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『道の駅』の物産を覘いてお土産になりそうなものを二人で探す。建物が清潔感があって面積も広く、多様な品物があるから当然賑わっていて、いかにも『道の駅』に来ました、という感じ。『生どら焼き』という名物があると調べていたのでちょっとワクワクしてきたのだけれど人気商品の為かこの日は既に売り切れでお目に掛かれなかった。食事の前に来た方が良かったかもと思ったけど、他にも良さそうな物があったから結果オーライという感じ。



その後弓枝がお手洗いに行っている間に館内の掲示に目を遣りながら、そこでも人が映り込まないように数枚写真を撮ってみる。ちょっとして戻って来た弓枝が「一旦外に出てみない?」と提案したのでその通りにすると、出てすぐに雄大な『山』が見えた。



「全体的に規模が大きいよね、ここ」



「そうだね。お金掛かってそう…」



集客を見込んでかかなり広めに作られた駐車場も一帯の広々とした光景とマッチしているせいか、空間の広がりを体感できて気持ちが弾む。少しこの風景を楽しみたいと感じたので、建物から少し歩いて行った所にあるベンチに二人で腰掛ける。荷物を置いた弓枝がすぐに立ち上がってちょっとわざとらしく、



「いいねぇ~」



と笑みを浮かべて遠くを見ている。今回の連休の長さが異例なので思う存分ゆったりする時間があって心の余裕があるからのか、まるで学生時代に戻ったような気分になっていることに気付いた。その時感じた事はきっと後で思い出したくなると思って、わたしには珍しく猛烈に文章が書きたくなった。親友を様子を見守りつつ撮影したばかりの画像をトリミングしたりしてから、ブログ更新用のアプリでその場で文章を打ち込み始める。



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平成もあとわずかで終わりというこの日に友人と猪苗代湖へ。砂浜の感触とか、波の音とか、身体で感じれるものは目一杯感じてきた。近くにある道の駅のベンチでブログを書いている。




道の駅の広々とした様子もそうだけれど、連休で心に余裕が出来ている時間でいわゆる『多幸感』なんだろうか。こんな心境になった事はあんまりないかも知れない。もちろん、普通に仕事をする毎日も最近では充実しているし嫌いではないんだけど、たぶんそこでは得られない何かを今は存分に摂取している筈で、大切な時間なんだと思う。




改めて思うのは、色んな人に来てもらいたい場所だという事。ここも新しい施設で、これからも賑わってゆく場所だと思うし、個人的には食べられなかった『生どら焼き』のリベンジもしたい。



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その日のブログはどちらかというと写真が主体で『思い出』を書き残したもの。ここまで書いてみて『何か』を一言付け加えたいなと思って、何の気なしに隣に座っている弓枝の顔を見る。「どうしたの?」と不思議そうにしている友人がここまで連れてきてくれた事は素朴に感謝すべきことだよね、と感じて、



『友人へ  ありがとう』



という行を加える事にした。画像を加えて記事を投稿し終えると弓枝が昴君の事について訊ねてきた。



「動画の子って、いま学生さん?」



返答の仕方によってはわたしと昴君の関係に思い至る場合があるので慎重に言葉を選んで、



「そうみたいだよ」



と答える。「なるほど」と感心した様子の彼女に、情報を小出しにするように心掛けてこんな風に話してみる。



「コメント欄とか読んでると、すごく良い子なんだなって思う。芸能人でも素直で好感度が高い人っているけど、そんな感じ」



「あー、最近ひっぱりだこの人ですね。わかる」



「何かの研究になると思って色んな動画を見るようになったんだけど、わたし達が学生の頃とは編集の仕方も含めてちょっと投稿のスタイルが違うなって感じるね」



「一緒に見てたボカロとかも、最近ではあんまり再生数伸びないとかあるみたいだね」



そんな思い出を交えながら段々と『動画投稿』について話題がシフトしてゆく。



「『再生数』はやっぱりモチベーションになるみたいだよ。収益化を目指す人もいるし」



「大変だって言うよね。わたしには狭き門にしか見えないんだけど…」



「有名になると半分芸能人みたいな扱いをされるから夢があるといえばそうなのかな」



「わたしが見ている動画といえば、芸能人のだけど」



「そういう『逆パターン』も出てきたし、不思議な時代になったね」



「さっきの子の動画はなにで知ったの?」



油断していて核心に関わる部分への質問がきたのでちょっとドキっとするわたし。



「えーっと…」



どうしようか散々迷った挙句、彼女には洗いざらい話してもいいのかなとその時思ってしまった。意を決して前に二人でカラオケに行った時の事から順を追って弓枝に物語ってゆくと、思いのほか弓枝の反応は普通なので途中から、



<もしかしてそんなに変な事でもないのかな…>



と感じるようになった。昴君からチャンネルを教えてもらったところまで話すと、



「へぇ~。あの時そんなことがあったんだねぇ」



と何故か妙に嬉しそうにしてる。ちょっとおばあちゃん味があるイントネーション。その反応を見て、前日に彼に会ったばかりだという事はまだ伏せておいた方がいいと判断。



「できれば再生数伸びて欲しいとは思うんだよね。二本松の動画とかは工夫すれば色々可能性があると思うんだ」



「確かに。歴史好きな人は惹かれるよね。わたしも実はあんまり歴史知らないんだ」



弓枝と話しているうちに『この話題』は色々な方向に広げているものだという事に気付く。結局、帰る前までそのベンチで話していることに。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆





『道の駅』からの帰りどこか寄ってゆくところがないか訊かれて、すぐに浮かんだのはショッピング。欲しいものがあるというよりは二人で洋服とか書籍とか普通の買い物に巡りたいなという気持ちがあった。



「それだったら明日にする?」



「確かに『明日』でもいいんだよね」



実際、猪苗代湖から二本松に戻るのとは行こうとしている場所と方向が逆とも言えて同時に弓枝が、



「電車で移動して街歩きもいいよね!」



と提案してくれたので、すっかりその気分になる。そしてわたし達は次の日も一緒に出掛けた。

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