第四十八話 『選別』
日本。その言葉を聞いた途端、アンリスを除く皆が驚いた。声も出ず、その言葉の意味について考えていた。いいや、一人だけ例外もいた。その質問の答えを予想し、導いた山口風雅当人は、逆に微笑んでいた。うれしんでいた。
「風雅、日本って、どういうことなんだ?」
「言ってしまえば、今俺たちが異世界だと思っていた世界は、普通に元の世界と変わらなくて、今俺たちがいるこの場所も日本ってことー。
要は、俺たちが知っている日本のはるか未来、またはパラレルワールドってことかなー」
風雅は淡々と返し、魔獣の方をまた見る。
「ねー。君。君はどうやって生まれたの?」
『それは、あなたがすでに分かっているのではないですか?』
「期待してんのー?」
『はい、あなたは賢い。それはワタシが保証します』
風雅はほんのちょっと考えるようなそぶりを見せ、かといって悩んだ様子を見せずにほんの数秒後に言った。
「ウイルスだ。それも、突然変異のねー。元いた生物に感染し、その個体が魔獣。
それと同じように、魔法を扱える人間も、病気にかかっているような状態。
どうかなー?」
『実に素晴らしいです。やはり、あなたはいい。
もともと、ワタシは一つの小さなウイルスでした。その時に周りと異なっていたのは、異常で尋常で非常な力を持っていたということです。
そんな突然変異を遂げたウイルスに感染したものが魔獣です。知性を失い、ウイルスの器となる。それがこの世界の人間が呼ぶ魔獣と呼ぶものです。
ですが、そんな器としての機能をうまく機能しなかった生物がいました。それが人間です。ウイルスを排除する機能を持ち合わせているようでして......科学?とやらで解明されているようですね。その機能でウイルスを排除し、排除しきれなかった突然変異の力を魔法と人間は呼んでいるのです』
その場にいた風雅以外の人間は理解しきれなかった。信じる信じない以前に、話の内容に追いつけなかったのだ。
『では、最後に一つ。なぜこのような力を持ち合わせているワタシが長い間このダンジョンに居座っていたのか』
魔獣がそう言った途端、地面が大きく動いた。三人が地面に沈んだ時と同じではない。逆に、地面が隆起してきていた。
それは六人を別々に閉じ込めるように隆起していく。
『その答えは、ワタシが次に乗り移る者を決めるためなのです。
強く、賢く、素晴らしい力を持った者と出会うために、この最高の選別場を作ったのです』
六人はどうにかして一人になる状況から逃れようとしたものの、壁はどんどん高くなっていき、完全に分断された。
『それでは、選別を始めましょう』




