紫陽花。
掲載日:2020/06/15
もう この先には届かない 聴こえやしない
そう 向こう側には ーー決して
呟いてみたところで
ゆらゆらと揺れる ちらちら映える花びら
夢を見ていて ただそれだけのこと
弾く水滴のひとつひとつに 映る私の顔には もう……
憎らしさとか 愛しさとか
そんなものは どうでもよくなって
ただ遠くから 誰にも気づかれないように
ひっそり佇み 涙を誤魔化すように
殻に閉じ籠もる ーーわたしは蝸牛
花言葉も知らない 紫陽花を眺めるだけの 一途な
花瓶には近寄らない




