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火魔法の理

週間総合ランキング5位です。ありがとうございます。


 さて、バフォメットを倒したら調理だ。


「納品に必要なのは魔石と翼、爪ね」


「それ以外は自由に扱っていいってことだな」


「ルード以外の人からすれば肉なんかあっても意味はないけどね」


 それもそうだ。普通の人は魔物の肉を食べられないからな。


「で、どうやって食べるの?」


「山羊といえば、スープ料理だろ?」


 山羊料理なら何度か自分でも作って、食べたことがある。


「これを普通の山羊と呼んでいいのかは疑問だけどね」


 ベースになっているのが山羊なんだ。山羊的な扱いで問題はないだろう。


 今までもそんな感じで調理できたし、味も大体そんな感じだった。


 というわけでマジックバッグから調理道具を取り出すと、血抜きしたバフォメットの解体にかかる。


 毛皮を剥いで首にナイフを入れると、背中を開いて内臓を取り除いていく。


 体の構造は山羊と同じで胃袋が四つあった。興味深い。


 胃袋は水袋に加工できるのできちんと採取しておこう。


 内臓を取り除いて綺麗に水で洗い流すと、食べられそうな肉を選定して解体。


 今回はバラ肉とモモ肉を使って調理してみることにする。


 大きな鍋を用意すると、そこに水、料理酒、角切りにしたバフォメットの肉を入れて煮込んでいく。


「わっ、すごい灰汁」


「山羊は灰汁が強いからな。ちゃんと除去してやらねえと」


 煮込んでいると灰汁が出てくるので面倒をしっかりと見ておいて除去する。


 それを四十分ほど続けると、塩を加えて、さらに少し煮込む。


「あとは器によそって、ヨモギとショウガを加えれば完成だ」


「えっ! それだけ?」


「山羊は旨みが強いからな。シンプルな味付けだけで十分だ」


 シンプルな工程にエリシアが驚く中、俺はバフォメットのスープを飲む。


「どう? 美味しい?」


「ちょっと臭みがあるが美味いぞ!」


 普通の山羊ほどではないが、バフォメットの肉にも少し臭みがあった。


「具体的にはどんな臭み? 山羊って食べたことがないのよ」


「少しの獣臭さと牛乳のような風味がある」


「……それって結構臭くない?」


「多少臭みがあるのには慣れているし、それを差し引いても美味いぞ。脂身にはしっかりとした甘さがあって、それがよくスープに溶け込んでる」


「へー」


 農村部で出される処理の甘い肉料理などに比べると、バフォメットの獣臭さなど随分と優しいものだ。


 エリシアが感嘆の声を漏らす中、モモ肉を頬張るとあっさりとした赤身のような旨みがした。


 脂身にしつこさのようなものはなくて食べやすい。


 一緒に入れたヨモギと食べ進めると、口の中がスッとして清涼感に満たされる。


 さらにショウガと一緒に肉を食べると、これまた相性がいい。


 匙がとても良く進む。


「にしても、ルードって本当に美味しそうに食べるわよね?」


 二杯目を食べ進めていると、隣に座っているエリシアがこちらを見つめながら言ってくる。


 食事をしている時の俺はそんなに幸せそうな顔をしているのだろうか? 


「それだけ魔物は美味いんだ」


 この美味しさをエリシアにも共有したいが、普通の人には魔物を食べることができない。


 こんなにも美味しいものを食べられないなんて彼女はなんて残念なのだろう。


「……なんとなく言いたいことはわかるけど、哀れみの視線を向けるのはやめて」


 俺の哀れみの心を悟られてしまったようでエリシアがイラっとした顔になる。


 彼女がへそを曲げると食事中の警戒を引き受けてくれなくなるので、大人しく食事を再開することにした。


 バフォメットのスープを平らげた俺はステータスを確認してみる。



 名前:ルード 

 種族:人間族

 状態:通常

 LV48

 体力:244

 筋力:204

 頑強:164

 魔力:156

 精神:130

 俊敏:151

 ユニークスキル:【状態異常無効化】

 スキル:【剣術】【体術】【咆哮】【戦斧術】【筋力強化(中)】【吸血】【音波感知】【熱源探査】【麻痺吐息】【操糸】【槍術】【隠密】【硬身】【棘皮】【強胃袋】【健康体】【威圧】【暗視】【敏捷強化(小)】【頑強強化(小)】【打撃耐性(小)】【気配遮断】【火炎】【火耐性(大)】【大剣術】【棍棒術】【纏雷】【遠見】【鑑定】【片手剣術】【指揮】【盾術】【肩代わり】【瘴気耐性(中)】【瞬歩】【毒液】【変温】【毒耐性(中)】【毒の鱗粉】【麻痺の鱗粉】【エアルスラッシュ】【火魔法の理】【土魔法の理】【精神力強化(小)】【鋼爪】【魔力回復速度上昇(小)】

 属性魔法:【火属性】


 バフォメットを倒したことでレベルが一つ上がっており、喰らったことにより所有していたスキルを獲得することに成功していた。


「おお! 魔法スキルが手に入ってる!」


「本当!? なら早速使ってみて!」


 魔法系のスキルということでエリシアも興味があるのだろう。翡翠色の瞳を爛々と輝かせる。


 俺も魔法系スキルに強い憧れと興味があったので、早速とこの場で使ってみることにした。


 きっとバフォメットのように火槍を生成して飛ばしたり、礫を雨のように射出することができるはず。


 そんな期待を抱いてスキルを発動してみるも、俺の周囲には何も異変はなかった。


 バフォメットのような火魔法や土魔法は発動しない。


「あれ?」


 使い方が悪かったのか、それともイメージができていなかったのか。


 首を傾げながらもバフォメットの発動していた魔法をイメージしてスキルを使ってみる。


 しかし、どれだけ鮮明なイメージを浮かべようとも、それが現実となることはなかった。


「……あれれ?」


「どうしたのよ、ルード?」


「スキルが発動しねえ」


「なんで?」


「それが俺にもわからねえから困ってるんだ」


「今まで獲得したスキルが使えなかったことは?」


「今のところはねえな」


 今までスキルを獲得した瞬間に使い方のようなものが本能的に理解できた。


 このように使い方がわからないなんてことはなかった。


 だから俺も驚いている。


「スキルを【鑑定】してみるのはどう?」


「そ、そうだな!」


 エリシアの提案で俺は思い立つ。


 わからないスキルも【鑑定】を使えば、どのようなものか教えてくれたので読み上げてみる。


「【火魔法の理】……このスキルを所有するものは火魔法の扱い方を本能的に理解する」


「本能的に理解できるそうだけど?」


「いや、理解できねえんだけど?」


 俺のスキルは理解できると言っているが、俺は理解できていない。


 もはや、どういうことかわからない。


「わかったわ! ルードがスキルを使えないわけが!」


「なんだ?」


 尋ねると、エリシアがサッと視線を逸らした。


「私の口からはとても言えないわ。ルードの頭が魔法を理解できないほどに残念だなんて……」


「おい、ちゃんと言ってるな? それもかなり酷いことを!」


 俺が現実逃避して考えないようにしていたことを言いやがった。


「まあ、俺ってそもそも魔法は得意じゃねえし、エリシアの言ってる説があってるのかもな」


「ルードは火魔法が使えるのよね?」


「使えるとは言っても戦闘に使えるような威力は出ないし、魔力操作だってヘタだけどな……」 


 レベルが上がって、しょぼかった火魔法も使えるようになるんじゃないかって思ったけど、結局は変わらないままだし、俺には魔法の才能がないのかもしれないな。


「……もしかして、魔物のスキルで魔法を扱うには魔素の操作が必要なんじゃないかしら?」




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こちら新作になります。よろしければ下記タイトルからどうぞ↓

『異世界ではじめるキャンピングカー生活~固有スキル【車両召喚】は有用でした~』

― 新着の感想 ―
[気になる点] 魔力回復速度上昇を魔物が持ってたっていうのが気になる 魔素ではないって
[気になる点] 魚のスキルが消えた
[気になる点] #20 ゲルネイプの塩焼き 「そうだ。ゲルネイプの持っていた【高速遊泳】【水弾】【狙撃】の三つのスキルが手に入っているな」 何故その三つのスキルが消えた?
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