美海のフェチシズム
今日は金曜日なので僕達は夜遅くまでついしゃべり合ってしまった。
「やっぱり金曜日だから、つい盛り上がっちゃうわねー」
「おいおい、けど大丈夫か? 明日部活あるだろ?」
「あっ、そうね。そろそろ寝ますか」
「んえ?」
「そうね。寝よう寝よう」
「……えっとー、家に帰るんじゃないの?」
「何言ってるの? こんな遅い時間にレディーを帰そうとする訳?」
「そうよ要ちゃん。いつからそんなに薄情者になったの?」
「え?」
そうなのか? 僕がずれているのか?
「さて恒例の誰が要の隣で寝るのかじゃんけん大かーい!」
「おー♪」
「おい待て! まさかまた僕の部屋で寝るのか?」
「そうよ。当たり前じゃない」
え? 僕が間違っているのか?
「寝言は寝てからいうものよ要ちゃん」
「えぇ……」
「お兄ちゃん。今気を溜めてるから話かけないで、邪魔!」
何気を溜めるって? じゃんけんにどんだけ気合い込めてんだよ。
「いい、皆?」
「私はokよ!」
「私もーっ」
「最初はぐー、じゃんけん……」
そして今回は美海が勝った。
「いやったー……いや、おほん仕方ないわ。要、一緒に寝ましょう」
「まだ承諾した訳では……」
「はぁ何!? この前は寝かしてくれたのに、今回は私だから駄目なの!?」
「いや、そういう訳ではないがっ」
「じゃあ良いじゃん。一緒に寝ようよ♪」
「え……、うん……」
どうやら僕に権限はないようです。そしてそれぞれ風呂に入ってまた僕の部屋に四人で寝る。麻美姉と由美は床に敷いた布団に入り、美海は僕のベッドの中に入る。
「へへっ。良い匂~い♪」
「ずるいなー姉ちゃん」
「ちっ。私の特等席なのに!」
どうしたものかなこの状況は。
「あ、けど一緒に寝れるからって私の体を触らないでよ!」
「難しいこと言うなよ! 寝たら当たるだろ!?」
「ま、まぁ……当たるのは仕方ないわ。当たるのは……」
「ったく」
こうして電気を消して、僕達は寝に入った。
外から月明かりが少し入り部屋は薄明るいが、皆は特に喋ることも無くしんとした空気が続く。エアコンが完備しているから部屋は涼しい。ふう極楽極楽と思っていると、ねぇと美海が横から囁き、僕はついドキッとする。
「ん? どした?」
「私ね、今かなりドキドキしてるの」
「お、おう」
「幸せなの」
「そ、そうか」
「こんなチャンス中々ないものね……」
「え?」
僕は壁の方に向いていて、彼女はいきなり背後からそっと抱きついて来た。
「え、ちょっと、え!?」
「触ったら殺すから」
「あ、はい……」
彼女がぎゅっとするものだから、背中にそこそこ豊満な胸が柔らかく当たる。僕は体中が熱くなり血液の流れが激しくなるのを感じる。
「美海?」
「何?」
「どうしてこんなことを?」
「し、黙って」
「え?」
「暫くこうさせて。お願い」
「……分かった」
ドキドキしていると美海が自分の顔を僕の背中に当ててすりすりして来た。
「え? ちょっと美海さん?」
「良い匂い……」
「へ?」
「要の匂いがする」
「ちょっと美海?」
「……やばいわ。この匂いは……」
「は?」
「中毒性がある」
「お、おい何言って……」
「止められない……」
まさかお前……、
「くんくん、すーすー、はぁはぁ」
匂いフェチか?
そしてこういう状態が長く続いた時、すうという声が聞こえた。
「え? 美海、美海?」
振り返って見ると美海は可愛らしい寝息をたてながらすっかり寝ていた。
「……たく」
彼女の腕を外し僕も寝た。翌日。光が僕の部屋に射して、目を覚ますとぐにっという感触があった。
「え?」
僕は横に振り向くと、艶めかしい吐息を漏らしながら美海がパジャマが少しはだけ、淫らな格好になっていた。
「美海? 美海?」
「……あんた。んんっ。どんだけ……んん。寝相が悪いのよ……」
彼女は顔を真っ赤にしながら火照った体をピクピクさせていた。
「え? え?」
「本当要ちゃんって尋常ならざる寝相の悪さだからねぇ」
「す、少し気になるかもっ」
「ふ、二人とも!?」
麻美姉と由美も起きて話に割り込んできた。そんなに寝相が悪いのか僕??
そして僕達は朝食を食べに降りて、5人(親父除く)で食べた。女ばかりだから声は高いし、男として少し肩身が狭い。女共はわいわいと朝食を楽しんだ。
「美味しいです、おば様」
「本当この焼魚よく焼けて美味しいですお母さん♪」
「そうそう私も思いますお母様♪」
「三人揃って褒めないでよ、もー♪」
僕は話を振られないように静かにご飯を食べる。ご飯を食べ終わり三姉妹は部活をしに学校へ向かった。そして片付けをしている母に声をかけられた。
「ちょっと要」
「あんだよ?」
「改めて良い娘達よねーっ」
「え? あぁ、まあな」
「で? 決めた?」
「何を?」
「誰を許婚にするかよ」
「……まだ」
「ふーん、そう」
「……」
「ま、ゆっくり考えてあげなさい。中途半端に決めちゃうとお互い苦労するから」
「え? うん」
そうして僕は部屋に戻ると、スマホのバイブが鳴り見ると由美からだった。
『今日、デートだから昼に駅前ね』
そうか。今日は由美とデートだったな。
『分かった』
少ししてからまたラインが来て見ると、
『高校の制服で着てね♪』
ん? 制服?
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