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はじめに

 この手記を見つけたあなたに全ての権限を与えよう。ここに書かれている事実をどのように利用してもいい。好きなようにするといい。私はあなたの住んでいる世界にはもういないのだし、私の世界に来ることもできないのだから。

 ここに全ての真実を記したいと思う。これを発見したということは私が作家という職業に就いているのはご存じだろう。しかし、この手記が新しい作品の下書きと思ってはいけない。これは真実が書かれた手記である。


 人間という生物は想像が乏しく、自分の目で確かめ、感触を得ない限り、事実と認識しない。百聞は一見に如かずとは見事な言葉であり、私自身も一見する側の人間だった。

 しかしながら、たった今、この時間、1分1秒ですら海は寄せては返す波を漂わせ、水生生物は泳いでいる。それは事実であり、あなたの目で見ていないだけである。必ず空には雲が流れ、風が起こり、鳥も飛んでいる。自分が空を見た時だけのことではない。闇夜で動く夜行性の動物もいる。寝ている時には何も起きていないと思うな。あなたが寝ているだけで世界は動いている。


 そして人間同士の抗争でこの瞬間に命を失う人もいれば、満員電車に揺られている人もいる。自分が体感せずとも他人が体感しているのだ。テレビで見る事件も自分と関係のないところで起こる限り、他人事と注意を向けないことだろう。しかし、事件が起きたことは事実として地球の歴史に刻まれている。


 ここまで読んで私が言いたいことを理解しただろうか。何を伝えたいのかといえば、この手記は事実しか書いていないということだ。

 何度も言う。この手記は事実だけを記したものである。

 先に告白しておこう、有名人である私が殺人と窃盗を繰り返したことも紛れもない事実だ。これを信じることができないのであれば、どこの誰ともわからないがあなたにこれを読む資格はない。

 直ちにこの手記を焼き捨てるべきだ。


 全てを事実と受け止める覚悟があるならば、読み進めるといい。あなたは真実を得ることができる。

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