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言葉インディアンポーカー

 身内法廷を終え、終身刑(?)に処された由美は不満そうな顔でむくれていた。そして別の意味で膨れている麻美姉と美海がいる。それぞれが僕の部屋で不満そうにいるので空気が悪い。

(どうしたものか……)

 僕が色々考えていると麻美姉が、


「やっぱり私達もデートすべきだわ!」

「え!?」


 それってつまり……と思っていたら美海もそれに賛同した。


「えーっ、せっかく私がお姉ちゃん達を出し抜いたと思ったのにーっ!」

「だまらっしゃい由美! そんなこと許すはずないじゃない! 大体姉を出し抜こうとするなんて天が許しても私は許さないわ!」

「えーっ」

「という訳でまたの休みに要ちゃんとデートします」

「で姉さん、明日日曜だけどどっちが先にデートする?」


 え、明日!?


「何言ってるの美海? 私が先に決まっているじゃない?」

「は? いやいや、先は勿論私でしょう?」

「何言ってるのかしらこの子は? 姉が先にするものと相場は決まっているのよ!」

「誰がそんなこと決めたのよ!?」

「何ですって!?」

「あの……僕は一言も明日デートするなんて言って……」

「だまらっしゃい! 私(私)とデートするのは必至よ!!」


 どうやら僕に断る権限はないようです……。


「私よ!」

「いいや私だわ!」

「私!」

「私よ!」


 二人は喧々囂々言う。


「これじゃあ埒があかないわ!」

「どうするのよ?」

「要に決めてもらわない?」

「確かにそうね。そうしてもらいましょうか」

「え!?」

「どうする要。勿論私よね?」

「いやいや、私よね要ちゃん」

「え、いやーっ」

「要ちゃん!?」

「要!?」


 二人の目が血走ってやがる。怖いなーっ。


「えーっと、僕は~」

「……」

「……」


 どっちでもと言ったらどうなるかな? ……殺されそうだ!


「えとーっ、それじゃあじゃんけんで決めたらどうかな?」

「じゃんけん……」

「そう、じゃんけん」

「……」

「……」

「どうか……」

「……けどまぁ、もしそれだとあまり芸がないからゲームにする? どう美海?」

「そうね仕方ないわ。要が優柔不断だからそれも一つの手段ね」


 ヒドい言われようだ。そうして二人はトランプを取ってきてポーカーを始めたが、美海がやっぱりこれじゃあつまらないかなと言って、言葉の方のインディアンポーカーを始めた。禁止ワードの紙を頭に持ってきて、その言葉を言ったら駄目なゲームだ。それぞれ互いに禁止ワードを書いて、渡してからゲームが始まった。しかし両方の禁止ワードが……、


「さぁ、始めましょうか」

「そうね」

「さて美海。最近の趣味は何?」

「趣味……趣味はそうね。やっぱりま、書籍を読むことかしらね?」

「ふーん、そ。」

「そういう姉さんこそ生徒会はどうなのよ?」

「まぁ、ふ……生徒会の仕事は色々立て込んで大変ね。どうしても会長の補佐をしないといけないから」

「そうなんだ」

「美海こそ部活はどうなの? 今年も狙えそう?」

「レギュ……、まぁ今年は三年居るから頑張っても補欠じゃないかしら?」

「そうなの」

「姉さんは部活入んないよねーっ? もしそれじゃなかったら何の部活入ってた?」

「私は生徒会ひとす……が良いから、それ以外の選択肢はないわ」


 全くどうでもよい言葉で気を使っている……。見ているだけなのでつい笑いたくなる。しかし麻美姉が仕掛けてきた。


「最近、気になる男子は出来た?」

「え? まさかまだよっ」

「本当にーっ?」

「……」

「喋らないとゲームにならないわ!」

「私はーっ、まぁいないこともないけど……」

「うんうん」

「なかなか振り向いてくれなくて」

「けどそれは貴女が今まで冷たくした時があったからじゃない?」

「それは……」

「これじゃあまだまだ駄目ね」

「う……」

「私は優しいから十分魅力的に見えるわ!」

「はあ!? 姉さんだってそれでも振り向かれてないじゃないの!!」

「そ、それは! 時間をかけないと中々難しいものよっ」

「ほら、やっぱりそうじゃないのよ!」

「うっ……」

「姉さんお得意の色気仕掛けはどうなったのよ!?」

「そ、それは少し恥ずかしくなっちゃったの!」

「ふーん、そうなんだ。まだまだね」

「何ですって!?」

「羞恥心のある間は姉さんのその唯一の取り柄を活かせないからよ!」

「そ、それはあんだけ色んな所触られたら、流石に感じちゃうわよ!」

「そんなに触られたの!?」

「あんたこそ寝た時にいっぱい触られたでしょ!?」

「え!?」

「寝相がとても悪いから!」

「う……」

「それに唯一って何よ!? 私はいっぱい魅力があるわよ! 身近な人がその魅力に気付いてないだけ!」

「ま、まぁ確かにそうかもだけど……」

「それに美海、貴女も本当は十分素直で優しい自慢の妹よ」

「姉さん……」

「美海……」


 二人は手を取り互いを見つめ合う。そしてお互いに言う。


「で、明日自分としか遊ばせないと思っている相手は?」

「要 (ちゃん)!!」


 二人同時に答えて言う。


「はい! アウトーーっ♪」

「はい! アウトーーっ!」

「え??」

「は?」


 二人は自分の紙を見ると、僕の名前が書いてあり驚いていた。


「図ったわね美海!」

「姉さんこそ図ったわね!!」

「何がそうかもよ! 思ってもない癖に!」

「姉さんこそ何が本当は十分素直で優しい自慢の妹よ!」

「何ですって!?」

「何よ!?」


 二人はまた言い合いになったので、


「まあまあ二人とも落ち着いてっ」

「誰のせいだと思っているのよ!?」

「そうよ、誰のせいよ!?」


 なぜか僕に飛び火して来たので由美がなだめて結局じゃんけんをさせて、美海が勝ったので明日美海とデートすることになりました。

 いやいや、人のせいにするのはちょっとヒドくないか!?

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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