出会い
「こんな所に1人でいるなんて、危ないですよ?」
「え、あ、はい…すみません…」
うーん、自分でも何でこんな所に居るのかさっぱりわからないんだけどなぁ。とにかくお礼しないと。
「あの…助けてくれて、ありがとうございます。えっと、あなたは…?」
「ん、僕かい?僕は影山零だよ。君は?何でこんな所にいたんだい?」
「えっと、僕は大空薫って言います。それで、えっと」
「ん?」
「…何で此処に居るのか、さっぱりわからなくて…」
「…わからないだって?」
「はい」
だって本当にわからないんだもの。さっきは天国なのかなって考えたけど天国にあんな大きなイノシシがいる訳無いし。
「うーん、とりあえずここら辺は危ない動物が沢山居るから、村に戻ろう。それからゆっくり話を聞くよ。」
「わざわざごめんなさい…」
「いいよいいよ」
ーーーーー
「……」
「……」
き、気まずいぞ……何か、何か話すような事は……あ、そうだ
「あ、あの!」
「ん、どうしたの?」
「さっき、イノシシを追い払った黒い玉って一体……?」
「ああ、あれかい?あれは僕の魔法で…」
「魔法!?」
「う、うん。」
なんてこった、魔法、魔法か。あのフ〇〇ガとか、イン〇〇〇ネイ〇〇ンとか、はたまたどと〇〇〇つじとか…………最後のは魔法じゃなかったな。
「…薫くん?」
「はっ!!」
いけないいけない。つい魔法と聞いてテンションが上がってしまった。でも魔法かぁ。この世界では魔法が普通にあるんだぁ。僕も使えるようになるかなぁ。
「…………薫くん?」
「はあっ!!」
「大丈夫?何かよく分からない顔してたけど……」
「だ、大丈夫です。大丈夫です。」
うん、一回落ち着こう、僕。
「そうかい?なら良いんだけど……!」
「ど、どうしたんですか?」
「……まずい」
「え?」
ズン…
「な、何今の音は…?」
「…薫くんを追いかけていたファングが居ただろう?」
「は、はい。」(あれファングって言うんだ…)
ズン……ズン…
「そのファング達の親玉、森の主とも言われてる、その名も」
「その名も……?」
メキメキメキ!!
「グルゥァァ!」
「グレイトファング!」
「う、うわぁぁぁぁぁ!!」
さっきから叫んでばっかだな僕!って言うか何だあのデカサ!軽く4mはあるんじゃ…
「避けるんだ、薫くん!」
「え」
「グルァァァ!!」ドドドドド
「うわぁ!」
あ、危な……直線的な動きで助かった……あれに踏まれたら普通に死ぬでしょ…
「ブルル……」ギラッ
あ、まだターゲット外れてないんですね……
「うわ、うわ、うわわ……」
ガッ
「うわぁ!」
今度は石につまづいたのか!何でこんなにピンポイントでドジなんだ僕…は……
「ブルゥ…」ザッザッ…
やばい
「グルルルァ!」ドドドドド
これは流石に死ぬ
「薫くん!!」
「っ!!」