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ありがとうまぁ兄…また逢おうね  作者: REN
第七章 再出発
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第四十二話 一周忌

舞華が亡くなって丸一年の時が流れた…

皆それぞれが、日常を取り戻しつつあったが、まぁやんだけは未だに心の溝は塞がっていなかった。

そんな折、まぁやんの飲食店の客で仲良くしていた人物から[転職]の打診があった。

元々お客様に触れる仕事が好きだったまぁやんであったが、最近はマネジメント業務がメインとなり、現場から遠のいていた。

まぁやんは真剣に考えていた。

そんな時、まぁやんの相談相手は舞華であった。

「舞華、ただいま。いよいよ来週だな。一周忌法要。なんだかあっという間というか…」

まぁやんの話を笑顔で遺影の舞華は聞いてくれている。

「あのな…俺、転職しようとおもう。なんの仕事だと思う?不動産屋さんだ!びっくりしたろ?」

まぁやんはビールを片手に、そして舞華の遺影の前にもビールを置いて…

「舞華、カンパイ!舞華は転職どう思う?俺はやってみたいと思ってるんだ。前向きに考えてみていいか?」

舞華に相談して、まぁやんは前向きに考えることにした。


そして…舞華の一周忌法要の日

この日は家族以外にも、舞華の友人たちも駆けつけてくれた。

まぁやんもよく会っている友人達の中に、沙也加という、舞華の小学校からの幼馴染も出席してくれた。

「沙也加ちゃんも、来てくれてありがとう」

「…まぁやんさん、実は相談したいことがありまして」

「ん?どうしたの?」

「今日の夜に、お宅にお邪魔してもいいですか?」

「うん…いいけど…」

「ありがとうございます。では後ほど」

沙也加は会場に入っていった。

「聞こえたぞ〜」

龍弥と雷斗が到着した。

「なんだよ…」

龍弥がまぁやんに

「沙也加ちゃん、可愛いよなー。もしかして…『わたし…実は…まぁやんのことが…前から…』とか?」

「ばーか!あるわけねぇだろ!」

続けて雷斗も

「そしてまぁやんが『ダメだよ!沙也加ちゃん。舞華が見てるだろ?』とか言っちゃって?」

「テメェら…殴られてぇみたいだな…」

まぁやんが拳を握って、ふたりに見せた。

「よーし!いつものまぁやんだ!逃げろー」

そう言ってふたりは会場に入って行った。

「ったく!あいつらは…ガキかよ」

まぁやんはフッと笑った。


法要も無事終わり、会食の時間となった。

会場を移動して、お寿司屋さんで行った。

「あれからもう一年経つんだね〜」

「早いものだねぇ。雅志さん、大丈夫かい?」

まぁやんは色んな人から声をかけられていた。

「お義父さん、お身体大丈夫ですか?」

舞華の父は、舞華が亡くなった直後から体調を崩し、入退院を繰り返していた。

「ごめんね。雅志くん。色々面倒掛けちゃって」

「なんもです。家族なんですから。思いっきり甘えてくださいよ。黙ってるよりよっぽどいいですよ」

「ありがとう。ほんと…」

「まぁ兄!」

「おう!恋か!寿司食ってっか?」

「うん!食べた!ねぇ、今夜行ってもいい?」

「あー悪い!今夜お客さんが来るんだよね」

「そっか…女の…人?」

「あぁ、舞華の幼馴染で沙也加ちゃんっていうんだ。なんか相談があるみたい」

「そ…そっか…うん…わかった。じゃあまたにするね」

「悪いな」

恋は胸がもやもやしていた。

(何も!一周忌の夜に、友達の旦那が一人の家に行くかな?なんか信じられない!)

そしてムカムカしてきた。

「恋…」

恋の背後から悲しげな呼ぶ声が聞こえた。

「え!は!」

振り向くと、そこには美紀が立っていた。

「なんだ…美紀かぁ。びっくりさせないでよ」

いつもの美紀なら、恋の背中をバシッと叩いて声をかけるのだが、今日は違った。

「どした?今日はなんか元気ないね?」

「恋…今夜…恋んちにお泊まりしていい?」

「いいけど…マジでどした?」

「夜…話す」

そう言って美紀はどこかへ行ってしまった。

「ちょっと!美紀ぃ?んもう!なんなのよー」

会食が終わり、解散となった。


そして、まぁやん、龍弥、恋、康二の4人は舞華のお墓を訪れた。

「やっと家族水入らずだ。みんな、舞華に色々報告してくれ」

「報告…かぁ」

「じゃあまず俺から」

まぁやんが墓標の前に跪いた。

「俺、転職しようと思う」

『えぇ〜!何に?』

一同が驚いた。

「不動産屋。営業ってやってみたかったんだ。単純に。それに忙しいんだって?その分稼いでよ!立派な仏壇を舞華に作ってやる!」

『わははははは』

「いいね!それ」

「まぁ兄らしい」

康二と恋は大笑いした。

龍弥は涙を流していた。

「おまえ…そこ泣くとこか?」

「う…うるへー」

「じゃあ次!恋だ!」

「わたし?そうだなぁ。うん!」

恋も舞華の墓標の前に跪いた。

「わたしね、デジタルアートの専門学校に行く」

「デジタルアート?」

「うん、そこで勉強して…まい姉がやってたような仕事に就いて、まい姉の跡を継ぐ!」

「マジか!それはすげー」

龍弥が拍手をしながら喜んだ。

「恋…ありがとうな…」

まぁやんは少し涙ぐんでいた。

「次!康二!」

「俺か…俺は…いや、俺も仕事辞める!」

「はぁ?なんで?弁護士事務所辞めてどうすんだ?」

「…独立する!」

「おにぃちゃん!本気?」

「あぁ!本気だ」

「…よし!俺と舞華は応援する」

「俺も!」

「じゃあ、わたしも…」

『どうぞ!』

「んもう!ちょっと!」

『わははははは!』

「最後は龍弥だ!」

「わかった!まいまい!例の件、近々決行するぞ」

「例の件って?」

「ぷ…プロポーズ…」

「おお!来たか!」

「お前らのことがあったから、ちょっと控えてたんだけどな…」

「ばーか!何カッコつけてるんだよ!」

まぁやんは龍弥の肩を叩いて言った。

「これ…誰にも言うなよ!マジで頼むな!」

「大丈夫だ!家族を信じろ!」

康二も龍弥の肩を叩いた。

「サンキュー!」

「よし!これで全員報告したな!」

まぁやんが舞華の墓標に手を置いて

「舞華、また来るからな!」

そう言って皆揃ってその場を離れた。

その時フワーっと風が吹いて、桜の花びらが舞った。

恋は一番後ろから見ていた。

まぁやんの肩に、桜の花びらが一枚、くっついた。

恋は思った。

(なんだかあの桜の花びら、まい姉みたい)

いつもまぁやんの後ろをくっついて歩く舞華がダブって見えた。

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