表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

天使の羽と羽根

作者: kim

僕の前に天使が舞い降りた。

灰色の世界だったから、羽の色はわかんなかった。

でも、どっちでも良かったんだ。

連れていかれる世界が、

天国でも地獄でも。

今、僕の目の前に広がる

灰色の世界から連れ出してくれるなら。


ごめんなさい、と跪く罪びとを、天使は優しく受け入れた。

跪き、悔悟の涙を流し続ける僕を、天使は掻き抱き口づけた。

掌に感じるぬくもりに、これからの希望といつか来る絶望を覚えた。


羽は、雪白と漆黒に明滅し、

心は、希望と絶望に引き裂かれ、

時は、無常に過ぎていく。


僕に天使の羽は見えなくなった。

数多の色が炫く世界、数多の羽が舞い降りてる。

でも、どっちでも良かったんだ。

白い羽でも黒い羽でも。

いま、僕の目の前に広がる

燦然たる世界へと導いてくれたのだから。


ありがとう、と伝える前に、天使は俗世に融けてった。

僕は気づかぬうちに、天使の両翼をちぎってしまっていた。

掌に残ったのは、哀怨と哀慕、そして一枚の羽根。


羽根をペンに、心をインクにして、

白い紙には、黒いインクを含んだ羽根で

黒い紙には、白いインクを含んだ羽根で

灰燼のごとき言葉を、僕は書き撲っていく。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ