表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/21

睨み

久しぶりの更新です

 そのまま由美は二人の姉達に連行されてこの部屋を出た。

 三人がいなくなったので静かだ。

(明後日デートか……)

 僕は布団に横たわりながら思った。

 三人とは小さい時から遊んだりするが、いざ『デート』と明確に言われて1:1で遊ぶのは初めてかもしれない。

 なんか意識するとドキドキする。

 僕は布団に潜り込んで少し唸った。


 翌日、久しぶり(?)の一人の静かな朝を迎えた。

 陽射しが部屋を明るくし、心地よい室温になり、僕はついうーんと伸びをする。

 下のダイニングに行き、家族と賑やかにご飯を食べる。


「今日も美味しいね母さん」

「そう? ありがとう要!」


 さて学校へ行こうかと家のドアを開けると、爽やかな天気……をよそに麻美姉と美海がいがみ合っていた。


「どうしたんだ二人とも!? 朝から近所迷惑だぞ!」

「だって姉さんが『今日は要ちゃんと恋人つなぎで行くの♪』っていうから!」

「へ!?」

「良いじゃない別に。減るもんじゃなし」

「!」

「駄目なものは駄目って言っているのよ!」

「美海にそんなこと決める権限なんてないでしょうよ」

「無くても駄目なの!」


 困ったなぁ。一体どうすれば良いんだ?

 この空気を止めれるはずもないし……。


「美海ったら。要ちゃんに対して何か吹っ切れたようね」

「! ……まあね」


 美海は少し頬を赤らめながら言ってる。

 なんかこっちも恥ずかしいな。しかし……、


「早く登校しないと遅刻するぞ」


 二人は睨み合いながら僕とくっ付いて登校する。


「いい姉さん、要はねクラスでは結構静かなのよ?」

「そ、それくらい想像出来るわよ」

「この前だってクラスの友達がいなかった時、寂しそうな顔でチラチラと周りを観ていたわ」


(こら~、美海の奴はなに小っ恥ずかしいことを言っとるんだーっ!?)

 ちらっと麻美姉の顔を見ると小馬鹿にしたではなく、悔しそうな顔だった。

 そして彼女はなぜか少し俯いて、絡めている腕の力が弱くなり沈黙になった。

 しかし直ぐにギュッと僕の腕を絡め、彼女はぐいっと寄って来た。

(近い、近いってっ)


「美海は覚えてないだろうけど、子供の頃公園で要ちゃんったらお漏らししたことあるのよ」

「!?」

「!」

「あの時は大変だったわ~っ、バレたらお母様に怒られるって言って、私ん家のお風呂に連れて行ったんだから」

「そ、そうなの要!?」

「お、覚えてない……」

「ひど~い、一緒にお風呂に入ったじゃな~い?」

「え!!?」

「!??」

「可愛くて小さかったわ♪」

「な、なんですって!??」


 思い出した……。確かに麻美姉と風呂に入った気がする。

 しかしそんな原因だっけ? それに関してはあまり覚えていない……。

 それよりも……、


「ちょっと要! 今の話本当なの!?」


 美海は強引に僕を揺さぶる。僕は彼女に揺らされて気持ち悪くなった。


「く、苦しい……」

「ちょっと美海、要ちゃんが苦しそうじゃない!」

「だって姉さんは要のち……。と、とにかく見たのね!?」

「とにかく離しなさいよ。話はそれから!」

「くっ……」


 美海はようやく服から手を離した。

(く、苦しかった……)


「まぁ、そうね見たわ。小さくてまだ可愛らしい感じのブツを♪」

「く、羨ま……い、いいえ、別に微塵も興味ないけど!」

「妬かないの♪」

「くっ……」


 二人の睨み合いは学校に着くまで続いた。

(というかこいつら僕の小っ恥ずかしい話ばかりしてないか!?)

 そして校内に入り靴箱を出て廊下に差し掛かると美海は、


「じゃあね姉さん。ここからは私達とは別々の方向よ」


 美海は楽しそうに笑い、麻美姉はやはり悔しそうだった。


「く、仕方ないわ。今は要ちゃんを美海に預けるけど、油断しないことね。あまりに余裕こいていると、足元すくわれるわよ」

「ご心配なく。私はそこまで柔な脚じゃないから」

「~~~」

「~~~」


 二人が学校でもバチバチしているものだから、はぁと僕はついため息をつく。


「行こう美海」

「そうね要♪」


 僕は二人を引き離さないときりがないと思い、とりあえず美海を教室に連れて行った。

 そしてクラスに着くと彼女と分かれ、お互いの友達の所に行った。


 さて放課後僕は部活もないので自宅に帰る。

 空が紅く夕日に染め上げられ日が少しずつ長くなり、この時間でも暖かい気温を感じる。

(うーん、もう暑い夏か?)

 そう感じている時、前からチリリリリンと音が聞こえてくる。

 見ると、一人の男子が自転車で僕に急いで近づいてくる。

(な、なんだ??)

 そして僕の前に着いたと思えば、急に自転車を止めた。

 誰かと思い顔を見ると明らかに知らない子だった。そして服から察するに北中の制服だ。だから彼を分からない訳だ。しかし彼は僕に睨みをきかせる。

(今日はどうも眉間に皺を寄せる人間が多いな。それに彼は何者だ?)


「お前が岩田か?」

「あ、あぁ」

「俺は中3の山根だ」

「はぁ……」


 で、この年上に対して無礼者が僕に一体何の用だ?


「俺はお前に彼女を渡さない!!」

「はい?」

最後まで読んで頂きありがとうございます。

ブックマーク、評価頂き励みになってます。

感想も頂ければ、励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ