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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

窓ぎわの東戸さん~東戸さんとおでかけ~

作者: 車男

 「あ、東戸さん!こっちだよ!」

「西野さーん、ごめんね、待った?」

「ううん、今来たとこ!それじゃ、行こうか!」

そう言って東戸さんの手をとると、改札に向かって歩き出す。

「東戸さん、今日、珍しくブーツだね…?」

無事にICカードで入場し、ホームで電車を待つ。横に立つ東戸さんの足元を見て、私は聞いてみた。お出かけの時、夏の間はサンダル、秋めいてきたときも、素足にスニーカーやフラットシューズが多かった東戸さんが、今日はくるぶしの上あたりまで完全に隠れる、ショートブーツを履いていた。クリーム色のニットに、グレーのコート、黒いひざ下スカート、ショートブーツという格好。これにタイツやニーソックスを合わせるのが多いと思うけれど、東戸さんはそのどちらでもなく、素足がブーツから伸びていた。脱いでみなきゃわからないけれど、もしかしてこのブーツを素足で履いているのだろうか…?そうだったらいいな、と思いつつ、東戸さんの言葉を待つ。

「うん、お母さんに、寒いから今日はこれで行きなさいって言われてね。去年買ったんだけど、結局一回も履いてなかったんだー」

「いつもスニーカーだったもんね!確かに今日は寒いかも」

「ブーツ履くのはじめてだから、なんか足が重たい…」

東戸さんはブーツを履いた足を立ったままぶらぶらさせていた。冬らしく大人っぽいファッションで子どもっぽい行動をされると、ギャップでドキドキしてしまう。いつもなら電車を待つときにもすぐに靴を脱いで素足を見せてくれるのだが、ブーツなのですぐに脱ぎ履きができるわけでもなく、靴脱ぎが見られないまま私たちは到着した電車に乗り込んだ。

 休日の朝、車内はそれほど混んではいなかった。私たちは空いていたロングシートの真ん中あたりに並んで座る。立っている人もおらず、私達と同じようにどこかへ遊びに行くであろう、高校生や大学生っぽい人が乗っていた。目指す駅まではこのまま15分ほど電車に揺られることになる。

「東戸さんは今日観る映画って知ってる?」

「ううん、原作は読んだことないし、キャラクターをネットで見たことあるくらいかなあ。お話は全然知らないよー」

「私も、動画サイトとかで予告は見たけど、原作知らないもんなー、それでも楽しめるらしいけど!」

すぐに次の駅に着き、また次の駅、と止まるたびに人が増えてきた。立っている人も増えたところで、東戸さんが徐にかがみこんだ。何やら足元をごそごそしているが、私からはシートに隠れて東戸さんの足元は見えない。私もかがみこんで見てみると、東戸さんはブーツから踵の部分を出していた。肌色の踵。やっぱり、素足で履いていたらしい。素足全部を露にするのは、この人の多さなので憚られたのだろう。

「外は寒いけど、電車の中は暑いねえ。ブーツだから、足が汗かいちゃうよ…」

東戸さんはいつもの調子で私にこそっと囁いた。そんな気はないのだろうが、私はそれを聞いてかなりドキドキしてしまった。今日一日、素足のままブーツを履いての移動。東戸さんの足は大丈夫なのだろうか…!

大きな遅れもなく電車は目的のターミナル駅に着いた。今日はこの駅にあるショッピングモールで最近公開されて大ヒット中の映画を見る予定だ。人気小説のアニメ化作品ということだけれど、私も東戸さんも読んだことはないらしいので、ストーリーがどんなのか楽しみ!

 東戸さんは駅に着く直前に、足をぐいっとブーツに押し込んだ。よく見ると、サイド部にチャックがついているタイプで、そのチャックは両足とも下されたままだった。それでもブーツが自然と脱げる様子はないので、おろしたままでも問題はないらしい。チャックの隙間からちらちらと見える肌色がなんともたまらない。

「着いた〜。どっからみるー?」

「とりあえず、映画の席を取ろうか!8階にあるらしいから!」

「おっけー」

映画館へ向かうと、ちょうど次の回の入場案内をしているところだった。始まるまであと15分だったので、空いている席をとって、そのまま入場することにする。

「ちょうどいい時間でよかったね!」

「うん、並んで席が空いててよかったよー」

「ジュースとか、買う?」

「うーん、高いから、私はいいや…」

私もそんなにのどが渇いていたわけじゃなかったので、ナシにして、シアターに入ることにした。東戸さんは席に座った瞬間に、

「やっと座れたよー。足、疲れたー」

と言って、手でぐいぐいっと勢いよくブーツを足から離した。現れたのはいつものきれいな素足。ブーツを椅子の下に置くと、素足をそのまま床につけた。開放感からか、足の指がくねくねと激しく動いている。12月という時期もあって、素足ファッションはほぼ皆無の中、完全な裸足になっているのはきっと東戸さんだけだろう。

「あー、ひんやりして気持ちいい…」

「…東戸さん、裸足でブーツ履いてたの?」

私はつい気になって、東戸さんの耳元で聞いてみる。

「え?うん、あんまりブーツとか履いたことないけど、靴下はいらないんじゃないかって妹がいうからさー」

ナイス、東戸さん妹!

「ブーツだけでも暑いのに、これに靴下なんて履いてられないよねー」

東戸さんにはそもそもブーツは合わないらしい。かわいいんだけどなあ、ブーツを履いた東戸さん!

映画は1時間30分ほどで終わり、電気が点くと、東戸さんは裸足のまま立って伸びをした。

「うーん…面白かった!」

「ほんとにね!最後、ハッピーエンドでよかった!」

「じゃあ次は、お昼ごはんだねー」

そう言って、荷物とブーツを手に持って、裸足のまま歩き出そうとする東戸さんを慌ててとめる。

「ちょちょちょ、くつ、くつ!」

「えー…、だってそれ、暑いんだもん」

「でもちゃんと履かないと!あぶないよ!汚いし…」

「しかたないなあ…」

東戸さんは再び席に座ると、ブーツに素足をぐいぐいっと突っ込んだ。チャックはおろしたままで、立ち上がる。

「うーん、やっぱり暑い…」

「がまんだよ、東戸さん!」

その後、レストラン街をぶらぶらしてどのお店に入るか二人で話していると、東戸さんは和食のレストランを指さした。お魚を使った料理が中心のようだ。

「私、ここがいいなー」

「お、和食?いいね!待ってるお客さんもいないみたい」

店内にはいると、店員さんにテーブルかお座敷のどちらかを聞かれ、東戸さんが素早くお座敷と答えた。

「それでは、ご注文が決まりましたらそちらのベルでおよびくださいね」

「ありがとうございます!」

「…東戸さん、もしかしてお座敷にしたのって…」

「えへへ、気づいた?ブーツが脱げるとこがいいなって思って」

どうやら、ブーツが脱げるお座敷のあるお店を探していたらしい東戸さん。なかなか策士だな!

座布団の上に正座をして座ると、その膝に何かやわらかいものが触れるのを感じた。そっとテーブルの下をのぞいてみると、東戸さんの綺麗な素足がこちらの方に伸びてきている。ブーツの素足履きで、真っ赤っかになった素足の足裏がとてもかわいい。メニュー表を見るふりをして、その足裏にそっと指をはわせる。つつつつ…。

「ひっひゃうん!」

東戸さんがかわいい悲鳴を上げて、足がしゅんと戻っていく。

「も、もうっ、やめてよー、西野さん」

「ごめんごめん!ついつい…」

「びっくりしたなあ」

ぷくーっと頬を膨らませる東戸さん。でも、きっと内心は…。

「…でも、嫌ではない、でしょ…?」

そう聞くと、膨らんだ頬が元に戻って、かわりに赤くなって、

「う、うん、なんだか、クセになりそう…」

そう言いながら、再びこちらに足を伸ばす東戸さん。もう一度やってくれと、東戸さんの足が言っている。

「じゃあ遠慮なく…」

再び人差し指をそうっと足の裏にくっつける。そして、かかとの部分から足の先に向けてすすすー。

「くっふふふうううう…」

あくまでお店の中なので、大きな声を出さないようにと頑張る東戸さん。そんな東戸さんの足を、なおも攻める。片足だけだったところに、もう片方の足にも、指を添わせる。すると、東戸さんの体が大きく揺れ出した。必死でくすぐったさ(?)に耐えている様子。

「や、ちょ、に、西野さん、すとっぷ、すとっぷ…!」

顔と足の裏を真っ赤にして、ギブアップ宣言をする東戸さん。けれど足をちぢこめようとはしない。

「あれれ?もういいの?」

いじわるっぽい顔をして東戸さんに聞くと、足の指をくねくねと動かしながら、

「も、もうちょっと…!」

「りょうかい!」

そして注文するのも忘れて10分ほどそんなプレイを楽しんで、はっと気づいたころには東戸さんはすっかりほこほこになっていた。

 「ブーツ、履きたくないなー…」

昼食を終え、先に靴を履いていると、東戸さんはお座敷の段差に腰かけて、足をぶらぶらとしながら床に置いたブーツをポンポンと蹴っていた。

「でも、それしか履くものないんでしょ?」

「…うん、裸足じゃ、だめ?」

「学校ならいいんだけど、お店だからねえ…」

「うー…」

「あ、そうだ!確か同じフロアに靴屋さんあるから、サンダルみたいなの買って、履き替えたら?」

「いいね!いこういこう!」

ということで、今度は東戸さんの新しい靴探し!裸足のまま床におりて、そのまま歩き出そうとする東戸さんをなだめて、なんとかブーツを履かせると、お会計を済ませて靴屋さんへ。

 これから寒くなっていく季節なので、靴屋さんにはブーツや冬用の生地が厚いスニーカーなど、冬物が多く並んでいた。店頭にはサンダルの姿はなく…。

「うーん、サンダルってないねえ」

「そうだね…。あ、これとかどうかな?」

私が見つけたのは、内側がもこもこの素材を使ったデッキシューズ。足の裏はあったかいけれど、甲の部分は見えているから幾分かは履きやすいかもしれない。

「ちょっと履いてみるねー」

東戸さんはよいしょと右の素足をブーツから取り出し、そのまま靴に素足を通す。

「どう?サイズは良さそうじゃない?」

「…あつい…」

「そっか…」

すぐさま靴を脱ぐと、ブーツを履きなおすことはなく、右足だけ裸足のままお店の中を歩き出した。靴屋さんだし、ここは大目に見ておこう…。

「サンダルって言ったら、これもそうだよね?」

また私が見つけたのは、ク〇ックスとよばれる、よくみんなが履いてるあのサンダル。

「これ、気になってたんだ!穴が開いてるから、涼しそうだよねー」

そう言って、右足だけでなく、左足のブーツもそこで脱ぐと、両足を突っ込んだ。

「おー、ぴったり!暑くもないよ!」

「じゃあ、それにする?ほかにサンダルっぽいのは、こんなのしかないし…」

私がほかに見つけていたのは、ヒールの高いサンダルだったり、オトナなパンプスといった、東戸さんが普段履いているようなものとは程遠いものばかりだった。季節がねえ…。

「うん、かかとが高いと歩きづらいし、これにするよー」

「おっけー。じゃあレジに持ってかなきゃね」

「うん!買ってくるから、待ってて!」

そう言って、東戸さんはその場でク〇ックスを脱ぐと、ペタペタと裸足のままレジ待ちの列に並んだ。東戸さんが並んだあとすぐに、男の人が列に並んだけれど、驚いた様子で東戸さんの足元を見ていた。

私はもうすっかり東戸さんのそんな行動には慣れていたので、脱ぎ捨てられたブーツを左足、右足と回収して、自分の靴で何かいいものはないかなーと探しながら、お店の入り口近くで待っていた。やがてパタパタという足音が聞こえてきて、振り返ると、解放感に満たされた東戸さんの姿があった。

「ありがとねー、すっごく涼しい!」

「いえいえ!ちょっと甘いもの食べに行こうか?」

「あ、いいね!たぴおか食べたいなー」

「あれは飲み物じゃないっけ??」

秋っぽい服装に、素足にク〇ックスというアンバランスだけれど彼女っぽさいっぱいの東戸さんと、カフェを探すことにする。休日はまだまだ終わらない。


つづく

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