表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
救いのないこの異世界で 〜異世界転移した俺は、英雄ではなく奴隷だった〜  作者: 鏡月胡桃
第六章 ランドラ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/44

第四十一話 『学習魔獣』

 「学習?それってどういう......」


 魔獣を警戒しつつ、悠斗は風雅に聞く。


 「さっきの魔獣と同じようにこの魔獣を倒そうとしたよね?

  けど、それは学習されているんだよー。

  要は、同じ攻撃は通用しないってわけだー」


 「でも、それじゃあ」


 「うん。最深部に行けば行くほど、どんどん俺たちが不利になっていく。

  そもそも、ここの魔獣自体が結構な強さなのに、毎回毎回違う攻撃を要求されていくんだー」


 面倒くさそうに、風雅は言う。


 「一旦整理しようかー。ここの魔獣、ランドラに潜む魔獣たちを倒すすべをね。

  其の一、攻撃のパターンを変える。

  其の二、攻撃の仕方を変える。

  其の三、学習できないような高度な攻撃を使う。

  それからー。」


 風雅は悠斗の肩にポンと手をのせる。


 「攻撃する人自体を変えるってのも一つの手だよねー」


 風雅はアンリスたちがいる後方まで歩いていき、悠斗に言う。


 「この魔獣は、悠斗に任せるよー」


 「ええっ!!」


 悠斗の声は裏返る。


 「俺はさー。悠斗が戦ってるとこまだ見たことがないんだよねー。

  魔獣に対して有力な攻撃をするためってのもあるけどさー。

  悠斗の実力、ここで見せてほしいなー」


 「実力......」


 「それとも、戦うのなしにする?

  別に俺は戦えるから、それでいいけどー」


 その言葉に「お願いします」と答えるほど、悠斗は、悠斗の心は弱くなかった。

 この魔獣を倒せないで、徹を救えるのか、と自分を鼓舞していた。


 「いいや、見ててくれ。

  俺が戦うところ」


 「いいねー。グレネードは?」


 「いらない」


 風雅は予想外とは言わずとも、少し驚いた。


 「俺だけで、コイツを倒す」


 「いいね。かっこいい」


 悠斗は剣を構えた。

 「悠ちゃんやっちゃえ」という琴音の声や、「悠斗くんならできますよ!」というアンリスの言葉が、悠斗の決意をさらに加速させる。


 「【飛翔な運動(ダグマ・ムーヴ)】!」


 剣をまっすぐ魔獣へと向け、動かした。


 剣は確かに刺さった。

 が、それは非常に浅かった。

 触れればすぐに落ちてしまうほどの浅さ。


 それを見て、悠斗は魔獣の硬さを再確認する。


 おそらく、切ることではダメージがほとんど入らないということや、心臓のようなコアまでそもそも厚さがあるということも。

 人が木端微塵になる威力を持つグレネードでようやくあれほどのダメージを見せることに妙に納得もした。


 風雅がコアとか言っていたあのところ。そこに攻撃さえすれば、一撃で仕留め切れそうだ。

 けど、そこにどうやって攻撃するか、だ。

 この魔獣は俺の攻撃を一回も見てはいない。だから、攻撃がほとんど入る。

 だけど、その攻撃があんまり効かない。

 長引けば、攻撃が学習されて、俺一人じゃ倒しきれなくなる。


 悠斗はそう考えながらも、魔獣をどう倒すかを決めた。


 「【飛翔な運動(ダグマ・ムーヴ)】!」


 悠斗は再度詠唱し、身体を【飛翔な運動(ダグマ・ムーヴ)】で動かした。

 それと同時に、浅く刺さった剣を手に引き戻す。


 「おらあ!!」


 剣をしっかりと持ち、突進する。

 剣は魔獣の腹を突き刺し、そのまま平行に移動していった。


 「刺さりきらねえ!」


 が、先程よりも剣が深く刺さったものの、魔獣のコアまでは距離があるようだった。


 それだけではない。

 魔獣も反撃を始めた。


 魔獣は右手に持ったその剣で、攻撃を始めた。


 「危ねえ!!」


 魔獣の切りかかりを回避し、悠斗は魔獣と距離をとる。


 魔獣は両手で剣を持ち、腹を隠すようにずらした。


 「学習......同じような攻撃は通用しないのか」


 「手助けは?」


 「いらない」


 風雅は手を貸そうとするが、悠斗はすぐに却下した。


 「あの剣、取っちゃえば俺の勝ちだ」


 そういって、悠斗は魔獣に近づき、剣を大きく一振りした。


 狙いは、腹の部分にあるコアではなく、魔獣が持っている剣だった。


 魔獣の剣を持つ手が、少し緩む。

 それを悠斗は見逃さなかった。


 すぐに右手で手前から後ろに引っ張るようなしぐさをする。

 【飛翔な運動(ダグマ・ムーヴ)】。ものを動かす魔法。

 それを使い、魔獣の持つ剣を引き寄せた。

 剣を奪った。


 それだけではない、魔獣に手を向け、その手を上に向ける。


 それに連動し、魔獣は天井に引っ付く。


 「最初から、こうすれば楽だったな」


 そう言って悠斗は、二本の剣を持ち、天井にいる魔獣に向かって身体を動かした。

 その二本をしっかりと持ち、腹に突き刺す。

 今度は背に天井がある。

 その剣がしっかりと、少しずつ、少しずつ突き刺さっていく。


 こんな魔獣一体殺せないようじゃ、徹を救えねえんだよ!!


 悠斗の心に、その言葉が響く。

 さらに、手に入る力が強まる。


 「ああああ!!」


 手足を動かしていた魔獣が、次第に動きを止めていく。


 「悠斗、もう大丈夫だよ。

  もう死んでる」


 風雅の言葉で、力を弱め、悠斗は地上へと降りた。


 「こんなのがわんさかいるのか?」


 「どうだろうねー。

  なんせ、情報が少なすぎてー......」


 風雅がそう言ったときだった。

 その場にいた六人が、全員動きを止めた。

 本能がそうしたのだ。


 声。

 それが、脳内に直接しゃべりかけてきた。


 『ツヨキモノ、このメでミタリ。

  ソのツヨサ、チカラなり。

  ノコリのモノのツヨサ、ミサセテもらうぞ』


 どこからではない。

 脳内でそれが響く。


 「ちょ!なにこれ!!」


 その言葉の後に、青砥、アンリス、琴音の足元が、まるで泥のようにぬかるみ、三人が沈んでいく。

 風雅が急いで手を伸ばすが、三人には触れられなかった。


 『ソのツヨサ、セイシンなり』


 三人は完全に沈み、床はもとに戻った。


 「「風雅」」


 里香と悠斗は同時に呼びかける。


 「どうなってんだろー。

  とりあえず、ダンジョンが生きている。

  というよりも、ダンジョン自体が魔獣なのかなー」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ