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鏡映した覚真の羽~アライヴ・ウィング~  作者: 四神夏菊
一幕目『Apfel(アプフル)』
1/9

01 最初のアオゾラ

コチラの作品を読まれる前に、是非本編である『鏡映した現実の風』の第9章までお読みいただけると嬉しいです。お話がすんなり入って来るかもっ

自分に許された世界、自分には許されなかった世界。その世界の境目を知った時、存在達はどんな選択をするのだろうか。


その因果に抗う事を選び試行錯誤をするのか、はたまた初めから無かったと言わんばかりに別の方角へと眼を向けるのだろうか。


一人一人の選択によって未来は変わり、そして次の世代へと引き継がれていく此の世界。希望も絶望も常に近くに寄り添うその世界で、一人の存在は空を見つめていた。

自らが生まれた故郷を捨て、別の地で現状の自分に相応しいであろう世界を探すために。



『今日も、綺麗な青空だな………』



彼が捨てたその世界は、他の獣人達からすれば『憧れ』に等しい世界でもあった。その身で感じられる重力の世界は存在せど、上下左右にその世界を自由に反転出来る種族こそ、彼等『鳥人族』と『竜人族』に与えられた特権。翼を持たない存在達がそれを得るには、別の力で空へと飛び立ち、そして世界の法則性に乗っ取った重力と時間の狭間を漂う事しか出来ない。


それだけ、彼等は特別な存在であり『空に近い存在達』でもあったのだった。




 ーーー 鏡映した現実の風シリーズ・外伝 ーーー


   鏡映した覚真の羽 ~アライヴ・ウィング~


 ー ☆ ー ☆ ー ☆ ー ☆ ー ☆ ー ☆ ー




自然が幾多も残り、他種族の存在達が住まい生活している幻想世界『クーオリアス』 その世界は区域を境に様々な自然環境が入り交じっており、どんなに場の環境に適していない存在達であっても必ず生活出来る世界がそこにはあった。


体温変化であっても『内温性』と『外温性』と種族間では分かれる為、各々で常に暖かい気候、寒い気候を好むモノも居る。無論それは地上だけにあらず、陸では無く水中においても同意義であり、温暖な場も有れば寒冷な場も有りと、まさに異世界らしいと言えよう。

足を使って歩行する者も居れば翼を用いて移動する者も居る為、この世界には『それ相応の普通の存在』と言うモノが殆ど居ないのである。


定義は有れど常識を覆す存在達、それこそが彼等『獣人エリナス』 そんな獣人達の住まう世界『クーオリアス』の、当然とも言われた姿であった。



しかしそんな世界とはいえ、何も『獣』と言う枠組みの中でしか暮らす者達が居ない訳ではない。この世界には大きく分けて『四種族』のエリナス達が生活しており、少し長くはなるがココで掻い摘んでご説明するとしよう。




まずはオーソドックスな『ケモノ』の枠組みに居る、哺乳類をベースとした『獣人じゅうじん族』

犬科や猫科を始めとした幾多の存在達で構成されており、他の三種族に部類されない者達はこちら側に属すると言っても過言では無い。その為『全部でどれくらいの種類が居るのか』と問われた際、正確な数字が一番存在しない種族と言っても良いだろう。


犬科と言っても純粋な『犬獣人』も居れば元の血の濃い『狼獣人』もおり、ましてやその濃度から属する環境にも差が生じているのが現状だ。犬獣人に属するが狼獣人に近い『狼犬獣人』と呼ばれる者も居ればその逆も存在しており、はたまた犬獣人でも血統によって『柴犬獣人』であったり『紀州犬獣人』と多義に渡る為、本当に果てしないと言って良いだろう。

故に『何千、何万人の存在』が居ても不思議では無い為、世界の歴史が増える度にその数も増えている種族であった。



次に紹介するのは、そんな獣寄りではない『魚類』に属する存在達『魚人ぎょじん族』

基本的に水辺に近い環境にて生活する存在達が大半であり、特徴的な『水掻き』と『背鰭』を有する者達が多く、獣人族とは違い『水陸両用』の器官を有していた。そのため呼吸においても『肺呼吸』と『鰓呼吸』を使い分けており、他の種族の追随を許さない程に『水』に強い種族でもあった。


反面『陸上』においては他の種族に後れを取る部分が多く、彼等の使う魔法においても割とハッキリとした差が表れやすい部分が多かった。最も得意とする『水や氷』を主軸とした力を行使する一方、他の属性魔法においては会得が難しいのだろう、好んで両手に力を有しようとする者達は多くは無い。

種類数においても獣人族ほどの繁栄数が無い為か、割と一定数の水準で生活している種族であった。



次に紹介するのは、魚人族とは違い空に選ばれた存在達『鳥人ちょうじん族』

その名の通り『鳥』に該当する者達が大半であり、大小様々ではあるが『翼』を有する存在であった。他の存在達とは桁違いの『魔力』を大気から回収し放つ事が多く、武闘派な者も居れば魔導士側の者もおり、属性に関してもその縛りを受けていなかった。


しかし彼等には他の種族達よりも価値観が多く存在する為であろう、翼を有さない存在達に対し『蔑視』を向ける事が多かった。それは鳥人族が『選ばれし空の民である』事が一つの理由として挙げられるが、正確にはその矛先や理由が多方面からやってきている為、一概にそうとは言い切れない。

部族的な思考回路を有するが故の、独特の世界観が有る種族であった。



そして最後の紹介となるのが、水陸は愚か生活環境に左右されない存在達『竜人りゅうじん族』

鳥人族の様に翼を持つ者も居ればそうでない者もおり、はたまた陸上で生活する者も居れば水中で生活する者もおりと、その生態系によって全てが真逆になる事が多かった。だがそれは『否定的』な意味合いは存在せず優れた存在とも言えた為であろう、他の種族達からしても一目置かれる傾向が多かった。


しかしそう言った縛りも無く自由的な方面が強いが故なのだろう、彼等は基本的に他の者達との交流を深めようとする傾向は薄かった。住処によって性格すらも変わる様子は恰も風の如くであり、良くも悪くもアッサリとした部分が強い種族でもあった。




そんな種族達の入り交じるクーオリアスにて、一カ所だけ他種族が入り交じる区域が存在していた。それは城塞じょうさい区域『ヴェナスシャトー』と呼ばれる場所であり、ココは異世界でありながら落ち着いた気候環境が特徴であり、その名の通り『壁』によって仕切られた神殿を取り囲むように造られた場所だった。

自然環境よりも人工的な造りが多いこの場には獣人達が生活と共に商業を行う場所としても知られており、日中はとても賑やかで笑い声が絶えない空間でもあった。


舞台はそんなクーオリアスのその区域、中央に位置する神殿内にて活動する組織『WMSウォルジメイヘント・シパリティ』の一角を担う『衛生隊えいせいたい』と呼ばれる部署。その場を仕切る長『マウルティア司教』に拾われた、蒼き鷹鳥人の青年の物語。



「ライゼさーん、そろそろ朝礼始まりますよー」

「うっす、今行きます。」


同じ部署内で活動する熊獣人の声に返事をし、全面ガラス張りの窓辺から離れて行った彼こそが、今作の主人公。


彼の名前は『ライゼ・守授もりじゅスクアーツ』

後に『真憧士』として一目置かれるであろう、存在リアナスと所縁のある青年である。


次回の更新は『5月4日』を予定しています。どうぞお楽しみにっ

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