由美とオセロゲーム
(うぉい、何やっているんだ麻美姉!?)
「いいか諸君。私と彼は別に皆が思っているようないかがわしい関係ではない」
麻美姉は生徒に演説をする。
「昔から私の菊地家と彼の岩田家は仲が良いだけなのだ。二股とかでは断じてない」
何十人の生徒達が彼女の演説を聞き入っていた。
(朝から凄いな)
「だから私の大切な彼と仲良くしてもらえないだろうか? 宜しく頼む」
麻美姉は軽く頭を下げた。
(麻美姉……)
「お、噂をすれば要ちゃんがいる。要ちゃ~ん」
生徒達が一斉にこっちを見る。
(な、なんか恥ずかしいな)
「隣にいるのは私の妹だ。つまり私とはただの姉妹関係で、お互いをよく分かっている」
そして皆のこちらを見る目が理解を示した目になってきた。
「二股ではなく、ただ姉妹間で彼を取り合っているだけだ」
(うぉい。麻美姉!? 何余計なこと言ってんだーーっ!??)
女子は黄色い歓声を上げ、男子は恨めしそうな目でこっちを見る。
演説のお陰か僕の二股疑惑はなくなり、クラスでも誤解が解けた男子とは友達になった。(数人だけど……)
ただ廊下を通るたびに他の男子に舌打ちをされるようになった。
そして月日が立ち、学校で部活紹介を終えたので友達を増やすべく部活を決めるために見学をしに行く。
一体何の部活をしようとうろうろしていると後ろから、要~と呼ぶ声が聞いてくる。
「美海」
「何してるの?」
「部活探しだよ」
「あー、そっ」
「な、何だよ?」
「別に。で、どこ行くの?」
「付いてくるのか?」
「何? 駄目なの?」
「駄目ではないが、お前は部活を決めなくて大丈夫なのか?」
「私はバレーボール部入るのは決めているから」
(あぁ、こいつは小学校の高学年からずっとバレーボール一筋だった)
「そうか」
そして僕達は色んな部活動の見学をしに行った。
剣道部、バスケット部、弓道部、色々と見たがこれといった部活はなかった。
「うーん、どうするか」
「ま、部活は3年間するもんだから、簡単には決めれないわよね」
「う、うん」
(確かにその通りなんだが……)
僕は不思議で美海をじっと見る。
「な、何?」
「最近、優しくなったな」
「な、何よ。藪から棒に」
彼女は急に顔を赤らめもじもじし始めた。
「そ、そんなに優し……」
「なんか気持ち悪い」
「え? ちょ……はぁ!? なんで気持ち悪いのよ!?」
「慣れてないせいかな??」
「もう、さっさと部活決めろ!!」
「いてっ!」
そして結局行き着いた部活は小説を読むのが好きだから文芸部になった。
「決まって良かったわね」
「おう」
先生に用紙を提出し、正式に僕は文芸部の一員になった。
さて家に帰ると由美が家の前でいた。
「どうしたんだ由美?」
「私とは学校が違うからやっぱり姉ちゃん達と差がでちゃう。だからお兄ちゃんとはプライベートでないと会えないと思ってさ」
「あぁ、それか」
「お兄ちゃんの部屋であーそぼ」
「へ、部屋でか?? まず飯を食べないと」
「じゃあ先に行っているから」
「え? あぁ」
ご飯を食べ終え部屋に行くと、彼女は漫画を読んで待っていた。
「お兄ちゃん遅い~」
「ご飯は食べてるんだから、そりゃあ時間かかるだろ?」
「ま、そうね」
「で、何して遊ぶんだ?」
「オセロしよオセロ」
「分かった」
僕は家であまりテレビやスマホゲームをしない。由美は配慮して言ってくれたのだろう。
そして僕達はオセロをする。
「お兄ちゃんさー」
「んー?」
「許嫁の相手決めた~?」
「そんなに直ぐに決めれないよ」
「ふーん、まぁそうだよねーっ」
「……」
「けどさ~、結婚とか考えるとさぁ、女は年下の方が良くない?」
「え?」
「だって子供を産むのは若い方が断然良いじゃん」
「そりゃあそうだけど……」
「お兄ちゃん、許嫁は年下にしときなって♪」
僕は何も言わなかった。
「お兄ちゃん、高校生活どう? 楽しい?」
「ま、まあまあにはなってきたかな?」
「そうなんだ。友達は?」
「少しは出来た」
「ふーん、それは良かった」
たわいもない話をしながら僕達はオセロをする。
「負けたーーっ」
「よし、勝った勝った」
「もう1局しよ。もう1局」
「いいぞーっ」
「次は賭けしない?」
「賭け?」
「勝った方が負けた方に命令出来る」
「無茶はなしだぞ?」
「うん」
「まぁ、それなら構わんが」
「やたっ」
こうしてもう1局由美とした。そしたら僕は負けた。圧勝された。僕の黒は6個くらいしか残らなかった。
(こいつさっき手を抜いてやがったな……)
「じゃあこれから言うことをちゃんと聞いてね」
「あんだよ?」
「次の土曜日。私とデートすること」
「え?」
最後まで読んで頂きありがとうございます。
ブックマーク、評価、感想頂き励みになります。