに連行される新田博雅の姿が映し出されていた。


「覚醒剤とか、本当に嫌ね。どうしてそんな事をするのかしら?」

 

母親が誰に話しかけるでもない独り言のような言葉でつぶやく


だが俺にとっては看過できない出来事だった。


画面から流れてくる情報を呆然と眺めていると、そんな俺の態度が気になったのか。


「何?優斗はこの俳優の事がそんなに気になるの?」


「いや、そういう訳じゃ無いけれど……」

 

それ以上は答えなかった、というより答えられなかった。画面の中では新田博雅の出演した映画やドラマの紹介が続き


司会者とコメンテーターが〈どうしてこうなってしまったのか?〉とか


〈どういった流れで覚醒剤に手を出すことになったのか?〉と、いかにも芸能っぽい勝手な推察で


ああだ、こうだと話している。しかし俺にとってそんなことはどうでも良かった。


どうしてあの子はこの事を知っていた?有名な芸能記者に知り合いでもいたのか?


それとも身内に警察関係者がいてそこから聞いたとか?いやいや、そんな事が漏れていたらそれこそ大問題だ。


しかしどうやって……無言のまま考え込んでいる俺だったが母親もそれ以上は追求してくることはなかった。


「早くしないと遅刻するわよ」


弁当を持たせてくれた後、追い出されるように家を出る。そして昨日の場所には例の子が立っていた。


「私のいう事が本当だと信じてくれましたか?」

 

挨拶もないままに、相変わらずまっすぐこちらを見つめながら言い放ってきた。


どこか勝ち誇ったようなドヤ顔が少し鼻についたが、今はそんな事を言っている場合ではないだろう。


「どうして新田博雅の事がわかったんだ?」


「だから言ったじゃないですか、私が未来から来たからだと」


「そんな話が信じられるか⁉」


 強い口調で言い返すと、相手は目を閉じ大きくため息をついた。


「ハア、意外と頑固ですね松岡さん。わかりました、ではもう一つ予言というか、事実を教えます。


今晩、というより明日の未明ですが、熊本で震度五の地震が起きます。


死傷者やけが人は出ませんでしたが、土砂崩れにより住宅二棟が被害にあいました」

 

地震だと?それが本当ならば、芸能界のスキャンダルと違って事前に知りようがない。


もし地震の大きさから被害状況まで一致した場合、それは偶然では済まされないレベルだ。


「わかった、それが事実ならばお前のいう事を信じよう」


「では、また明日、この場所で」


 そう言って俺はその場所を後にする。昨日から今日にかけての出来事により、


その日の授業はまるで頭に入ってこなかったが、香奈ちゃんの事を少し忘れられたのはありがたかった。



翌日、俺はいつもよりうんと早く家を出た。なぜならば予言通り地震があったからである。


熊本、震度五、土砂崩れ、住宅二棟が被害、全て正解だった。


もう疑いようもない、彼女の言っていたことは本当だった。


頭の中で色々な想像を巡らせてみるが答えなど出るはずもなく一刻も早く話を聞きたいという思いでいっぱいだった。


「おや、今日は随分と早いですね、松岡さん」

 

途中走ってきたので少し息が乱れたが、すぐに呼吸を整えると、なるべく平静を装い言葉を発した。


「地震の事はドンピシャだった。お前本当に未来から来たのだな?」


「やっと信じてくれたのですね、これで信じてもらえなければどうしようかと思っていましたが、良かったです」


「そりゃあそうだろう、いきなり〈私は未来から来ました〉と言われて、〈はい、そうですか〉と納得できる人間はいねーよ」


「まあ、それもそうですね。でも信じてもらえたのであれば私の話を聞いてもらえますね?」

 

俺は無言でうなずいた。


「しかし説明すると少し長い話になりますので、学校が終わってからでもいいですよ。私はここで待っていますので」


「いや、学校は休む。今日は授業に出たところで気になって頭に入ってこないだろうからな」


「そうですか、ではここで立ち話もなんですから近くのファミレスにでも行きましょう」

 

そう言うと、彼女は俺を先導するように歩き始めた。


「ちょっと待った」


「どうかしましたか?」


「いや、君の名前をまだ聞いていないから……」


「そうでしたね、大変失礼しました。私の名前は宮里みのりと申します、今後はみのりと呼んでください」


「ああ、わかった。よろしく頼む、みのり」


頑張って毎日投稿する予定です。少しでも〈面白い〉〈続きが読みたい〉と思ってくれたならブックマーク登録と本編の下の方にある☆☆☆☆☆から評価を入れていただけると嬉しいです、ものすごく励みになります、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ